無線関連コラム

八重洲オールバンドポータブル機「FTX-1F」雑感

ハムフェア2024にて八重洲のブースから吃驚する新機種が発表された。
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FT-817/818シリーズの後継機種と思われるオールバンドポータブル機が遂に登場。
型番は「FTX-1F」。
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前日海外サイトから初めてリークされ、フェイクかとも疑われたが現実だった。
当日配られたパンフレットや「hamlife.jp」等のサイト情報によると仕様は以下の通り。

●SDR技術を利用したポータブルトランシーバー。
●HF~430MHz帯をSSB/CW/AM/FM/C4FMデジタルで運用可能。APRSにもフル対応。2波完全同時受信回路を採用、HF帯でSSB運用をしながら、VHFやUHF帯にもQRV可能。4.3インチの高解像度フルカラータッチディスプレイ搭載。
●背面にHF/50MHz帯用と144/430MHz帯用BNCアンテナコネクタを2つ装備。
・5670mAhのリチウムイオンバッテリーパックの装着で、SSBモードで9時間、FMモードで8時間(送信6秒、受信6票、待受48秒で計測)の6W出力運用が可能。外部電源使用時は10W出力に。
●周波数をX軸、信号強度をY軸、時間をZ軸としてバンド内の情報を立体的に表示する「3DSS(3次元スペクトラム・ストリーム)」を搭載。
●4.3インチの高解像度フルカラータッチディスプレイ搭載。
●2つのスピーカー(30×50mmと25×40mm)をパネル背面に設置したダクト方式を採用、フロントパネルから高音質で十分な音量を再生。
●オールインワンでオートアンテナチューナーと5670mAhのリチウムイオンバッテリーパックを背面に取り付け可能。更には専用クーリングファンもオプションで用意されている。
●FT8を快適に運用するため、オプションのクーリングファンを背面に取り付け可能。
● USB端子はCAT操作、音声入出力、TXコントロールに対応。


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寸法や重さ、価格はまだ正式発表されていないらしい。
発売は2025年初旬を目指しているとか。
全く噂すら漏れていなかったから、余りの不意打ちで吃驚するしかない。
むしろ1週間くらい前にリークしていれば逆にいろいろ詮索出来て楽しかったかも。
いずれにしろ、2020年に売り出されたアイコムのポータブル機IC-705が人気となっている最中、いつまでたっても生産終了してしまったFT-817/818シリーズ後継機が出ないままで、もう八重洲は新型ポータブル機作る気がないのかとまで諦めかけていたのでFTX-1Fの発表は「やっと出たか!」という想い。
ただ、印象としてはIC-705の「後追い」というイメージは拭い切れず、FT-817シリーズが持っていたショルダー型「お弁当箱」タイプのコンセプトから離れてしまったのはちょっと残念だ。
まだ触ってもいないので何とも言えないが、操作性はどうなのだろう?
IC-705の直感的操作性の良さを凌げるのだろうか?
操作ボタンの配置が上面にもあるのは、何となくFT-817シリーズの残滓を感じる。
アンテナ端子がHFとV.UHF別々に用意されている部分や、2波同時送信やオールインワンのアンテナチューナーはIC-705を凌駕する。デザインも曲面を多用しスタイリッシュだ。
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さて、では個人的に購入に踏み切るかは現段階では難しい。
すでにIC-705で充分満足しているし、購入して僅か4年で手放す気も起きない。
基本無線機は使い倒すタイプなので買い替えは10年以上のスパン。
予備のFT-817も健在で、現在のところ新たな無線機購入の予定はない。
IC-705はFT-817を十数年使い倒し、そろそろ新しい機種も欲しいなというドンピシャなタイミングで発売されたので迷うことなく購入したが、このFTX-1Fはそんなタイミングでもなく、そもそもIC-705の対抗機としての位置付けなので、これからIC-705を買おうかと迷っていたユーザーにはインパクトはあろうが、IC-705で現状満足なユーザーからすると「お腹一杯」という感もあり。
FT-817シリーズの形状は維持し、ショルダー運用も可能のまま、操作性を刷新した開閉式の大型高解像度フルカラータッチディスプレイを装備する最新SDRオールバンドポータブル機であればIC-705との違いが明確だから興味が湧くかもしれない。
あとなぜ6wに拘るのか?
5wでも6wでも大した差はないだけでなく6W出すとQRPの範疇から逸脱してしまうので無意味だと思うのだが。
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でも、オプションやサードパーティーから興味をそそるパーツが出たりしてFTX-1F界隈が賑わってくればそれはそれで面白かろう。
かつてFT-690とIC-505が競ったようにFTX-1FとIC-705が競えばまだまだ日本のアマチュア無線メーカーも活気づくであろう。これにケンウッドも加われば言う事なしだ。

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発売を楽しみに待とう。

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ハムフェア出展者説明会出席(2024年7月10日)

8月24~25日に開催されるハムフェア出展者説明会に初出席。
これまでのハムフェアでは有志のご厚意でスペースを間借りし、無線関係の自費出版物などを頒布してきたが、今回のハムフェアから小口のミニスペースも提供されたので個人サークルとして自ら申請し、無事場所が確保出来た。
フェア二日間で場所代18700円。
但し机と椅子は別途レンタルしなければならず、それを含めると2万ちょっとか。
同人誌即売会だと1日スペース代凡そ7000円だから二日分に換算すると14000円。
ハムフェアのほうがまだ割高感がある。
しかし、個人レベルで出展出来るというのは進歩かもしれない。
出展者説明会が行われたのは国立オリンピック記念青少年総合センター。
案内が入った封筒を受け取り、会場でレクチャーを聴く。
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自分の「クラブCタイプミニ小間」は既に配置が決まっており、クラブ小間割り抽選は必要なし。
意外だったのは、今回新規に設けられたこのタイプに配置されたクラブが出展団体一覧表をざっと見た限りにおいては自分も含めて僅か4つしかなかったこと。
申請者がこれだけだったのかは定かでないが、もっと多くの「ミニ小間」が配置されると思っていたので拍子抜け。
それも個人ベースでミニ小間参加しているのは自分だけのようだ。
同人誌即売会と同様程度の約1m幅のスペースで頒布、公報する需要がハムフェアでは少ないのか?
それとも周知されていないだけなのか?
いずれにしろ、実際にハムフェアに出展して確かめるしかなさそうだ。
●8月24~25日/アマ無線フェスティバル「ハムフェア」(有明GYM-EX)
C-09「あびゅうきょ工房」スペース。
出展詳細は後日このブログで。
各局よろしくお願いいたします。
出展者説明会後、新宿で一旦下車。南口のベローチェで休憩。
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「PUTIKEEG ミニモールス信号キー‎MCT-06 Blue Key」導入

