無線関連コラム

ラックスマン製真空管FMチューナーキット製作(2020年2月26日)

数ヶ月前に購入した真空管FMチューナーを製作。
製品名はラックスマン製真空管シリーズ「真空管FMチューナーキット 『LXV-OT8』」
ムック本の付録形式になっているキットだ。
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管球式FMチューナーなど今後発売されることはめったにないと鑑み、やや高価だったが購入に至った。
詳細は以下の通り。


●ラックスマン製真空管シリーズ「真空管FMチューナーキット 『LXV-OT8』」
Stereo編 ONTOMO MOOK「電波を受信せよ! 真空管FMチューナー」
特別付録:ラックスマン製真空管FMチューナーキット
・発売日:2019年9月19日(木)
・定価:15000円(本体)+税

真空管FMチューナーキット 「LXV-OT8」スペック
 ・出力電圧(100%変調、1kHz):0.9V
・受信周波数範囲:《FM》76.0~90.0MHz《ワイドFM(FM補完放送)》87.0~108.0MHz
・50dB S/N 感度:8μV
・周波数特性:30~15kHz(-3dB)
・電源電圧:DC12V
・消費電力:3W
・寸法:180W×86H×118D㎜(脚部、突起物含む)
・質量:620g

【付属品】
ACアダプター(出力DC12V 1A)、アンテナ線(ミニプラグ付き) 、真空管(12AU7)

【付属回路】
チューニング・インジケーター、ステレオ・インジケーター、FM/ワイドFM切替スイッチ、ワイドFM・インジケーター


今時、真空管形式によるFMチューナーなど珍しい。
ラジオ全体として考えても、真空管を使った受信機は電子工作的教材アイテムやビンテージ中古品を除き、新製品として発売されることは殆どない。
1990年頃、嘉穂無線の真空管ラジオキット、TU-896というのを作ったことがある。
整流管をダイオードに変更した、5球スーパー相当の4球ラジオ。
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文系の自分にとっては半田付けに難儀した記憶があるが、紆余曲折の末、何とか完成させた。
中波ループアンテナを接続すると最新の受信機と比べても遜色ない受信性能だった。
むしろ内部雑音が少なく、受信環境に恵まれればアンテナ次第で遠距離受信も可能。
かつて、中波DXには管球式の受信機がよいとされ、その代表格となるトリオの9R59Dが今でも高値で取引されている。
何より、真空管の持つエモーショナルな雰囲気がモチベーションを高めてくれる。


さて、この真空管FMチューナーキット 『LXV-OT8』。
キットといっても躯体と基板をネジ止めするだけで、半田付けも必要なし。
工学知識がなくともムック本に記載されている組み立て説明書を見れば誰でも1時間以内で作れる。
ただ、ネックはネジでシャージに溝を切っていくタッピングネジを採用している点。
ねじ山に合っていなかったり、力を入れられないドライバーだと全く埒が明かない。
あいにく、それに合致するドライバーを持ち合わせていなかったので最初から頓挫。
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DIY店で改めてドライバーを購入する手間を要した。
それでなんとか事なきを得る。

このキットに使われている真空管は「12AU7」一本のみ。
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他の方の製作記事等を読むとラジオの受信部分に関してはシリコンラボの「Si4831」というIC一つで全て賄っているとか。
おそらくこの中央の黒いチップがそうであろう。
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このICはFMラジオを受信するための必要な機能を全て内蔵し、アンテナを接続するだけでステレオのオーディオ信号出力が可能だとか。
「12AU7」は「Si4831」で検波した後の音声信号増幅用らしいので受信性能としては同様のICを搭載したDSPラジオと基本的には変らないということだろうか?
因みにDSPラジオとは同調・検波等を"Digital Signal Processor"というデジタル信号処理に特化したマイクロプロセッサで行う方式の受信機のこと。
管球式FMチューナーと銘打ってはいるが、古典的真空管ラジオとは中身がだいぶ違うようだ。

さて、組み立ては適合したドライバーを使えば難なくあっという間に完成する。
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最後に天井板をネジ止めして完成。
フロント正面左から電源スイッチ、チューニングノブ、FM周波数帯切り替えスイッチと並ぶ。
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「FM WIDE SELECTOR」とあるが選択度切り替えではなく、FM周波数帯76~90MHz帯と87~108MHz帯切り替えスイッチ。
チューニングノブは段差なしの直線的アナログチューニング。
右側の小窓から真空管が覗ける。その脇にチューニング、ステレオ、FMワイド(87~108MHz帯)時のランプが並ぶ。
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裏側には音声ステレオ出力端子、アンテナ端子、電源端子が並ぶ。
イヤフォーン端子はないので音声出力をオーディオアンプに繋がないと聴くことが出来ない。
アンテナ端子は3.5mmミニプラグ。
付属品のアンテナコードでは貧弱すぎるのでF型接栓変換アダプターを使い、同軸ケーブル経由で外部FMアンテナに接続。

ACアダプターをコンセントに差し込み、電源を入れると真空管が輝きだす。
ゆっくりとチューニングノブを回して選局。
同じアンテナに接続したFMチューナーと受信性能を比較してみる(巻末表参照)。
感度は遜色ない。
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強電界域で起こる混変調や相互変調も発生しないし、周波数ずれも起こらない(そもそもDSPラジオではそんな現象は起きないか?)のでアンテナ次第で遠距離受信も可能。
ただ選択度が広いので隣接局との分離が微妙で同調しにくい。
ローカル局の近くに出ている信号の弱い局は受信困難。
当たり前だが周波数表示がなく、ノブの目盛りも数字が入っていないので選局に手間取る。
一方、音質はFBで同じアンプを経由してF-777と聞き比べても重厚さが勝る感じ。
真空管の仄かな灯りにエモーショナルな気分が増幅される。
基本的にこの『LXV-OT8』は安定して受信できる局を高音質で聴取するためのFMチューナーと言えよう。
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改めてFMをいい音で聴きたくなるようなチューナーだが、今や殆どの局がトーク中心。せっかく真空管で増幅された贅沢な音声も無粋なお喋りばかりでは勿体無い。


LUXMAN LXV-OT8とONKYO NFR-9X
FM放送受信情況比較リスト

受信地/東京都杉並区・受信日時/2020年2月27日0800JST~
アンテナ/5エレ八木FM・地上高6m(南西固定)

周波数(MHz) 局名

LUXMAN LXV-OT8   

ONKYO NFR-9X   

77.7 FM入間
2

3
78.0 BAY-FM(千葉)
5(ST)

5
78.2 武蔵野FM
5

5
78.6 FM富士(三ッ峠)
5(ST)

5
79.5 NACK5(埼玉)
5(ST)

5
80.0 東京FM
5(ST)

5
80.7 NHK千葉
5(ST)

5
81.3 J-WAVE
5(ST)

5
81.6 NHK前橋
-

2
81.9 NHK横浜
5(ST)

5
82.5 NHK東京
5(ST)

5
83.2 NHK水戸
-

3
83.4 FM世田谷
5(ST)

5
83.8 調布FM
4

4
84.2 FM西東京
4

4
84.7 FM横浜
5(ST)

5
85.1 NHKさいたま
4

4
86.0 NHK三ッ峠
5

5
86.6 東京FM(檜原)
5(ST)

5
88.3 J-WAVE(六本木)
5

5
89.7 INTER FM
5(ST)

5
90.5 TBS補完
5(ST)

5
90.9 YBS補完
5(ST)

5
91.6 文化放送補完
5(ST)

5
92.4 RF日本補完
3

3
93.0 ニッポン放送補完
5(ST)

5
94.6 茨城放送補完
4

4
   

   

   

 