先日、新しい移動用ストレート電鍵を購入。
「PUTIKEEG ミニモールス信号キー‎MCT-06 Blue Key」
 商品寸法 (長さx幅x高さ)8 x 3.5 x 4.8 cm
価格は5980円。
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これまで移動先では30年以上ミズホのベビー電鍵のみを使っていた。最近は流石にガタがきて接点不良等も時折発生。
それでもこれに代わるコストパフォーマンスの良いミニ電鍵が見つかぬまま今日に至る。
しかし先日、SNS等でこの製品を見つけ、思わず購入。
まず、価格が安い。
電鍵は意外と高価で新品だと1万円以上が相場。
にも拘らず、これは5000円台。
アルミニウム合金製で造りもしっかりしていて重量感もある。
付属品は3、5mmステレオプラグケーブル。
プラ製のパッケージ付き。
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色はメタリックブルーとグリーン2種類。
3、5mmステレオプラグで接続出来るところがよい。
これまで所有の電鍵は2箇所電極が左右に分かれたタイプだったので、片側がワニグチクリップ仕様になっている特殊な3、5mmステレオプラグケーブルで無線機と接続が必要だった。
そのため使用中クリップが外れたり、接触不良起こしたり、絡まったり経年使用で断線したりと面倒が多かった。
更にこのタイプの電鍵ケーブルは扱っている店舗も少なく、やむなく修繕して使い続けるため断線部分をビニールテープで繋いだりと見栄えも悪かった。
電鍵側も無線機側同様に3、5mmステレオプラグで接続出来れば一般オーディオの汎用ケーブルが使用可能。たとえ断線しても100円ショップでもすぐ替えが入手出来る。
そういった意味でもこの新しいストレート電鍵はお買い得であった。

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ただ、バネが比較的固く、ミズホのベビー電鍵より握力を要し、まだ慣れていないのでコツを掴むまで時間が掛かりそう。
また重量もあるため、移動運用の機材質量も増えてしまう。
それを考慮しても、コストパフォーマンスの良いミニ電鍵であることは間違いない。


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カーボン製直接給電型釣り竿アンテナ導入テスト(2022年9月9日)

POTA移動運用始めてから1年半程度経った。
徒歩移動運用QRP5w以下でGAWANTクラスのアンテナだとアクティベーションのために10局以上交信というハードルはなかなか厳しいものがある。
平日、標高がない公園からQRVする場合は尚更だ。
V,UHF帯はRH-770ポイップアンテナだと近隣にしか飛ばず、交信出来るのは稀。移動局も見つからずお呼び掛けの機会も少ない。
HF40m辺りは平日でも賑やかだがGAWANT7アンテナでは相当コンディションがFBで耳の良い局に拾ってもらうしか交信の手立てがない。
CQを出しても応答はほぼ期待できない。
そこで抜本的にアンテナ改善を考えた。
選択したのは、最近注目を浴びている直接給電型釣り竿アンテナである。
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導電性のあるカーボンロッド釣り竿に直接給電する方式。
軽くて耐久性があり、伸縮出来るので徒歩移動運用でも使える。
この方式のアンテナを啓蒙したOMのサフィックスを取って「WWRアンテナ」とも呼称されるそうだ。
早速、直接給電型釣り竿アンテナを活用するOM諸氏の製作記事動画を参考に機材を集めた。

 

〇新たに導入した機材、製作素材
●オートアンテナチューナー
AH-705 IC-705用オートアンテナチューナー IC-705専用 
●直接給電カーボン釣り竿アンテナ
オルルド釣具 ノベルド スーパーロング 収納袋付き 全長:9m 仕舞:76cm 
●基台
キャプテンスタッグ CAPTAIN STAG 
UD10 [ポール&パラソル三脚スタンド ペグ付] 
●他製作アイテム
サンケーキコム 目玉クリップ 極大 MD-00 10個入  
BOMEI PACK 銅箔テープ 両面導電性 金属テープ 導電性 粘着テープ (25mmx25m)
アースケーブル (5m) 片側Y型圧着端子(AH-705とアンテナ接続用) 

 

AH-705はIC-705専用オートアンテナチューナー。
3万円前後するが、もともといずれは導入したいと思っていた品。これを機会に購入。
釣り竿アンテナ本体は長さ9mのカーボン製。6千円前後。
釣り竿アンテナを支える基台は既存のカメラ用三脚でもよかったのだが、雲台が邪魔で設置に手間取りそうなので細工する必要のない2000円程度のパラソル三脚スタンドを購入。
他、アンテナチューナーから釣り竿に給電するための目玉クリップ、ケーブル、釣り竿基部に貼る銅箔テープ等。
これらは100均やホームセンターでも売っている。

 

〇制作
まず、釣り竿の取っ手部分(一番下の段)はカーボン製ではなく導通していないという事なので、ここに両面導電性銅箔テープ(アルミテープでも可)を縦に2列貼っていく。上の端で折り返して2段目との導電を図るそうだ。
銅箔テープ部分を目玉クリップで挟み、ケーブルでオートアンテナチューナーに繋げばよい。
この辺りはOM諸氏の制作記事動画で予習したので意外と簡単に出来た(巻末参照)。

 

〇テスト運用
試験的に自宅の物干し台で組み立てて、運用してみた。
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釣り竿を延ばす前にパラソル三脚スタンドの中央の穴に設置。径も余裕があって問題ない。
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竿は細い先端部から順番に延ばしていく。
カーボンロッドはささくれている場合もあるので軍手を使ったほうが無難なようだ。
9mは流石に長い。
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しかし竿の自重が425gしかないため、非常に安定していて、風が強く吹かなければペグも必要ない。
AH-705のアンテナ端子に接続された目玉クリップを竿の基部に貼った銅箔テープの部分に挟み込む。
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AH-705とIC-705とはマニュアル通りにコントローラー部にφ3.5mmミニプラグ(三極)付きケーブル、アンテナ端子には同軸を繋げる。
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AH-705のアース端子に数mのカウンターポイズを接続すればこれで準備完了。
IC-705のファンクションスイッチを選択し、チューナーボタンを押すと自動的にチューニングが始まり、瞬時にアンテナとのマッチングが出来る。
各バンド試してみたが、うまくSWRが1.5以下に収まって何とか使えそうだ。
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早速7MHz帯CWモードQRP5WでQRVしてみる。
平日の夕方17時前なので果たしてどうか?
CQを出すと数分後、静岡市葵区の固定局から呼ばれる。
直接給電釣り竿アンテナ初交信だ。RST599/599で繋がる。
その後、3エリアと7エリアの局にお声掛け。すぐにピックアップして頂けた。
7エリア局はPOTA JA-1077移動局だった。
これはある程度戦力になりそうだ。
少なくともGAWANT7よりは飛んでいることは確かだし、3.5MHzでもマッチングが取れるのでQRV出来るバンドも増える。
ただ、当然ながらAH-705、竿、スタンド等移動時の荷物は増える。
専用リュックには当然収まらず、少なくとももう一つバッグが必要となる。
またケーブル類も増えて設置、撤収時の手間も加わるし、全長9mの竿は周囲から目立ってしまう。
とはいえ、この直接給電釣り竿アンテナは飛躍的な移動運用交信レベルアップが図れそうなのは間違いない。
効率の良いこちらからもサービス可能なPOTA移動運用も期待できる。
今後いろいろな場所で臨機応変に実践してみようと思う。

以下、参考にさせていただいた各OM諸氏の動画です。
TNX。
●アパマンハムの挑戦 ベランダ釣り竿アンテナ設置①(総長のテキトーライフSocho LIFE in the Moment)

 



●カーボン釣り竿アンテナ 移動運用で初めて使ってみたら、、こうなった。(総長のテキトーライフSocho LIFE in the Moment)

 



●遂にATU導入! AH-705 瞬速オートチューン Win Win Rod カーボンロッド直接給電アンテナ 河川敷 プチ移動運用 2022/03/28 アマチュア無線 VLOG 86(JA1BJT)

 



●カーボン釣竿直接給電アンテナでアパマンハムは海外DXの夢を見るか!?② 準備、加工、移動運用編(アマチュア無線でこんにちわっふる!JK3OTH きょうとGS150)

 

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移動運用その306/杉並区都立高井戸公園POTA/JA-1929(2022年4月30日)

4月下旬、新たにPOTA登録された杉並区の高井戸公園に移動運用。
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杉並区久我山付近神田川南西側に沿って位置する数年前に開園した新しい都立公園。
京王井の頭線富士見ヶ丘駅が最寄り。
この場所には以前からNHK富士見ヶ丘運動場、国立印刷局久我山運動場、王子製紙グラウンドという三つの広大な広場があった。
それを都市計画によって改めて整備し、都市公園としたという。
東京都建設局「高井戸公園の整備計画」答申によると、総面積は13.7ha。
昭和17年に防空緑地として当時の都市計画法に位置づけられ、昭和32年の東京都市計画における公園・緑地の再検討で種別運動公園として、都市計画決定された。 
そして2020年~2021年に掛けて北地区が開園。
現在、南地区も整備中とのこと。

 

〇久我山旧陸軍五式十五糎高射砲陣地について
現在、整備中の高井戸公園敷地内には太平洋戦争末期の1945年5月にB29迎撃用の旧陸軍五式十五糎高射砲が配備されていた。
久我山高射砲
当時としてはハイレベルの有効射高1万6千メートルを誇り、未確認だが1945年8月2日に久我山上空でB-29が2機撃墜されたという米軍記録がある。
この砲はドイツから供与されたウルツブルクレーダーで管制されたといわれる。
ドイツ・テレフンケン社から潜水艦で派遣されたハインリヒ・フォーデルス技師が日本無線三鷹工場敷地内に設けた多摩技術研究所分室でレーダー技術を日本人技師に指導し、量産化。その一号機が久我山の高射砲に実戦配備された。
これに関してはCQ出版社から以前発刊されていた「幻のレーダー・ウルツブルグ 」(津田 清一 著)に詳しく記されている。
絶版本らしいが何年か前のハムフェアーで購入して今でも手元にある。

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五式十五糎高射砲の陣地設置に関しては「旧陸軍高射砲第112連隊、第一大隊、第一中隊に装備され、昭和19年夏以降、数回にわたって杉並区久我山付近に陣地構築のための検分を行い、同年末頃、井の頭線富士見ヶ丘駅南西250mの神田上水を望む台地、台湾銀行などの運動場に陣地を選定した」とある。
(潮書房光人新社刊「丸」1994年4月号に掲載「世界最大級「五式」アンチエアガンの秘密」 / 佐山二郎著参照)。

砲が搬入されたのは昭和20年2月頃からで、もうそのころには陣地が完成していたと考えられる。
一方、ウィキペディアによると大阪陸軍造兵廠と日本製鋼所で各一門づつ完成した砲2門は共に東京の井の頭線久我山駅近く、現在の印刷局久我山運動場・野球A面のライト線あたり、東京都杉並区久我山2-18-18に配備されたとある。
しかし、ツイッターのまとめサイト「久我山の五式十五糎高射砲とウルツブルグに関するまとめ」や戦史同人誌「久我山の十五糎高射砲」(野崎健次、国本康文著)等によるとこの砲の陣地は砲塔写真の背景に映り込んだ建物の位置から王子製紙グラウンドの南西側NHK富士見ヶ丘運動場との境辺りに存在していたと推定している。
そこで国土地理院の航空写真から五式十五糎高射砲の陣地跡を探してみることにした。

 

〇1945年1月6日の久我山上空航空写真
まだ砲が設置される前の航空写真。
既に陣地づくりは始まっていると考えられるが、ウィキペディアの位置情報やツイッターの「久我山の五式十五糎高射砲とウルツブルグに関するまとめ」に記された陣地推定場所(「五式十五糎高射砲サイト」と記している箇所)を頼りに探ってみるが推定される場所には一見それらしき構築物は確認出来ない。

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しかし、拡大してコントラストを上げていくと「久我山の五式十五糎高射砲とウルツブルグに関するまとめ」に記された陣地推定場所に何やら円形の掘削溝か構築物があるように覗える。
元画像の解像度がさほど高くないのでこれ以上拡大してもぼやけてしまうのだが、どうやらここが五式十五糎高射砲陣地だった可能性が高い。
更にその南側、のちのNHK富士見ヶ丘運動場の場所にも円形の構築物が覗え、これも気になる。
この部分はかなり後まで残っていた。
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出典:国土地理院ウェブサイト画像を元にJH1EAF作成。
整理番号/95D4 コース番号C1 写真番号8
撮影年月日1945/01/06(昭20) 撮影地域新宿・調布
撮影計画機関陸軍 市区町村名杉並区】

〇1948年3月29日の久我山上空航空写真
戦後3年経った久我山付近。
「五式十五糎高射砲サイト」には克明に陣地跡らしき構築物が残されている。
既に砲塔含めた主要機材は撤去されているようだ。
砲身は一門が米軍に接収されたが、輸送中に時化で放棄され、もう一門はスクラップにされたという。
一方ウィキペディアで示された陣地とされる印刷局久我山運動場・野球A面のライト線あたりにはこの時点でもそれらしきものは写っていない。
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USA-M871-15ab
出典:国土地理院ウェブサイト画像を元にJH1EAF作成。
整理番号 /USA コース番号/M871 写真番号 /15
撮影年月日/1948/03/29(昭23) 撮影地域/東京西北部
撮影高度(m)/1524 撮影計画機関/米軍
市区町村名/杉並区】

半年前の1947年9月の航空写真にも陣地跡が写っている。夏なので草木に覆われている様子。
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出典:国土地理院ウェブサイト画像を元にJH1EAF作成。
整理番号/USA コース番号/M451 写真番号/19
撮影年月日/1947/09/08(昭22) 撮影地域/東京西北部 撮影高度(m)/1524
撮影計画機関/米軍 市区町村名/杉並区】

〇1956年3月10日の久我山上空航空写真
戦後11年経った久我山付近。
この頃にはもうNHK富士見ヶ丘運動場、国立印刷局久我山運動場、王子製紙グラウンドが整備され、陣地は跡形もない。
ただ、NHK運動場にある円形の構築物は戦前の航空写真からずっと残っており、興味深い。
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出典:国土地理院ウェブサイト画像を元にJH1EAF作成。
整理番号/USA コース番号/M324 写真番号/296
撮影年月日/1956/03/10(昭31) 撮影地域/東京西北部 撮影高度(m)/3048
撮影計画機関/米軍 市区町村名/杉並区

国立印刷局久我山運動場図面
因みにウィキペディアで示されている「久我山運動場・野球A面のライト線あたり」を推定するための資料。野球グラウンドA面がどの位置なのか、この図面で解る。
久我山印刷局グラウンド
国立印刷局 庁舎及び工場等の図面・写真より引用】