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アイコムIC-705「プレ視聴会」見学

来春3月下旬の発売が決まった待望のオールモードポータブル機、アイコムIC-705の「プレ視聴会」が秋葉原CICV研修センターで開催。
何とか午後に時間を作って会場に赴いた。
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受付でパンフレットとアンケート用紙をもらって入場。
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室内にはコメット、第一電波工業アンテナメーカーやハム番組を持つコミュニティーFMスペース等と共にIC-705が3台置かれ、自由に触ることが出来た。
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IC-705そのものの性能などはハムフェアー直後のブログに感想を述べたのでそちらを参照
発売日と共に12月16日に発表されたメーカー希望価格は税抜き124,800円。
想定より高いという声もあるが実売価格だと10万円ちょっとだろうか?
ハムフェアー時に語られた価格とそれ程大きな差はない。
いずれにしろ、FT-817以来、実質約20年ぶりの新しいHF+50/144/430オールモードポータブル機なので注目度が高い。
午前中の部では会場に入り切らないほどの人で埋まったとか。
大凡200人近くが訪れたらしい。
午後は比較的落ち着いて動ける人数に。
ハムフェアー以来、約3ヶ月ぶりに観るIC-705の現物はイメージより小さい。
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手元には現物大の写真が載ったチラシがあったにも拘らず、そう感じたのは如何にIC-705が画期的なコンパクト設計であることの証だ。
液晶タッチパネルタイプの無線機を扱ったことがないので、基本的な操作方法も解らぬままだが、FT-817と比べるとポータブル機としては多彩な操作性と斬新なルックスはギアとして圧倒的な魅力がある。
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左サイドにはBNCコネクターとアース端子。
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ハムフェアー展示時には見なかった底面に三脚ネジ穴と思われる部位を確認。
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これで屋外での設置方法の選択肢が増える。
またFM放送受信設定でリアルタイムスペクトラムスコープ&ウォーターフォール表示画面を見て、これはFM遠距離受信を視覚でチェック出来る画期的な機能であることに気がつく。
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受信機としても面白そうだ。
所有しているFT-817やVX-3のFMラジオ選択度はワイドのみで多信号特性も悪く、混変調や相互変調で都内の強電界域での遠距離受信には耐えられない。
IC-705はSDRレシーバーなので、それ以前のラジオと受信性能を単純比較することは出来ないが、期待出来そうだ。
また移動、フィールド運用に最適なマルチバッグ LC-192(オプション)も展示。
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標準装備なのかは不明だがハムフェアー展示時にはなかったアンテナを取り付ける金具も付いていた。
移動時に無線機をリュックに背負ったまま運用することは殆どない。
だから、使い方としては本体をバッグから出すことなく机やレジャーシートにそのまま設置し、即席運用棚として利用できないかと模索する。
だが、素材が柔らかいので安定させるのは難しそうだ。
樹木や三脚にバッグごと引っ掛けるとかすればなんとかいけそうか?
でも、あまり既成概念だけで考えないほうがよいかもしれない。
IC-705はマルチバッグに入れたまま、手元のスマホでBluetooth/無線LAN接続で遠隔操作するのが主流になるかも。


13時30分より「IC-705の魅力(午後の部)」セミナー開始。
メーカー担当者がプロジェクターを操作しながら解説。
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内容は以下に要約。
●アイコムとしては2003年発売のIC-703以来、約17年振りのポータブル機。
しかし当時は八重洲FT-817の後塵を拝してあまり売れず、不評だったと回想。
●今回は満を持してのIC-705。世界で年間1万台の生産目標を見込む。
●KX-3やFT-818に比べて操作性を重視。
●本体に標準装備されるのはマイク、DCコード、バッテリー。
●重さ1Kgに抑えるもアルミダイキャストで耐久性維持。
●ダイレクトサンプリングは24MHzまで。24MHz以上はダウンコンバージョン。理由は電流節減のため。
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●4、3インチディスプレイはIC-7300と同じ。
●BNCコネクター採用理由は軽量化の優先。M型は重くなる。
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●発売日設定は3月末が決算日だから。
●メーカースタッフの多くがIC-705に関わり、現在も設計中。
●出来るだけD-STAR利用してほしい。JARLも推奨し、自分の娘がCWとD-STARに関心を寄せているので若い世代には受け入れやすい。
●3月までに予約すればプレゼント企画も?
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講演につづいておもな質疑応答
●質問/430MHz帯にプリアンプは入っているのか? 回答/感度スペック等まだ出ていない段階。これらはまだ設計中。
●質問/アース端子は仕様決定?ネジだとなくしそう。 回答/まだ設計段階。検討する。
●10w出せる電源電圧範囲は? 回答/出来るだけ低電圧でも動かしたい。
●販売キャンペーン企画案は? 回答/SOTA等にアピール検討。
他、諸々意見等。
●CWデコード機能がほしい。
●5アマ制度でもっと若い人にアマ無線参入しやすくして。
●ベルトで携帯しやすくしてほしい。
●リニアアンプ、チューナー要望。
●モバイルバッテリーからUSB充電機能欲しい。
●ハムログ入力機能とか、OSはAndroidよりiOSがよい等。


14時20分頃、セミナー終了。
参加者もIC-705には期待大で時間一杯まで質問や要望が続いた。
基本的にハムフェアーの時のプレゼンテーションと大きな差はなかったが、メーカー側もまだまだ設計途中らしく、意見をフィードバックして今後も変更がありそう。
夕方から所用があり、「IC-705&IC-9700で楽しむ D-STAR」は残念ながら視聴出来ずに退室。
アンケート用紙に記入し、受付で渡すとアイコムの2020年カレンダーを頂けた。
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発売日、価格も決定し期待が膨らむIC-705。

FT690MKⅡで開局して17年間。その後FT817を導入し15年間。
どちらも移動運用、固定機として兼用してきた。
自分のような基本的にメイン機1台を耐久年代限界まで使い倒すタイプだと無線機に対する購入欲は15年位に一回程度しか沸かないが、今回はその3回目の波が来たようだ。
自分にとってIC-705は購入タイミング、無線嗜好(QRP移動)、またモチベーション的にも合致する稀有な無線機だ。
3月下旬の発売日が楽しみである。

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ICー705雑感

さて、今回ハムフェアで最も注目されたアイコムIC-705の個人的感想等。

配布されたパンフレット(アイコム公式サイトからPDFがダウンロード出来る)に記された主な仕様は以下の通り。
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ic705カタログb

●大きさ
幅20cm×高さ8cm×奥行き8.5cm
重さ電池込みで約1Kg
●HFから50、144,430MHzオールモードカバー
D-STARのDVモードも可能
30KHzから144MHzまで連続受信カバー
●リアルタイムスペクトラムスコープ&ウオーターフォール表示
●タッチ操作対応大型カラーディスプレイ搭載
●リチウムイオン充電池(BP-272)、外部電源(13.8V)の使用が可能
●送信最大出カ10W(外部電源13.8V時)/5W(付属充電池使用時)でQRP、QRPpでの運用にも対応
●Bluetooth/無線LAN接続に対応
●GPSアンテナ、GPS口ガーを搭載
●microSDカードスロットを装備
●V/UHFに対応したホイップアンテナとスピーカーマイクが付属
●移動、フィールド運用に最適なマルチバッグ「LC-192」を用意


とのこと。

久々のフィールド運用メインのHF~430MHzオールモードポータブル機新製品。
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徒歩QRP移動運用ユーザーにとって2000年発売のヤエスFTー817とその後継機818ND以外にほぼ選択肢がなかったオールモードポータブル機。
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この約20年の間、他社にFT-817の対抗機がなかったその理由は解らない。
もっともまったく存在しなかった訳でもなく、2003年に発売されたIC-703も移動運用機として位置付けられたとも言われる。
2007年のアイコムカタログより↓
ic703カタログ

だがその割には短命で、今はもう生産中止。
2004年にFT-817を購入した際、IC-703は検討の対象にならなかった。というより知らなかった。
また、2011年頃に発売されたエレクラフト製のKX-3という無線機もQRP移動運用に特化されたリグだが、海外製ということで価格も17万円前後(本体完成品輸入代行価格サポート代含む。オプション含めれば20万円近く)らしく、なかなか手が出せない。
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他は固定用に重心を置いて外部電源オンリー、車載すれば移動運用も出来なくもないという機種ばかり。
つまり、移動運用イコールモービル前提という時期がずっと続いていた。
結局、徒歩オンリーユーザーに限ってはFT-817シリーズの独断場が延々と続く結果に。
だがSOTAやフリーライセンス無線人気が上昇する中、この期に及んでやっと他の国内主力メーカーも徒歩フィールド運用をメインとしたアマ無線機需要に気がつき始めたのだろうか?