〇1971年4月30日の久我山上空航空写真
神田川北東側に京王線の車両基地が新たに出来ている以外はあまり変化なし。
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出典:国土地理院ウェブサイト画像を元にJH1EAF作成。
整理番号/MKT711X コース番号C6B 写真番号9
撮影年月日1971/04/30(昭46) 撮影地域東京西北部 撮影高度(m)3100
撮影計画機関国土地理院 市区町村名杉並区】

〇2017年5月30日の久我山上空航空写真
都市計画で3つの広場が高井戸公園として整備開始された頃の写真。
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出典:国土地理院ウェブサイト画像を元にJH1EAF作成。
整理番号/ CKT20176 コース番号C39 写真番号10
撮影年月日2017/05/30(平29) 撮影地域東京 撮影高度(m)2209
撮影計画機関国土地理院 市区町村名杉並区】

 

〇移動運用当日
4月30日、14時過ぎに最寄り富士見ヶ丘駅到着。
この日はほぼ快晴。
神田川沿いに上って京王線車両基地ゲート前の橋を左折すると程なく高井戸公園入口。
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まだ北側しか開園していないが、広大な芝地が広がる。
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凧を揚げている親子も。
なだらかに盛り上がった芝地の奥、ウィキペディアで示された15cm高射砲陣地とされる印刷局久我山運動場・野球A面のライト線辺りで15時前より移動運用開始。
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南には高井戸清掃工場の煙突が望めるが、思ったほど眺望はなく、U、VHF帯の電波は飛びそうにない。
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15時半過ぎにGAWANT18MHz帯5WQRP、CWモードでJD1の局をお呼び掛けししたら繋がった。
他、40m、6m、430CWで移動局にお呼び掛けするが16時台回っても4局しか交信出来ない。
17時からセルフスポット、ツイッター告知してRH-770を使い430FMでCQを出すも空振りが続く。
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ツイッターで東村山市から応答頂いていた局長さんから連絡。
QRMがあるとのことで周波数を変えて何とかQSO.
送受信ともロケーション的に芳しくなかった。
それでも新宿の高層ホテルに移動されている局と2バンドQSOしたりと18時前までに何とかPOTAアクティベーションの10局交信に達する。
因みに本日は自分がデザインしたステーションエンブレムワッペンを愛用している英軍迷彩ジャケットに装着してみた。
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各局様交信ありがとうございました。
この日は晴れてはいたが風が強く、寒いほど。
また、近くでサッカーに興じる人達が居てたまにボールが飛び込みかけて落ち着けなかった。
遮るものがない広い芝地での移動運用は気持ちがよいが、ボール遊びする若者や親子連れも居るので公園の端のほうが無難かもしれない。
18時を回った所で撤収。
夕景が綺麗。
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77年前、成層圏を飛ぶB-29を狙って巨大な高射砲が火を噴いていたのを想像すると感慨深い。
実際、その高射砲陣地があったと推定される場所にも行ってみる。
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まだ工事中の元NHKグラウンドとの境辺りだ。
当然、陣地の面影など皆無。何一つ痕跡すら見当たらず。
再び、公園の芝地を通って神田川沿いに富士見ヶ丘駅に戻る。
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POTAを始めて、それぞれの公園の足跡を辿る事も多くなった。
その多くが80年近く前の戦争に由来し、旧軍や占領軍によって管理されてきた事に気が付かされる。
【参考文献/「幻のレーダー・ウルツブルグ 」津田 清一 著(CQ出版社)
「世界最大級「五式」アンチエアガンの秘密」佐山二郎著(潮書房光人新社刊「丸」1994年4月号掲載 )
ツイッターのまとめサイト「久我山の五式十五糎高射砲とウルツブルグに関するまとめ」
戦史同人誌「久我山の十五糎高射砲」(野崎健次、国本康文著)】

交信データ
移動地/
東京都杉並区都立高井戸公園JCC#100115(POTA/JA-1929)標高49.6m

交信日時/2022年4月30日
交信時間/1459~1752JST
周波数/7・18・50・144・430MHz/CW・FM・SSB 
天候/晴れ
無線機/IC-705・VX-3
アンテナ/RH-770
GAWANT・GAWANT7・ミズホPAN-62
出力/0.5~5W
延べ交信局数/10
7MHz1(CW1)・18MHz1(CW1)・50MHz1(CW1)・144MHz1(FM1)・430MHz6(CW1/FM5)
交信相手所在地/
東京都(新宿区×2、杉並区、港区、八王子市、東村山市、武蔵野市、小笠原村)
長野県(安曇野市
未確認1
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POTA_JA-1929

 

 

 

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「祝 IC-705販売1周年記念 QSOパーティ」と「駅キャラ図鑑スタンプラリー」連動移動運用(2021年7月3日)

7月1日より5日までJARL QRP Clubが主催するIC-705ユーザーを対象にした「祝 IC-705販売1周年記念 QSOパーティ」が開催。
要綱によると「QRP運用を想定し開発されたIC-705の販売1周年とメーカーへの敬意を表してIC-705を活用しQRP運用の実用性を認識する」ことを目的としたQSOパーティーだそうだ。
IC-705ユーザーで出力5w以下が参加条件。
但し、交信相手の機種や出力は問わない。
また期間中、一般QSOや別のコンテストでの交信でも可能。
QSO数の合計が20局以上の局を対象に参加賞(アイコムのボールペン)を進呈。
また、参加賞対象者の中から抽選で副賞(アイコムCAP、アイコム電波時計など)を進呈。
詳しくはJARL QRP CLUB「祝 IC-705販売1周年記念 QSOパーティ」規約(PDF形式)参照