さて、このIC-705.
それぞれの観点からFT817系と比較してみようと思う。


●躯体、大きさ、重さ
初めて観る印象としては、「レンガの塊」。
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重さは約1Kg.FT-817の電池装着時と大きな差はない。
ポータブル機のイメージとしては、やはりショルダーベルトを肩や首に引っ掛けて運用する古典的スタイルが目に浮かぶ。
FT690MKⅡのような「青春ポータブル」イメージ。
しかし、このIC-705はあくまで横置き。
どうしても車載用という印象が拭えない。
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これを縦にして、昔のCB機やピコシリーズのようなフラットな立方体にし、メインダイヤルをトップに置き、ストラップを標準装備にすればポータブル機としてしっくりいくのだが、このままだとどう持ち歩けばよいのか迷う。
なので、勝手にカスタマイズした妄想イラストを描いてみる。
IC705妄想色ab
一応IC-705の背面にはベルトも通せるスリットがあるので肩掛けも不可能ではない。
もっとも、移動運用時に肩掛けのまま運用することは稀で、レジャーシートなり東屋の机の上なりに設置する訳で、実際使ってみないと何とも言えず。
いずれにしろ、もう少し形状的にスッキリさせて、スタンドも付けるとかすれば、よりベターとなる。
FT-817も横置きした場合、スタンドがないのでディスプレイが見難く難儀している。この部分だけでも使い勝手は飛躍的に向上する。
IC-705には移動、フィールド運用に最適なマルチバッグ「LC-192」が用意されている。
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カタログにも写真が載っていて徒歩移動運用をかなり考慮したオプション。
しかし、IC-703時代にも似たようなコンセプトで「LC-156」というマルチバックが用意されていたが、あまり普及した話は聞かない。
IC-703のカタログより↓
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徒歩移動運用の場合、無線機、アンテナ以外にもハイク用の備品をリュックに詰め込むので、どうしてもマルチバックの容量には収まらない。
このオプションマルチバックのみで移動運用が快適に過ごせるかどうかは何ともいえず・・。
ただ、IC-705はIC-703よりかなりコンパクトなので、単純な比較は出来ないだろう。


●操作系、ディスプレイ

最新の固定機に標準装備されたタッチ操作対応大型カラーディスプレイをポータブル機に導入した点はFT-817を大きく凌駕する。
20年近く前に設計されたFTー817系は、ディスプレイも最小限。同じボタンでいくつもの操作を兼用するので、未だに迷うことがある。少なくともIC-705のほうが操作しやすいのは明らか。
実際、移動運用でタッチ操作対応大型カラーディスプレイが必要かどうかは解らないが、最新の固定機を持っていない者からすると、非常に新鮮で面白そうだ。
問題は消費電力。このディスプレイ使用であっという間に電力が無くなったら本末転倒。
あと、移動運用は物理的に衝撃が加わる事も多々あり、これだけディスプレイが大きいと破損する可能性も大。
ディスプレイ保護のカバーも必須と思われる。


●電源

電源はリチウムイオン充電池(BP-272)、外部電源(13.8V)の使用が可能。
屋外だとこの専用充電池が切れたら、嵩張る外部電源が別途必要。
予備の専用充電池は必須。
単3アルカリ電池やエネループが使えるFT-817系のほうが汎用性は高い。


●その他の機能
最新リグであるIC-705はBluetooth/無線LAN接続に対応し、GPSアンテナ、GPS口ガーを搭載、microSDカードスロットを装備している。
当然ながら2000年設計のFT817系には入っていないので比較に意味はない。
またIC-705にはオートアンテナチューナーが搭載されていない点が残念という声も聞く。
移動時にアンテナのマッチングが面倒になるので、あるに越したことはないのだろう。自分はオートアンテナチューナーを使ったことがないが、アンテナカップラーでHF帯のアンテナ調整は確かに面倒だった。
今はGAWANTで簡単に調整できるのでQRPPであれば、オートアンテナチューナーがないFT-817でも問題なし。この点はIC-705でも同様だろう。


●価格
IC-705の実売価格予想は10万円前後になるとネットでは噂されている。
FTー818NDの実売価格は8万円弱前後。
機能差を考えるとIC-705が高すぎる感じはしない。


●個人的感想としてIC-705導入の可否
1987年に開局し、FT690MKⅡで17年間。
2004年にFT817を導入し、15年間。
どちらも移動運用、固定機として兼用してきた。
他はミズホP-7DX(7MHzCWQRPP機)とスタンダードVX-3(144、430FMハンディー)だけ。
現在FT817は所々ガタがきて、八重洲のサービスへ修理に出している。
FT-690MKⅡはここ10年以上使用しておらず。
10Wリニアで電源は入るが電池ボックスが液漏れで破損。移動運用には使えそうにない。
FT690MKⅡからFT-817に乗り換えたときは、690MK-Ⅱの受信機能等に劣化が見られ、アフターサービスも終了している上に50MHzオンリーの移動運用はややマンネリ化していたという状況もあり、新機種導入は時間の問題でもあった。
だが今のFT-817は基本的に過不足もなく、自分の無線スタイルとしてはまだまだ使っていけそう。
これまで殆どQRVしていなかった18~28MHz帯もGAWANTアンテナを使えばこのFT-817で十分QRP交信が楽しめる
しかし、最近のFT8やD-STAR等のデジタルモードは対応が難しい。
無理してデジタルモード交信しなくともよいのだが、GPSで経路を記録したり、最新のディスプレイで操作してみる楽しみも捨て難い。
この辺りで、IC-705を導入してもタイミング的には悪くはないとは思う。
まあ臨機応変にFTー817と併用してもよい訳だから、メインリグ更新として視野に入れておきたい。


●ハムフェアーでのプレゼンテーション
今回のハムフェアではIC-705のプレゼンテーションとフォトセッションが何回か組まれていた。
初日は相当混雑していたようだ。
宣伝の仕方も巧い。ハムフェアー前に一部輪郭部分だけを公表し、興味を掻き立てる。
アイコムブースのIC-705コーナーはアウトドア風のディスプレイで「待望のオールモードポータブル機」であることを演出する。
それが功を奏してか、常に人垣である。
プレゼンテーションとフォトセッションは写真撮影もプログ掲載もOKということで、空いた9月1日の13時30分台に開かれた時間帯に見学する。
カタログにも掲載されたマルチバックを背負ったモデルMasacoさん(局免持ち、JARL広報大使でもある)が登場し、ポーズをとる。
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体の小さい女性と比べても確かにコンパクトだ。
もし、このIC-705が大ヒットしたら、新たなる移動運用ブームが来るかもしれない。
アニメ『ヤマノススメ』や『ゆるキャン』などでソロキャンパーは増えたらしいので、メーカーやJARLがアウトドア界隈とタイアップキャンペーンを展開し、萌えキャラクターで移動運用アニメを地上波や動画サイトで放映配信すれば、まったくありえない話でもない
他のメーカーも呼応して次々に同様なポータブル機を発売。パナソニックも半世紀ぶりに新RJXシリーズを復活なんて時代が来るかも。
あるいは逆にIC-703と同様に煮え潰れ、結局2020年以降もFT-818が唯一HF~430MHzオールモードポータブル機として細々と生き長らえる運命なのかもしれない。

いずれにせよ、このIC-705が新世代ポータブル機の新たな波を呼び込んだことだけは間違いない。

最後に主な現有のHF~50MHz/144/430オールモードのポータブル機とIC-705のスペック比較表を作ってみた。



●2019年9月現在/公式サイト製品カタログから抜粋(詳細はメーカーサイト確認のこと)

  YAESU FT-818ND KX-3
ICOM IC-705
送信周波数範囲 1.9MHz帯 ~ 50MHz帯
144MHz 帯、430MHz 帯のアマチュアバンド
4630kHz( 非常連絡設定周波数)
1.8MHzから50MHzまでのアマチュアバンド HFから50/144/430MHz
受信周波数範囲 100kHz ~ 30MHz
50MHz ~ 54MHz
76MHz ~ 108MHz(WFM のみ)
108MHz ~ 154MHz
420MHz ~ 470MHz
(代理店サイトには記載なし) 30kHzから144MHz帯まで連続カバー
モード A1A(CW)、A3E(AM)、J3E(LSB/USB)、F3E(FM)、
F1D(9600 bps packet)、F2D(1200 bps packet)
SSB,CW,データモード(4種),AM,FM SSB/CW/RTTY/AM/FMに加えD-STARのDVモード
定格送信出力
(アマチュアバンド内)
6W(SSB/CW/FM)、2W(AM)
6W/5W2.5W/1Wの4段階の設定
出力可変範囲0.1~10W(高効率10W/5Wの2台のパワーアンプ内蔵)
KXPA100 オプションにより 100W
最大出カ10W(外部電源13.8V時)。付属のリチウムイオンバッテリーBP-272(7.4V 2000mAh)装着時は、最大出カ5Wでの運用が可能。QRP(5W)QRPp(0.5W)にも対応
電源電圧 外部電源:定格 DC13.8V ± 15%(マイナス接地)
(使用可能電圧:DC8.0V ~ 16.0V)
内部電池:単三乾電池 DC12.0V
SBR-32MH DC9.6V
13.8V
単3型ニッケル水素電池 8本 内蔵可能
外部電源13.8V
付属リチウムイオンバッテリーBP-272(7.4V 2000mAh)
外形寸法 (W x H x D) 135 mm x 38 x 165mm (突起物含まず) 188x86x43mm(オプション無し)
約200mm×約80mm×約85mm
質量 約900g:本体のみ(乾電池、充電池、アンテナ、マイクは含まず) 680g(オプションを含まず) 約1kg(充電池BP-272含む、アンテナ除く)
実売価格(19年9月現在) 8万円弱前後

169,248円(本体完成品輸入代行価格サポート代含む)価格表参照

10万円前後を予定
発売日 2018年3月(原型のFT-817は2000年) 2011年 2020年3月発売開始を目指す
その他 充電式のニッケル水素電池(1900mAh)を標準付属している他、単3形乾電池運用、外部電源による運用など多彩な電源供給に対応し快適なポータブル運用が可能。
・充電式電池運用:ニッケル水素電池パック(9.6V 1900mAh)標準付属
・乾電池運用:単3形アルカリ乾電池8本による運用(乾電池ケースは標準付属)
・外部DC電源運用:外部電源ケーブル(E-DC-6) 標準付属
小さなサイズに関わらず1.9~50MHzの全てのアマチュアバンドをオールモードでカバー、大型固定機に
迫るDSP機能をフル活用可能。(詳細は公式代理店サイト参照
●RFダイレクト・サンプリング方式を採用
●リアルタイムスペクトラムスコープ&ウオーターフォール表示
●タッチ操作対応大型カラーディスプレイ搭載
●リチウムイオン充電池(BP-272)、外部電源(13.8V)の使用が可能
●送信最大出カ10W(外部電源13.8V時)/5W(付属充電池使用時)でQRP、QRPpでの運用にも対応
●Bluetooth/無線LAN接続に対応
●GPSアンテナ、GPS口ガーを搭載
●microSDカードスロットを装備
●V/UHFに対応したホイップアンテナとスピーカーマイクが付属
●移動、フィールド運用に最適なマルチバッグ「LC-192」を用意

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移動運用心得、備忘録2019

2001年より移動運用記をブログに記録して、2019年新春までに延べ移動運用回数も210回を超えました。
これまで特に自分の移動運用に関するスタンスは記してこなかったのですが、世の時流と共に変化する昨今の移動運用環境を鑑みて、これまで得た経験などから移動運用の現状や将来への展望などを年頭に当たって備忘録的に綴ってみることにしました。
あくまで個人的見解ですので、必ずしもこれが正しいというものでもありません。
移動運用を嗜む各位が自己責任の下で判断し、今後の移動運用ライフの参考になれば幸いです。

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●自分のアマ無線、ライセンスフリー移動運用のスタイル
1987年にアマ無線を開局して以来、一貫して徒歩、公共交通機関を使ったシングルQRP運用(5W以下)に限られます。
モービル運用や多素子指向性アンテナ、5W以上の運用、移動地での広い占有スペース確保が必要なテント、発電機の使用、更には複数人でのグループ移動運用(無線とは無関係な知人、家族とのハイキング等は除く)に関しては範疇外ですので、ここでは述べません。
また、ライセンスフリー無線は、基本的に特定小電力のみの運用です。
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●移動時の機材、運用バンド一覧(2019年1月現在)
○無線機
<アマチュア無線>
FT817&VX-3
<ライセンスフリー>
ユニデンSLT001(特定小電力無線)
○運用周波数
<アマ無線>
50~430MHz中心。
最近は21~28MHz帯にもQRV可能に。
出力は電池運用で0.5~1W.
<ライセンスフリー>
特定小電力422MHz帯10mW
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○アンテナ
<アマ無線>
50~430MHzSSB,CW/ミズホのポケットダイポールPAN-62(FT817使用時)
およびローディングホイップ
144・430MHzFM/DIAMOND SRH805S(VX-3使用時)
21~28MHzSSB,CW/ GAWANT
7MHz~28MHz/BNC750
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●移動運用地の選択
私が行う移動運用場所は主に公共交通機関と徒歩で日帰りアプローチ可能な東京近郊の小高い丘、展望台、高層ビルの展望ロビー等です。
移動運用地を選ぶ基本的スタンスとしては
1.従来から移動運用地や夜景スポットとして周知されている見晴らしのよいパブリックスペース。
2.公式サイトや現地掲示板に無線禁止の明記がなく、特に許可を要しないパブリックスペース。

を基本的な選択条件にしています。

●移動運用地別運用例
○展望ロビー
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2012年、当ブログにて「東京スカイツリー展望台からの移動運用を考察する」と題して、高層ビル展望ロビーにおける移動運用に関して述べたことがありました。
もうあれから7年経っていますが、今尚東京近郊にてV~UHF帯のQRP移動運用地として高層ビルなどの展望ロビーパブリックスペースは欠かすことが出来きない貴重なポイントです。
どなたかが高層ビル移動を「アーバン移動運用」と呼称される位、アマ無線、ライセンスフリー問わず盛んなジャンルかと思います。
都心部には多くの高層ビルが林立し、その中には無料、有料問わず高層部に展望スペースが設けられており、無線運用が可能です。
東京のような密集地で多くの局と交信する場としてはアクセスの利便性含め、コストパフォーマンスが優れています。
但し、スペースは狭く、人も多いため、主にQRPハンディ機での移動運用に限られます。
私は主にスタンダードVX-3を使用します。
非常にコンパクトでウエストポーチに入れておけば意識せずに持ち運べます。
アンテナは直付けのヘリカル。出力は1W以下。
運用時間は大体1時間以内に納めます。当然イヤフォーンを使用。
夜景など眺めながら運用すれば飽きることもありません。