早速、自分も参加することに決め、既存イラストよりIC-705QSOパーティー仕様カードを製作。
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更に週末はこのQSOパーティーとJRのスタンプラリーを連動させ、「QSOパーティー駅前QRV」として運用する企画を立てる。
ちょうど開催期間が重なっているのはJR東日本上野、池袋エリアで行われる「駅キャラ図鑑スタンプラリー」(7月4日まで)。
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JR赤羽駅・池袋駅・上野駅・王子駅・巣鴨駅・田端駅・日暮里駅・東十条駅・尾久駅の9駅が対象。
それぞれの駅に駅キャラクターのスタンプが備えられている。
このスタンプラリーとIC-705QSOパーティーを連動させて、記念QSLカードにラリー用駅スタンプを捺せばモチベーションも上がるだろうと考えた。
しかし、週末の天気は今一つ。
屋外だと雨に降られては移動運用は難しい。
ポータブル機IC-705では尚更。
対象駅近くで雨を凌げる公園等がないかと調べると、JR王子駅脇の飛鳥山公園に付属するエリアに東屋があることを確認。
土曜日はここに移動運用することに決める。
当日現地に着いたのは14時過ぎ。
幸い雨は上がって曇り空。
東屋がある場所は飛鳥山公園に隣接する渋沢栄一記念館敷地内。
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建屋施設以外は入場無料で自由に出入り出来るが、時間は16時半まで。
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古墳もあってなかなか興味深いエリアだったが、観光客も多く、時間も限られているので移動運用するには落ち着けない。
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薄日も射して来たので、取り敢えず雨の心配もなくなり、東屋に拘る必要もなくなったので結局、飛鳥山公園側で運用することに。
15時前より5w以下QRPで運用開始。
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特にEsも出ておらず、このロケーションだとV、UHF地表波QRPでは飛ばず。
6mは移動局も見つからず、CQ出しても空振りばかり。
2mでサンシャイン60移動局などお呼び掛け。
15時50分過ぎにアンテナをGAWANTに変えて21MHz帯CWモードで4エリアの局と1局交信。
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再び6mでCQ出すも応答なし。
ここまでトータル3局のみ。やはりこの場所では局数稼げない。
ツイッターのフォロワーさんからもCQ全く聞こえないとのツイート。
16時過ぎに公園撤収。
王子駅北側にある「北とぴあ」展望室に場所を移す。
梅雨空でスカイツリーのてっぺんが雲に隠れていた。
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人が多い南側を避けて空いていた東側展望ロビーに移る。
こちらからは荒川方面が望める。
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IC-705を専用リュックに入れたまま、RH-770アンテナを直付けして430MHz帯に0、5WでQRV。
18時50分頃までに城東、千葉方面中心に10局と交信。
飛鳥山公園と合わせ、延べ13局。
TNX QSO。
「北とぴあ」撤収後、JR王子駅で他のラリー参加者がいない時間帯を見計らって駅キャラスタンプをQSLカード用紙に交信分捺印。
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天候やロケーションの関係で結局、王子駅周辺のみの運用で終わる。
IC-705QSOパーティーは6mDUNコンテスト交信分でも成立するので何とか20局はクリア出来た。
今後もIC-705関連イベントには期待したい。

交信データ
移動地/東京都北区飛鳥山公園・「北とぴあ」17階展望ロビー(駅前QRV)
交信日時/2021年7月3日
運用時間/1456~1841JST
周波数/21・50・144・430MHz/CW・SSB・FM
天候/曇り

無線機/IC-705・VX-3
アンテナ/RH-770・ミズホPAN-62・GAWANT
・SRH805S
出力/0.5~5W
延べ交信局数/13
21MHz1(CW1)、144MHz2(SSB2)、430MHz10(CW1、FM9)
交信相手所在地/
東京都6(江戸川区、豊島区、北区×2、足立区、葛飾区)
千葉県4(市川市×2、柏市、船橋市)
埼玉県1(越谷市)
広島県1(竹原市)

未確認1

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「VHF 帯電波観測によるスポラディック E のモニタリング観測 - アクティブデータアーカイブ」でEsの正体を探る(2021年6月19日)

今シーズンのEs伝搬状況は自分がワッチしている範囲に限っての印象としては低調で、6月上旬まではあまり大きなオープンに遭遇することはなかった。
しかし、6月13日からは5日連続で比較的強力で長時間のEs伝搬を観測することが出来た。

スポラディックEsは春から夏ごろにかけて、主に昼間に上空約100km付近に局地的に突発的(スポラディック)に発生する特殊な電離層。
Eスポの電子密度が極度に高い場合は、F層でも反射できないVHF(Very High Frequency)帯の電波をも反射するという特殊な性質がある。(ウィキペディアより引用)
また、なぜか日本の上空付近でのEs発生率が高いという観測記録もある。
Esに関してはまだまだ謎が多い。
ISSから見た地球大気画像を見ると薄っすらと層がかかった部分を垣間見れる。

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(出典:NASA Image and Video Library )

ここが上空100Km位としたらこの層を構成している物質が何らかのEs層成因に関与しているのかもしれない。

自分は国内民放FM開局ラッシュが始まる1987年頃から自宅の屋根にFMアンテナを建てて遠距離受信を嗜み始め、毎年Es伝搬記録も付け始めた。
HPにも「年度別Es伝播受信記録」「1987年~2003年における17年間のEs伝播データ自己解析」を載せてEs伝搬に関する自己流の考察レポートを記したりした。
また、以前所属していた「関東DXサークル」機関誌「CALL SIGN」にもEs関連レポートを投稿。
一例としての1992年7月号掲載の「Es一考察『風と太陽と流星』」のJPG画像をUPしておく(当時の原稿は手書きしかなく、改めてテキスト化する手間省略のため機関紙に載ったページをそのまま転写)。
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(出典:「関東DXサークル」機関誌「CALL SIGN」1992年7月号)

近年はEs伝搬考察のアクティビティーが低くなってしまい、久しくレポートも記していなかったが今回は直近の受信記録や新しいEs研究サイトからの引用等を活用し、久々にEs伝搬一考察忘備録として書き留めておく。

〇Es層の発生傾向
「年度別Es伝播受信記録」「1987年~2003年における17年間のEs伝播データ自己解析」 にも載せているが一般に言われているようにお昼前の10~12時、そして夕方から夜に掛けての16~18時の時間帯にピークがある。
これはEsの発生する高度100Kmの風の動きや磁力線の日変化に連動していると思われる。
また、大凡シーズン中に三つの大きなピークがあって、これは太陽の自転周期にシンクロしている可能性も高い。
Es層は夏至中心にピークがあるので、太陽の影響を大きく受けていると思われる。
但し、黒点の11年サイクルとの相関関係はあまりはっきりしない。
経験則からEs伝搬にも様々なパターンがあり、あくまで個人的な観察記録ではあるが以下のカテゴリーに分類している。

●南方(強力)型
長時間に渡って沖縄、石垣島方面(距離1000Km~2000Km)がオープン。ステレオで長時間安定した受信が可能。シーズン中には最も多く観測される。シグナルが強い場合は「強力型」と呼称する。また、九州、四国、山陰、山陽地方が伴って入感する場合もこのタイプに含める場合あり。

●北上(強力)型
朝のうち沖縄地方が入り、F/outした後30分~2時間位で九州南部、北部、山陰、山陽、四国地方と入感し、韓国へ至る。時として北海道まで至る時がある。シグナルが強い場合は「強力型」と呼称する。

●南下型
朝のうち韓国、北九州が入り、F/outした後、沖縄地方が入感してくる。

●北方(強力)型
北海道、及び極東ロシア、華北方面が長時間入感してくる。頻度は南方に比べ低い。シグナルが強い場合は「強力型」と呼称する。

●南北同時型
距離1000km以上の距離で南北同時に開ける。頻度低い。

●全面強力型(近距離Es)
距離1000kmより近い局が全方面から一度に強力に入感。頻度低い。
(JH1EAF「年度別Es伝播受信記録」から引用)

また昼間に強力なEsが発生した際、夜遅くまで安定的な伝搬が続く場合がある。
ウェキペディアによると、これはE層で「FAI(Field-aligned Irregularities)」と呼ばれる電離層構造が要因と考えられる。
FAIとは、Es層内プラズマ中の不安定な構造が地磁気の磁力線に沿った鉛直方向に対して電子密度が高くなる濃淡構造をいう。FAIは磁力線に直行の方向から入射する電波を強く後方散乱し、夏の夜半前にしばしば現れるといわれている。


〇Esの成因
〇「キングソロモンの法則」説
Esの成因については昔から様々な研究が成されている。
かつてはアマチュア無線家が「キングソロモンの法則」(発案者JA1KS氏のサフィックスを捩った名称)として「日本列島を温暖前線が縦断した時、かつ雲が垂れ込めていると発生しやすい」という研究が有名。
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(出典:八重洲無線発行ハムジャーナルNO.17/昭和51年12月20日発行)
(参照サイト/https://blog.goo.ne.jp/49contest/e/d97989f6b0ac6c14f98e0f6c0cffb97a)
但しこれはあくまで上空10km以下の対流圏での現象で、上空遥か100kmに発生するEsとの直接的な因果関係はなさそうと考えられた。
Esのピークは梅雨時であるから梅雨前線が日本列島を縦断している日は珍しくはない。
ただ、自分の経験則で言うと、雷雨時に強力なEs伝搬に遭遇することがよくあるので対流圏での気象現象がEs層発生に全く関与していないと言い切るのは疑問とも思っていた。
実際、今回の6月13~17日のEs伝搬オープンも連日雷鳴が轟いていた。
これに関しては後述する「大気重力波」で説明がつくかもしれない。

〇流星成因説
VHF波すら反射するEs層であるからかなり高密度の電気を帯びた金属イオンが上空100Kmに滞留しなければならぬ。
ではその金属イオンがどこから供給されているのかと考えると恐らく流星ではなかろうかと。
流星もちょうどEs層と同じ上空100Km辺りで大気との摩擦で蒸発するというから可能性は高い。
「Es一考察『風と太陽と流星』」でも記したがEsシーズンにはいくつかの流星群があり、時差を置いて強いEsが観測されることもあった。
ただ、なぜこの夏至を中心にしたシーズンにEsが集中するのかについては、単に流星だけでは説明が付かない。

〇「ウインドシアー理論」説
最近の研究では「ウインドシアー理論」がEs層成因の最有力説。
これは上空100Km付近の東西風の速度が高さによって変化する時、電気を帯びたイオンが特定の高度に集積されるという説。
前述した流星が齎した金属イオンがこのシーズン特有の高度の違う風の向きや速さによって集積し、太陽の影響で何らかの作用で活性化してVHF波を反射するまでに至るのではなかろうかと。
ただ、ウインドシアー理論だけでは説明がつかないEs層もあると聞くので万時解決という訳でもなさそうだ。

〇「大気重力波」説
大気重力波にも影響されている説もある。
大気重力波とは、比較的短いスケールの大気振動を指すそうだ。
「大気のてっぺん50のなぜ」サイトの解説によると積乱雲が発達する時、その上空の大気は持ち上げられる。その大気は圧力が下がって膨張し、気温が下がり、周りの大気より重くなって落ちていく。落ちた大気は周りの圧力が上がるため縮んで温度が下がって軽くなり、また上昇するという振動を繰り返す。
簡単に起こる振動なので高層大気内にはこの振動で満ちているという。
積乱雲発達などの対流圏で起きる大気重力波は更に高い高度まで伝搬し、空気が薄い中間圏ではその影響力は無視出来ない程のポテンシャルになる。
上空90km位で大気重力波は壊れて熱や力を放出。その時、中間圏の風系を変えてしまう程の影響を与える。
参考文献/「大気のてっぺん50のなぜ」https://www.isee.nagoya-u.ac.jp/50naze/taiki/10.html)
ちょうどその辺りはEs層が発生する高度。
これが上空100Kmあたりに金属イオンを集積させる原因になっているとしたら、雷雨時にEsが発生する説も強ち的外れではなさそうだ。
「キングソロモンの法則」も梅雨時の集中豪雨の際、梅雨前線に発達する積乱雲によって発生した大気重力波が遥か上空100kmの超高層大気層に影響し、Es層生成に寄与しているとしたら、これもEs発生要因の目安として間違っているとは言えまい。

恐らく、どの説も様々な多角的視点から見た相違があるだけでEs層成因としては間違っていないのだろう。
成因は朧げに分かったとして、では果たしてEsは実際にどのようなカタチでどんな動きをするのだろう。

〇Esの発生とその正体を知る
15年位前まではアナログ地上波テレビLOWチャンネルの異常伝搬テロップをEs発生の目安にしてきたが、今日では、NICT(国立研究開発法人 情報通信研究機構)のionospheric-signalサイトが便利。
日本の4か所の観測地点から得られたデータより電離層概況をリアルタイムで知ることが出来る。
見かけ高度120km以下で臨界周波数8MHzを超える強いスポラディックE層が発生するとその地域が赤く記されて明瞭だ。
しかし、あくまで「点」としてのEsデータであり、高い数値が示されていても実際はEs伝搬が観測されなかったり、その逆もあった。
また2次元的にEs層がどんな状況で生成されているかは判らない。

〇Es層を2次元視覚化する「VHF 帯電波観測によるスポラディック E のモニタリング観測 - アクティブデータアーカイブ」
ところで先日、ネットでEs関連記事を検索していると興味深いサイトを見つけた。
それが「VHF 帯電波観測によるスポラディック E のモニタリング観測 - アクティブデータアーカイブ」
これは電気通信大学,電子航法研究所,情報通信研究機構の 3 機関の共同で実施されているEs観測プロジェクト。
サイトの概要を要約すると「FM放送帯や航空航法無線帯におけるEs異常伝搬を観測の目的とし、日本国内6か所(サロベツ、大洗、菅平、調布、呉、沖縄恩納)において2019年より航空航法用VHF通信(VORなど)を定常観測し、準リアルタイムにてデータを表示するシステムを構築」しているとのこと。
そしてGPS受信機から取得された電離圏全指数(GPS-TEC)から上空100KmのEs層を可視化しているらしい。
詳細は(http://gwave.cei.uec.ac.jp/~vor/contents/roti.pdf)
どういう仕組みなのかは難しくて解らないが、要するにこれまでは推測するしかなかったEs層の現在位置や分布場所、形状、移動方向が2次元映像として手に取るように見ることが出来るということ。
これは実に画期的なサイトだ。

トップページにあるスペクトル画像の特定の時刻をクリックすると,その時間を含む 1 時間分の Es層2次元分布データが見られ、更に1 日分の ムービーもダウンロード可能。
下の図は2021年6月17日の1200JST台のEs層画像。5分毎ごとの2次元画像になって表示される。
暖色系ほど強いEs層の存在を表記しており、直感的にEsをイメージすることが可能。

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(出典:VHF 帯電波観測によるスポラディック E のモニタリング観測 - アクティブデータアーカイブhttp://gwave.cei.uec.ac.jp/cgi-bin/vor/vhf_jpn.cgi)


またNICTの日本の4か所の観測地点から得られた臨界周波数データもシンプルな表でまとめられて、一日のEs発生状況を直感的に見ることが出来る(稚内W、国分寺K、山川Y、沖縄O)。
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(出典:VHF 帯電波観測によるスポラディック E のモニタリング観測 - アクティブデータアーカイブhttp://gwave.cei.uec.ac.jp/cgi-bin/vor/vhf_jpn.cgi)

これまでは想像するしかなかったEs層の正体がいよいよ準リアルタイムで見ることが出来る時代となった。
今後はこのデータも活用し、自分が受信したEs伝搬状況と照らし合わせてアマチュアならではの考察をしていきたい。