●山、丘陵
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東京近郊で公共交通機関と徒歩で移動運用可能な場所はかなりの数に上ります。
昔から高尾山系、御岳山系等は移動運用のメッカ。
多摩丘陵地帯を含めれば数え切れないほどです。
徒歩移動は体力を使うので出来るだけ荷物は軽くし、8Kg程度に留めます。移動時はハンドフリーにしたいので荷物は出来るだけリュック一つにすべて収めるのがベターです。

屋外移動時の持ち物
機材一覧
●無線機/ヤエスFT817
FT817は荷物の限られる徒歩での移動運用定番無線機。オールモードで HF~430MHzまで手軽に出ることが出来る。重さは1Kg強程度。内部電池では最大出力2.5W。
電池消耗を考えると0.5Wに絞ればエネループでもかなり長時間運用可能。
●スタンダードVX-3
超小型144/430FMハンディー機。
ラジオや業務無線も聞くことが出来て、現地でのFM放送受信状況を調べる特にも役に立ちます。
●ユニデンSLT001
特定小電力トランシーバー
●ラジオ/ソニーSRFM-100
AMステレオ受信可能。小型ラジオにしては受信性能がよく、VX-3と併用して屋外BCLに使用。
●サンヨーICRーRS110M(ICレコーダー付)
受信音声録音用
●アンテナ/ミズホポケットダイポールPAN-62
1.5mのロッドアンテナを2本使用し、6mバンドの半波長分の長さになる。
コンパクトで屋外QRP移動運用の定番アンテナ。
●ローディングホイップ
FT690Mk2に付属していた6m垂直アンテナ。
●電鍵/ミズホBK1S
超小型電鍵。
アンテナポール「SポールⅡ」
重さ580g。縮めた時の全長は55cmほど。三脚と共に30Lのリュックにも収めることが可能なので移動運用には便利な伸縮棒。
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●カメラ三脚
アンテナポールの基盤用。
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●その他
アンテナ同軸ケーブル、電鍵コード、エネループ電池、マイク、アンテナ変換コネクター
ラジオ番組表、JARLニュース、手帳、ボールペン。
これらはB5サイズの収納ボックスに収まります。
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●迷彩リュック
サイズは30L程度であれば移動用機材等もほぼ収まります。

●迷彩シート
大凡2m四方のもので2千円位で入手出来ます。

●迷彩ネット
アンテナポールや三脚に覆えばカムフラージュに役立ちます。

●登山用ストック
山登り時には必須。

これでQRP0.5W~1Wで3~4時間は移動運用可能です。

●運用中の注意事項
無線禁止の明記がない場所であれば、基本的に最低限のマナーさえ守ればパブリックスペースでの運用で支障が発生するケースは経験上殆どありません。
これまで1987年開局以来、30年以上に渡り、延べ200回以上の移動運用を経験してきましたが警察の職務質問を受けたのは1回だけ。
警備員や管理者に注意されたのは2~3回程度。
これらはいずれも2001年9月のアメリカ貿易センタービルテロ事件直後だったり、住宅密集地に隣接していたり、売店等営業地域に近い場所でした。
マイナーな趣味ゆえに「アマチュア無線の移動運用」が如何なるものか移動地の管理者がすべて理解している事は稀です。
同じ場所でも時と場合、また担当の人によって対応が違ったりして一貫性がないこともあります。
明確な基準がないので、回答も曖昧なままです。
現在は未確認ですが、10年ほど前、都立公園の一部には「アマチュア無線等で公園の一部を占用利用する場合は、公園管理所への届出が必要です」という掲示がありました。
六道山公園(2009年4月)↓
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シングル移動運用でポケットダイポール程度の利用が「占用」に当たるかどうかは微妙でした。
2012年9月、都立の長沼公園内で移動運用中、管理者に声を掛けられたことがありましたが、アマ無線であることを伝えたところ、問題なく移動運用を続けることが可能でした。
ですのでその日、思い立ってすぐに出発する徒歩レベルのシングルQRP運用では、事前許可云々は現実的ではありません。
許可が出るまで三日くらい待たされるというケースもあるようでした。
勿論、「無線禁止」の表示がないからといっても「グレーゾーン」であることは常に心得ておくべきでしょう。
パブリックスペースに記される注意や禁止事項に記される項目は、大抵カメラ撮影、ドローン、ラジコン、犬の散歩、テント設営、焚き木、自転車、トレールランニング、釣りなどに関してです。無線に関してはっきりと是非を表記しているケースは稀です。
以下は其々の場所で撮影した注意事項が記された掲示板の例です。
タワーホール船堀(2016年3月)↓
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あさひ山展望公園(2016年3月)↓
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長尾台遺跡公園(2016年)↓
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多摩市桜ヶ丘公園(2016年9月)↓
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生田緑地(2018年)↓
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仏果山山頂(2017年4月)↓
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昭和記念公園(2018年5月)↓
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どの場所もアマ無線等移動運用に関しての詳細な項目は特段設けられていないようです。
近いものとしてはラジコン等ですが、これは無線そのものというより操縦する飛翔体に対しての注意と思われます。
その理由として、そもそも無線の移動運用自体が他のアウトドア趣味と比べ、愛好者の絶対数が少ないので敢えて表示する必要性がないのかもしれません。
よって無線に限っての規則が明記されていないパブリックスペースにおいては、移動運用は「グレーゾーン」と考えたほうがよいでしょう。
この場合「その他、人の迷惑になる行為」を基準にして移動運用の是非を判断します。
人によって何が迷惑行為なのか明確な基準というものはありませんので、これはもう「一般常識」に委ねるしかありません。
例えれば
1.風光明媚な場所では視界の妨げにはならない。
2.スペースを長時間、広く占有しない。
3.音を極力出さない。
4.風景に溶け込んで目立たない。

ということでしょうか。
万一運用中、管理者から中止を求められたらおとなしく撤収する等、ケースバイケースとして柔軟に応対していくのがベターでしょう。

●移動運用は思いのほか「孤独」
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徒歩でのシングル移動運用は思いのほか「孤独」な趣味です。
最近はライセンスフリーの方をよく見かけることが増えましたが、基本的にコンテスト等を除き、移動運用地で「同好の志」と出会うことは思ったより稀です。
更に一般のハイカーすら殆ど遣ってきません。たまに通り過ぎるか暫く休んでいく程度です。
GWなどの行楽期間や著明な山頂、展望台、展望ロビーを除いては、基本的に運用場所には「誰もいない」のです。
移動地に向かうバスにも、乗客が自分ひとりだけという例も少なくありません。
むしろ移動運用では他の利用者に迷惑をかけるより、自分の身の危険を感じるケースのほうが多かった気がします。
ホームレスの塒だったり、挙動不審な単独男性がうろついていたり、素行不良な若者が屯していて逆にこちらが自主的に退去したケースのほうが多い位です。
更には野生動物やスズメバチの出現も注意。
単身移動運用だとこれらも自己責任として対応しなければいけません。