(GPS-TEC ROTIデータ出典:https://kaken.nii.ac.jp(KAKEN:科学研究費助成事業データベース/VHF 帯電波観測によるスポラディック E のモニタリング観測 - アクティブデータアーカイブhttp://gwave.cei.uec.ac.jp/cgi-bin/vor/vhf_jpn.cgi)

(引用は出典元の科学研究助成事業サイトの利用規定にある「文部科学省ウェブサイト利用規約)【https://www.mext.go.jp/b_menu/1351168.htm】に準拠)

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IC-705周辺アイテム追加(2020年7月8日)

専用のマルチバックLC-192の容量不足を鑑みて、従来の大型リュックでもIC-705を安全に搬送出来るアイテムを探してみた。
他のユーザーの方も試されているように、ミニ三脚は必須アイテムのようだ。
自分もカメラ量販店にて2000円台の「Fotopro 卓上ミニ三脚 SY-310」 という製品を新たに購入。IC-705に装着してみると心地よくフィットする。
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角度も簡単に変えられるし、タッチパネルを操作してもぶれる事もなく非常に良い。
アイコムもアンテナを標準装備しなかった分、代わりにミニ三脚を付けてもよかったような。
さて、これらを持ち運ぶ容器としてカメラバッグを量販店で諸々物色。
あまりサイズに余裕がないとLC-192の二の舞なので、少々大きめのカメラバッグを探す。
それで見つけたのが コールマン カメラインナーバッグMサイズVCO-8744。
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内寸はW240×H180×D100.
IC-705が上向きにすっぽり入り、奥行きは2倍以上ある。やや大きすぎる感があるが、マイクを装着したままミニ三脚も含めて収納出来る。防水処理もあり。
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液晶部分はマジックテープで固定可能な中仕切りのクッションを敷いて保護可能。
IC-705には念のためプチプチの緩衝材を巻く。
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横幅も若干余裕があるが中仕切りを利用してサイズ調整可能。
余ったスペースに予備電池も入れられそうだ。
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収納してみると中で動くこともなくフィット。
これを普段移動に使っている大型リュックに入れてみると巧く収まってくれた。
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荷物が多いハイキングやキャンプを伴う移動運用にはこちらのアイテムで行けそうだ。
一方、軽装の場合は専用のマルチバックLC-192で十分だろう。
アンテナ同軸コネクターやCWジャックの形状を改めてL型に統一。
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また、本体を固定するネジが奥まで入らなかったのはやはり留め金の不良だったようで、改めて代用できる雲台ネジに交換するとしっかり固定出来た。
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電鍵ケーブルはマルチバックサイドのスリットから入れられる。
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アンテナもL型コネクターを挟んだおかげで窮屈感も解消。
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クリップ基台を介してストレスなくアンテナ交換出来る。
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これでLC-192使用感もかなり改善された。
あとはやはり運用中の液晶部分の保護をどうするか。
フィールドではいくら注意を払っても何かにぶつけることは必至。
これまで使ってきたFT690Mk2やFT-817もソフトケースに入っているにも拘らずいくつか傷がある。
ましてこれだけ液晶部分が大きいIC-705だとちょっとしたことで致命的な損傷になってしまう。
操作時以外は常に液晶を保護できるカバーが欲しいところだ。
未だ局免変更が完了していないのでIC-705での移動運用はまだお預けだが、その準備は着々と進んできた。
諸々手間や費用もかかるが、これも新しい無線機を楽しむための一環と考えればよいかもしれない。
余談だがやっとIC-705購入記念品の煎餅を開封。
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賞味期限は9月なのでまだ問題ない。缶もレアアイテム。

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マルチバック LC-192使用感(2020年7月4日)

7月1日、アイコムIC-705専用のマルチバック LC-192を購入。
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当初は導入するつもりはなかったが、移動運用時の持ち運び手段として諸々思案したものの、結局メーカー純正のマルチバックが妥当な選択ではないかと考えた。
仕様は以下のとおり(メーカーサイトより抜粋)

●寸法
約255(W)×375(H)×148(D)mm (ショルダーベルト、ハンドルを除く)
●荷室容量
約11L
●重量
約1kg(付属品を除く)
●材質
ポリエステル

●特長
・アンテナの取付が可能なサイドプレート
・BP-272が3つ入る収納ポケット
・A4サイズが収まる背面ポケット
・アンテナ/マイクのケーブル通し口
・携帯機/マイクが装着可能なショルダーベルト
・ネームプレートホルダー
・機材に応じてバッグの中を仕切る、調整可能な仕切り板を標準装備

●メーカー希望価格
¥13,800円+税

小さめのリュックという感じ。
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先着1000名のオリジナルLEDランタンはまだ付いていた。
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マルチバック上部にIC-705を納める空間がある。
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IC-705の底部にはカメラ三脚仕様のネジ穴があるのでそこに固定するネジが付属している。
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ただネジ止め素材は薄く、あまり耐久性はなさそうだ。
ネジ止め作業は窮屈。あとなぜかネジが奥まで入らない。
仕様なのか不良品のせいなのかは解らず。
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この空間の底板には手前に出っ張りがあって押し込むとIC-705が固定される。
ただこのままだと下部の操作ボタンが埋まってしまうので、使用時には少しひっぱり出さねばならない。
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マイクを取り付けたままだと窮屈感あり。収まりもいまひとつ。
収める際にはIC-705のディスプレイや操作ボタンにやたら触れてしまうから電源を入れたまま収納しないほうがよい。
また、横の空間に余裕がなく、マイクケーブルやアンテナ同軸の引き回しに難儀する。
IC-705のマイクケーブルは保護金具がアース端子にネジ止めされているので、上部の穴から通そうとするといちいちドライバーでその保護金具を脱着しなければならない。
面倒なのでやむなく正面ファスナーの隙間から外に通す。
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今回、アンテナ端子保護のために 第一電波工業(ダイヤモンド)製 ハンディアンテナ用(BNC)ユニバーサルクリップベース(回転機構付き) MCR2(MCR-2)も購入。
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これをマルチバック横の板に挟んでアンテナを取り付けるようにした。
IC-705直結よりは端子の負担は軽くなる。
だが、これもマルチバックの横幅が狭いため、端子との間に余裕がなく窮屈。
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L型端子を改めて挟むしかなさそう。
反対側のKEY端子も同様にL型ジャックでないと端子に負担がかかる。
純正マルチバックなのにもかかわらず、フィットするというよりも無理気味に押し込む感じ。
要はすべての端子類は側面の凹んだ部分からフロント幅内に収める前提の仕様で作られているので、LC-192を使う場合は、あらゆるジャックはL型必須ということになる。
はみ出てはいけないのだ。
通常のジャックの場合、アンテナ、マイク、KEYは収納時に外しておいたほうが無難。
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クリップベースを横板に挟んでGAWANTを装着。
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あと、購入する前から危惧していたのだが、トップヘビーになるのでバッグに入れたまま東屋の机やレジャーシートで運用するとバランスが崩れて、バックごと転倒し、最悪の場合、ディスプレイを破損する恐れもある。
さて、移動運用には無線機の他にアンテナ、ケーブル、資料等も必須。
必要最小限のツールでもこれだけある。
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更に三脚、アンテナポール、カメラ等も持っていかねばならない。
ツールボックスはこのままでは大きすぎるので別の袋に入れ替えればなんとか収まるが、アンテナケーブルは無理。
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こうなると、このマルチバック以外に搬送アイテムを用意しなければならなくなる。
あるいは持ち物を削り、アンテナケーブルを必要とするポケットダイポールは諦め、GAWANTとVHF用垂直ホイップのみの移動運用に限るか。
容積が小さいのは解っていたが、思った以上に入らない。
冊子が入るスペースもあるにはあるが、「ラジオ番組表」やJARLニュースがぎりぎり入るかどうか。
正直、ちょっとこれでは従来型の移動運用には使えそうになし。
運用時にICー705をバッグから出して運用するなら、敢えてこのLC-192に拘る必要もなくなる。
別途、カメラケースなりにIC-705を入れ、それごと従来の容積の大きいバッグを用いたほうが良いかもしれない。
あと防水加工はされていないので、雨天時には防水カバーも必須となる。
使用感はそれぞれなのでこれで充分と感じる人もあろう。
慣れもあるし、今後工夫を講じれば使い勝手の糸口が見つかるかもしれない。