○これからの移動運用を考察する
●昔は何でもフリーだった
1970年代頃までパブリックスペースである公園等では、キャッチボール、喫煙等は基本フリーでしたし、犬の糞も放置状態でした。
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展望台や展望ロビーには普通に吸殻入れが置かれていました。
なぜならそれが「当たり前の日常」だったからです。
ところが現在これらの行為はすべて禁止行為かマナー違反とみなされます。
キャッチボールは人を怪我させる恐れありとして今は原則として公園内全面禁止に。
タバコも喫煙自体が健康を害するという概念が定着して特定の場所以外での喫煙は、屋外であっても受動喫煙の恐れありとしてほぼ出来ません。
焚き火や焼却炉でのゴミ焼きも「ダイオキシン問題以降」禁止。
落ち葉すら「燃えるごみ」として集めないと顰蹙を買う世の中。
ドローンも自由には飛ばせません。
世は「クレーム社会」で、管理者はトラブルを恐れ、些細なことでも禁止にしていきます。
そんな状況下、アマチュア無線やライセンスフリーの移動運用が、いつまでも自由である保障はありません。

●無線運用が制限される場所の増加
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実際のところ、近年「無線禁止」になるパブリックスペースが増えています。
特に高層ビル展望ロビー等公共施設内の無線使用が制限されるケースが目立ってきました。
2019年1月現在、主だった都内展望スペースで無線運用が規制されているとの情報があるのは、私の知る限り、以下の場所です。
東京スカイツリー展望室
新宿都庁舎展望室
練馬区役所展望ロビー
文京区役所展望ロビー
六本木ヒルズスカイビュー
江戸川タワーホール船堀

ここに上げた場所以外にも規制が入っている可能性もあります。
(但し、これら全てを実際に現地で確認している訳ではなく、ネット等からの情報も含まれているため、場所に寄っては可否が異なっている可能性もあります。
また時期や担当者によって対応が異なる場合も考えられます)
これらの多くはスカイツリーと都庁舎を除き、以前は運用が可能な場所でしたが、最近になって規制が入った様子です。
貴重な展望スペースで移動運用が実施できなくなるのは大変残念です。
明確な理由はわかりませんが、近年ライセンスフリー無線が盛んになった事やパブリックスペース迷惑行為に対するスタンスの変化、クレーマーに対する過剰反応等、様々な理由が推測されます。
実際、2018年10月に練馬区役所に展望ロビーでの無線規制理由を問い合わせたことがありました。
その際の練馬区総務部総務課長から頂いた回答を抜粋します。

「展望ロビーにおける無線通信については、来庁者および隣接する
会議室利用者から通信音等に対し、これまでに多数のご意見が寄せ
られてきた経緯があります。
 (中略)
 この度の通信機器類の使用をご遠慮いただく旨の表示については、
周囲を気にせず音を出したり、飲酒をしながら通信行為をしたりす
ることに対しご意見をいただくなどこれまでに寄せられた展望ロビ
ー利用者からのご意見の積み上げにより判断に至ったものです。
 展望ロビーのある本庁舎20階には、レストランや会議室もあり、
ご家族連れからご高齢の方まで幅広い多くの皆様にご利用いただい
ております。なにとぞご理解いただきますようお願い申し上げます。」

(30練総総第950号)

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いずれにしろ、管理者としては無難で安易な「規制」という手段を取らざるを得なくなったのかもしれません。
今後、既存の展望スペースも昨今の時勢を考えると無線規制される可能性も否定できません。
貴重な高層ビル移動運用を継続可能にするために、極力他の利用者の迷惑にならないよう、努める必要があります。
具体的には、出来るだけ目立たぬよう、無線機はハンディー機のみ、運用も静かにイヤフォーンを使い、単身での運用に努める、運用時間も極力短時間で、多人数のアイボール場所にはしない等の気遣いが必要と思われます。
一方で、管理者側も一律に無線を「迷惑行為」として規制するのはあまりにも安直です。
「迷惑行為」の掛かる要素が「騒音」、「占有」とするならば、無線であったとしても禁止するのは長時間のフォーン運用に限るべきです。
すなわち、長時間占有を伴わない電信やデータ通信ならば規制する理由がありません。
電車内でも電話は迷惑行為になりますが、スマホ携帯でのメール、SNS書き込み等は特に限られたスペースを除き、実情はフリーです。
また、展望ロビー等での三脚を使う撮影は禁止でも、手持ちの撮影は可能な場所も多くあります。
これらと同様に、無線も規制するならば長時間占有のフォーン運用、あるいはイヤフォーン使用必須に限る決まりにすれば妥協点は作れるはずです。
ですので掲示する注意書きには
「無線等、迷惑行為云々一律禁止」
ではなく
「長時間占有を伴う電話無線交信、もしくはイヤフォーン不使用に限り禁止」
という掲示に改めるのが正しい。
とはいえ、管理者全てがアマチュア無線やライセンスフリーの実情を詳細に知っているとは限らず、これを周知させるのは至難の業かもしれません。

●展望ロビーそのものの減少
また、最近展望ロビー自体が消滅する傾向にあります。
新宿NSビル(30階展望ロビー2010年頃廃止、29階に小規模な展望可能なパブリックスペースあり)
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新宿住友ビル(51階展望スペース2017年3月廃止)

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新宿センタービル(53階展望スペース2016年3月廃止)

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これらは以前、最上階に無料の展望スペースがあったのですが、フロアごと会議室等に改装されてしまいました。
また、近年新築される超高層ビルには、初めから無料展望ロビーを設けないケースも多く、次第に「アーバン移動運用」の場所が少なくなっていく傾向にあります。

●最近は受信だけでも規制される?
無線に限らず受信オンリーのレシーバーすら安泰ではありません。
昨今、自衛隊や在日米軍のイベントでも無線機はおろか、航空無線のレシーバー、ラジオまで持ち込み禁止になるケースを耳にします。
2018年米軍三沢基地祭ではそのような規制が存在したそうです(参照先)。
かつては普通に持ち込めた機器がNGになるというのは「通信運用上の支障になる」という理由以上に奇異な印象を受けます。
スマホや携帯でかつてないほど高周波に満ちている今、正規のQRP無線機やラジオごときで「支障」が出てしまうそんな柔なセキュリティーレベルなら有事の時は大丈夫なのか、こちらが心配になります。
それにスマホに個々の末端同士で通信機能を有するアプリを入れたら立派なトランシーバーです。
どう区分けするのでしょう?結局「見た目」でしょうか?困ったものです。

●クレーム天国の憂鬱
いずれにせよ、今やあらゆる場所で監視カメラや個人所有のスマホカメラが狙っており、こちらに齟齬がなかったとしてもネガティブな印象でSNSに上げられる危険性は常にありえます。
また、なんでも白黒はっきりさせる傾向が強まり、コンプライアンス(法令順守)の徹底により、フレキシブルで柔軟な思考が失われ、少しでも「人と違うこと」を危険視する状況が増えつつあるのも確かです。
少子高齢化も加速し、世間はますます「貧すれば鈍す」の流れで息苦しく、世知辛くなっていきます。
今後、この傾向は強まることはあっても緩和されていく感じはしません。
いずれ、移動運用が「標的」とされる時が来るのは想像に難くありません。
このままだとアマ無線、ライセンスフリーというマイナーな趣味ですら遅かれ早かれ、ドローン同様に規制管理の対象になるかもしれません。
そんな息苦しい世の中で、これから無線の移動運用はどう対処すべきか、ちょっと考えてみました。

●結局「見た目」?極力目立たない運用に努める
たとえ無線運用可能なパブリックスペースだとしてもネガティブな印象を持たれる可能性を少しでも減らすためには、如何に「目立たないか」が重要になってくる気がします。
展望台、山頂等でも出来るだけ人目につかない場所での運用と服装に努める。
いずれアンテナポールやステー等は断念し、身に着けた無線機に直付けせざるを得なくなるでしょう。
迷彩服、迷彩シート、迷彩ネットで姿を風景に溶け込ませ、運用もイヤフォーンを使い、QRPPでデータ通信、電信オンリーにすればハイカー等に気づかれずに済みます。
実際、高尾山で迷彩ネットを三脚に絡ませて運用したこともあります。バードウオッチャーに偽装する効果もありました。
ただ、見る人によっては逆に「怪しい」と思われる可能性もあり、実施する場合は自己責任で。
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また敢えて家族連れやデートを装って一般ハイカーとして「日常に紛れ込む」運用も有効かも知れません。
家族団らんという日常風景に溶け込みつつ、交信に励むのです。
結局は全て「見た目」なのです。
問題は移動運用に協力的な知り合いやパートナーを確保出来るかが課題ですが。

●スマホ、携帯型の偽装無線機活用
高層ビル等の展望ロビーでの移動運用でも無線機器自体を偽装して周辺の状況に溶け込ます方法もあります。外観をスマホ、携帯そっくりの躯体にして恰もSNSを閲覧しているかのように偽装すれば怪しまれない。
無線は規制しても、スマホ、携帯を禁止するスペースは稀です。
スマホも「無線機の一種」であることは事実なので、こういった「規制」は矛盾に満ちているのですが、管理者に説得しても徒労に終わるのが常。
結局は見た目の問題。
すでにスマホ仕様のIP無線機も発売されているようです。
スマホ型IP無線機「TEK-7T506A」
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また日本では使用できないもののトランシーバ機能がメインの中国製アンドロイドスマホも存在します。
NOMU T18
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日本の無線機メーカーがやる気になればすぐにでも開発可能でしょう。
いずれサードパーティーや無線機メーカーがスマホそっくりのRXを販売する日がくるかもしれません。

●狭いスペースで多人数の「アイボール」は行わない
移動地でのアイボールは楽しいものですが、狭いエリアで多人数がワイワイやると、自ずとスペースをそのグループだけで占有してしまい、他の利用者からあまりよい印象を受けません。
前述したように、以前は別に問題にならなかったことがクレームの対象になったりする息苦しい時代です。
ビルの展望ロビー等でのアイボールは避けて、出来るだけ広い人気の少ないパブリックスペースか談話可能なカフェで実施したほうが無難でしょう。

●移動運用に萎縮しない
逆にあまり自意識過剰になって周りの状況ばかり気にしだすと、移動運用自体楽しめなくなります。
これも前述しましたが、経験上、行楽シーズンを除いて、大多数の移動運用地には殆ど人がいません。
著しい占有や大勢で喧しく騒ぎ立てる運用をしていない限りは、殆ど誰も気にもしていないものです。
むしろ好奇心で話しかけてくる人のほうが多い位。
行楽地や山で目立つのは無線より遥かに趣味人口が多いトレイルランニングとかで、移動運用が矢面に立つことは(今のところ)あまりありません。
最低限のマナーを守っていれば、ハンディー、ポータブル機程度のシングルQRP移動運用で萎縮する必要はないはずです。
過剰な萎縮は自らの首を絞めることになります。
ネガティブなアクションをするのはごく一部の人間でしかありません。

●JARLの移動運用啓蒙
個人の力ではなかなか世の中の趨勢に抗うことは出来ません。
やはりアマチュア無線界最大の組織JARLが移動運用に対するポジティブな啓蒙に努める事が求められます。
JARL主催のフィールドデーコンテストや山や公園を対象にするアワードも盛んです。
これらが継続して楽しめるためにはアマチュア無線、ライセンスフリー移動運用の啓蒙周知が大切なことは論を待たないでしょう。

●アマチュア無線とライセンスフリー無線の関係性
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最後にこの両者の関係性について少々思うところを。
現在、アマ無線局免許者数が減少の一途だということです。
総務省「無線局統計情報」によると2018年8月の時点で42万224局とのこと。
過去最高は1995年3月末に記録した136万4316局。

その頃と比べると相当な減少です。
一方で、近年、ライセンスフリーの移動運用に人気が出てきたようです。
久しく新製品がなかったCB無線機が中小メーカーから発売され、完売するなど活況を呈しています。また新しい小電力コミュニティー無線機アイコムIC-DRC1が発売され、新たなライセンスフリーのジャンルが増えつつあります。
移動運用地に行くと、ライセンスフリーの方を見かけるケースが増えてきましたし、アイボールしてお話を伺ったりする機会も増えました。
時にはグループで楽しまれている方々も居ます。
もっとも1980年代、まだアマチュア無線が20~30代中心に活況で移動運用が盛んだった頃も似たような状況だったので、昨今のライセンスフリー移動が特段目立つという訳でもないのです。
当時の『ラジオの製作』記事など見ると、移動運用地に読者集合企画等載っており、むしろ当時のほうが賑やかでした。
自分はメインがアマ無線ですが、移動運用スタイルは殆どライセンスフリー無線と変わりありません。
ですので、この両者を区分けする考え方はナンセンスですし、意味もありません。
自分も1990年代末より、某CFMリスナーが中心となったグループで特定小電力無線を使って「フォックスハンティング」や遠距離交信実験を楽しんで1998年頃には無線雑誌の取材を受けたこともありました。
その頃は「フリラー」という言葉もない時代で、特小をレジャーや業務以外で使用するのが稀だった時代です。
当時はライセンスフリー無線がこんなに人気になるとは思ってもみませんでした。
10mwでDXを競うのは、何もアマ無線の専売特許ではありません。
特小や簡易デジタル(登録局)でアマ無線的交信をしてはいけない等という決まりもないはずです。
一方でアマ無線がQSL発行必須であることに毛嫌いするフリラーの方もおられるようですが、別に絶対条件である訳ではなく、昔からアマ無線家にNO QSLerはいくらでもいました。
偏狭な考えに凝り固まって一方を否定したところで得るものは何もありません。
臨機応変に楽しめばよいのです。
自分は今のところ、ライセンスフリーラジオは特小のみの運用ですが、小電力コミュニティー無線には関心が高く、導入も検討中です。

以上、私見ではありますが、移動運用に関する考察を述べてみました。
今後ともアマ無線、フリーライセンス無線共々末永く楽しむための参考になれば幸いかと存じます。
73&88.

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国土地理院5メートルメッシュ標高データとKASHIMIR 3Dで移動運用地を探す