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IC-705納品(2020年6月24日)

6月21日に予約していたアイコムIC-705が到着。
メインリグとしては1987年開局以来、三代目。
初代FT-690MK2、二代目FT-817、そして三代目IC-705。アイコム製品は初めて。
IC-705の詳細スペックについては以前のブログ参照。
ハムフェアー時のレポート
アイコムIC-705「プレ視聴会」見学
3月末発売の予定だったが「コロナ禍」で延期。やっと6月末に発売となった。
早速開封。
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予約特典の煎餅付き。
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FT-817の梱包と比べ、倍近い大きさ。
開封すると販売店サービスのコールサインステッカーが同封されていた。
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分厚いマニュアル。
FT-817も15年以上使っているが全機能の2割程度しか活用していない。メモリーにも殆ど登録していないから、このIC-705も果たしてどれだけ使いこなせるか未知数。
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内容物は本体にマイク、バッテリー、電源コード、予備ヒューズ等。
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まず、クッションシートを底部に貼り付ける。
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次にマイクロフォン。
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なぜかジャックが二つ。
マイクがスピーカーにもなるそうだが、屋外でも常置場所でも基本はイヤフォーン。
音が外に漏れるのは極力避けたいのでこれはあまり自分の無線運用スタイルに合っていない。
マイク接続に関してはFT-817のほうがシンプル。
わざわざGND端子を外してマイクプレートを取り付けるのが億劫。
ただ、無線機やラジオで故障しやすいのは物理的衝撃や圧力で接触不良による各種端子周辺。
これまでのトラブルは殆どがこの部分だった。繰り返し脱着する部分なのでどうしても無理なストレスが発生する。それを防止する工夫は必要だ。
バッテリーを装着して基本的な準備は終わる。
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FT-817の隣に何とかスペースを設けて置いてみる。
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少々不安定だがアンテナ端子に同軸ケーブルを接続して設置完了。
スピーカー端子はオーディオセレクターに接続。マイクのスピーカージャックが余計に宙ぶらりんになるが仕方なし。
局免の変更申請は昨日したばかりなのでまだ電波は出せない。
まだマニュアルは熟読していないが、取り急ぎFMとAMの受信性能を調べてみる。
FM放送帯はWFM,FMモード両方対応。
但しFMモードだと音声が「モガモガ」状態で実用に耐えず、結局WFMに戻す。
またWFMモードではデジタルIFフィルターは選択出来ないようだ。
ログペリに接続すると都内強電界域ではアンテナの向きによっては混変調、相互変調起こす。
RFゲインを変えてもあまり効果なし。
しかしアンテナの向きを調整すれば一般のFMラジオレベルの受信性能あり。
FT817よりは実用に耐える。
ただF777等のFMチューナーと比べると数ランク劣るか。
近隣CFMもチューナーで受信出来る局がIC-705では入らない場合も。
スペクトラムスコープは最大±500KHz?。FM放送帯全体を一括して表示確認は無理なのか?
マニュアルを熟読していないので表示範囲がこれ以上拡大出来るかは不明。
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次にAM放送帯。
中波帯はDPアンテナを同軸の芯線のみ接続のほうが感度上がる。
なぜか波長の合っていないV,UHF帯域のログペリで受信したほうがFB.理由はよく解らず。
AM受信性能は良好。
混変調、相互変調もなし。ノイズも乗らない。
特にデジタルIFフィルターが利いてローカル局の混信を綺麗にカット。通信型受信機並みの性能。
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昼間は1557KHzのSBS熱海も入る。
936KHzで秋田放送や宮崎放送がTBSのサイドQRMなしに受信可能。
また久しく常置場所で受信出来なかった1665KHzの東京マーチスも入感。
スペクトラムスコープでMW放送帯をほぼ一括で表示できるのは便利で画期的。
夕方と深夜の受信状態の違いが視覚的に確認出来るのもよい。
まだ暮れぬ18時台は1134KHz文化放送中心に±500KHz内にはローカル局のみが見える。
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しかし夜間にはたくさんの遠距離局が入感していることが直感時に解る。
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またここ数年前から常置場所でVHF帯に発生源不明の等間隔ノイズが発生していたのだが、これもIC-705のスペクトラムスコープで見事可視化。
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すでにスペクトラムスコープ搭載のRXを使っているユーザーからするとこれが普通なのだろうが、自分にとっては全てが新鮮。
FM放送受信はいま一つだったがAM放送はBCLラジオとして充分な性能を有する印象。
ディスプレイタッチで直感的ビジュアル的に操作、送受信バンドを把握出来るポータブル機は従来の同ジャンル機と比べてもワンランクステージが上がった感がある。

しかし、このIC-705の形状が従来のポータブル機のような「お弁当箱」型ではなく、レンガ状なため、単体で持ち運ぶ方法が思いつかない。
FT690MK2やFT-817はショルダーベルトで首から提げて容易に扱えるが、IC-705ではそのような状態で操作は難しい。
専用マルチバッグLC-192が用意されているが、背負ったままでは別途スマホ等で遠隔操作が必要だし、容量がやや少なく、徒歩移動となると別途荷物を入れるバッグが必要となる。
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FT-817ならば専用ソフトケースに入れて無造作にリュックに詰め込んでも問題なかったが、このIC-705は専用ソフトケースもなく、剥き身だとディスプレイが破損する恐れもあってそうもいかない。
理想を言えば背中でなく、前に抱えるように持ち運べるフロント型の専用バッグがあると良いのだが。
現状ではやはりLC-192を導入するのが安全な搬送方法かもしれない。
欲を言えば黒だけでなく、迷彩柄があると好みに合う。
あと、IC-705はアンテナ端子がひとつなのでHFとV・UHFアンテナ脱着を繰り返すと余分な負担がかかり、故障の原因となり得る。そのトラブルを避けるため、同軸切り替え器は必須。
まだまだIC-705を有効に使いこなすには諸々関連アイテムを整備する必要がありそうだ。

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