先日、『武蔵野と水辺』というサイトで興味深い画像を見つけた。
KASHIMIR 3Dという高機能地形アプリで作られた関東平野の地形図。
さまざまな地形データを基に立体表示したりその断面図や俯瞰図などを作成出来るというフリーウェア。
よく無線サイトでも見通し距離図解で利用されているのを目にする。
この地形図は国土地理院の5メートルメッシュ標高データを元にKASHMIR 3Dによって立体視覚化されたもの。現在のところ最も精細な標高データらしい。
そこで自分もKASHIMIR 3Dの「スーパー地形セット」を試しにダウンロードし、同様の武蔵野地形図を保存してみた。
まず全体像。
関東平野
これを見て直感的に浮かんだのは多摩川の流れた遍歴である。
『武蔵野と水辺』によると、かつて多摩川は、現在のように南東に下っていたのではなく、北東方向に流れていたのだという。
今の不老川、入間川辺り。そして荒川と合流していたと。
地形図をよく見ると、確かにその辺りに大河が流れた痕跡が見受けられる。
更には柳瀬川、黒目川辺りにも同じような痕跡が。
青梅辺りを要とした巨大な扇状地を形造ったのが多摩川であると。
関東平野26a
昔の多摩川は武蔵野の地を何度も大氾濫させて流れを変え、東京湾に注ぎ込んでいた。
ある意味、武蔵野はつい数世紀前までこの多摩川による氾濫平原だった。
「武蔵野はかつてはススキの野」と言われたのも頷ける。
樹木は大木に育つ前に多摩川の氾濫であっという間に流されてしまったのだろう。
今、住宅が立ち並ぶ東京都下の市街地は、かつては果てしなく続く湿地帯だったのだ。
また、多摩湖のある狭山丘陵の形も典型的な「中洲」の形をしている。
地形図の左側上流から流れてきた多摩川は狭山丘陵を流線型状に削り、今の柳瀬川に沿った流れ方をしていたのだ。
関東平野28a
まるで火星探査機が撮影した太古の火星氾濫平原と中洲画像を彷彿とさせ、興味深い。
以下はその衛星画像。
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時は流れ、立川断層の隆起によって、地殻変動が起き、流れが北東から南東に変わって、現在の位置に落ち着いたとのこと。
実にダイナミックな多摩川の歴史。
これまで多摩川の流域変動は概念的に朧げにしか解らなかったが、この地形図を見て一発で理解できたのは驚きだ。
それも想像していたよりも遥かにスケールが巨大だ。
入間川、柳瀬川周辺にあのような巨大河川痕があることなど、これまでの地図ではまったく気がつかなかった。
人工物や樹木をカットした5メートルメッシュ標高データを活用したKASHIMIR 3Dで関東平野を俯瞰すると地学的好奇心に灯りが点る。
更に細かく見ていくとまだまだ興味深いところが見つかる。
府中市にある標高79mの浅間山は移動運用でも有名な高台ポイント。
昔の多摩川に削られた丘の残った部分と聞いてはいたが、この地形図で一目瞭然。
関東平野29a
その北の弧を描く断崖はその頃の多摩川が南へと流れを変えていく過程で武蔵野台地を削り取ってできた、河岸段丘の連なり。
今、ここは国分寺崖線と呼ばれている。
更に時を経て多摩川が南に下って流れ出した時に形成された河岸段丘が立川崖線。
まるでシルクロードの幻の湖、ロプノル湖に流れ込んでいたタリム川の遍歴を探るかのごとき。
このような大河の壮大なる揺らぎがかつて武蔵野で起こっていたのだ。

さて、ふと、地形図の北西に目を向けると立川あたりに浅間山と同じような「独立峰」を見つける。
関東平野05多摩川流域b
昭和記念公園a
はて?こんなところにピークなどあったろうか?
よくよく調べてみるとここは昭和記念公園。その中の「こもれびの丘展望台」であった。標高119m。
周りより20m程、高くなっている。
こんなところにも古多摩川に削り取られた「丘」が残っていたのである。
昭和記念公園
ということは、移動運用場所としても悪くないポイントのはず。
古代から現代まで多摩川が削り取った丘陵の端は、見晴らしがよく、戦国時代の城跡になっていたりで当然電波の飛びもよくなるから、アマチュア無線に限って言えば、移動運用の良いロケーションとなる。
思いつくだけでも以下の移動運用地が上げられる。

●大田区多摩川台公園
この公園は武蔵野台地の南端部にあって、多摩川の削った国分寺崖線の南端に位置するために多摩川との高低差は大きく、多摩川方面への眺望が利くため電波の飛びもよい。また、ここにある古墳群も高台という地形故に造成されたかもしれない。
関東平野25多摩川台a

●川崎市多摩区生田緑地枡形山
比較的最近、多摩川が削った河岸段丘上にある標高84mの高台。
武蔵野台地が一望出来、軍事的要衝として中世の頃より城が造られていた。
人口密集地を見下ろすロケーションなので当然、移動運用場所としてもベスト。
関東平野08生田緑地a

●西多摩郡瑞穂町瑞穂ビューパーク展望台と六道山展望台
古多摩川がまだ武蔵野台地を北寄りに流れていた時、「中洲」として残された狭山丘陵上の高台にある展望台。
関東平野18横田基地北a

●あきる野市大澄山
あきる野市の東端。標高は192m。御岳山から連なる奥多摩の山脈東端。多摩川西岸に位置する草花丘陵から都心部が見下ろせる位置にあり電波の伸びは良いため、よく移動運用局が出ている。
関東平野12大澄山a


●狭山市稲荷山公園
古多摩川が入間川沿いに流れていた頃に作られた河岸段丘の上にある公園。
北方に眺望が利き、奥武蔵の山々が一望出来る。
関東平野14入間基地入間川a
他にも稲城市城山公園、日野市新坂西橋、八王子市滝山公園などが上げられる。
超精密地形図を使って知られざる未知の移動運用ポイントを探るのも一興かもしれない。

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「練馬まつり」イベントFMベリカード

昨年の10月16日、としまえんで開催された「練馬まつり」イベントFMの受信報告書に対してベリカードの返信があったので御紹介。

練馬FM20161016a

局名/練馬まつりイベントFM放送
周波数/88.5MHz
受信年月日/2016年10月16日(日)
受信時間/0748~0810JST
受信内容/
0748JST S/ON
0750JST 「練馬区歌」?
0752JST 「JOYZ-3AGFM、JOYZ-3AGFM,こちらは練馬まつりイベントFMです。
         周波数88.5MHz、出力5wで、としまえん会場内練馬祭り
         イベントFM特設スタジオよりお送りしています。
         只今試験電波を送信しています。
                   本日の放送はこのあと午前8時からお送りいたします。(繰り返    
         し)<女声>」
         途中から再び「練馬区歌」とID繰り返し。
0800JST ファンファーレ
        番組名/ウエーブデリバリーガンガンレディオオレンジタイム
        DJ/タカハシー、立山清美
        オープニングトーク
        天気のこと。
        メッセージ募集等。
        練馬まつりの概要など紹介トーク。

受信情況/SINPOSINPO-54444 F777の電界強度計で約40dB。昨年と同程度で入感。 
受信地/東京都杉並区
受信機/パイオニアF777
アンテナ/クリエイトログペリCLP5130-1(地上高8mH)を北ビーム

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JARL創立90周年記念アワード

昨年末、申請したJARL創立90周年記念アワードがJARLから送られてきたので御紹介。

J賞:9の異なるプリフィックスの日本国内の局との交信
「50MHz/CW/東京都」の特記入り。
JARL90アワードJa

A賞:9の異なる市・区の局との交信
「50MHz/CW/東京都」の特記入り。
JARL90アワードAa

R賞:9の異なる郡の局との交信
「50MHz/CW/QRP」の特記入り。
JARL90アワードRa

L賞:9の異なる都道府県の局との交信
「50MHz/CW/QRP」の特記入り。
JARL90アワードLa

90賞:90の異なる局との交信
「QRP」の特記入り。
JARL90アワード90a

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「見えるラジオ」の記憶

2014年3月31日。東京FMの文字多重放送「見えるラジオ」が終了した。
1994年のサービス開始から約20年。
東京FMのサイトコメントによると「近年のインターネット環境の浸透で、携帯電話などで様々な情報を見ることができるようになり、見えるラジオの役割を果たし終えるのが妥当と考える」ということらしい。
1994年の「見えるラジオ」開始当時、自分はこのシステムにかなりの関心を寄せていた。
ポータブル専用受信機が発売開始される前、この年の10月、晴海で開催された「エレクトロニクスショー」で「見えるラジオ」受信可能製品が出品されている事を知り、足繁く出かけたのを覚えている。
そこに展示されていたのがシャープのラジMD。
E951008
正面の液晶に2行に渡って文字情報が表示されていた。
たとえばこんな感じに。

「見えるラジオ交通情報 第3チャンネルです」
「シャウエッセン・ミュージック・クリーク光の中へ提供は<日本ハム>です。」


ラジMDの写真を撮った際のニュースチャンネルにはこんな項目が流されていた。

「東北東方沖で巨大地震の可能性。北海道東方沖地震に連動」


なんだか意味深だ。
他にオンエア曲等がリアルタイムで表示。
とにかく、ラジオから文字情報が取得できるというのは当時の感覚からすると画期的でもあった。
早速、この時の聴取状況を受信報告書に記して東京FMに送った。
まだ当時は文字多重放送が記されたベリカードが用意されていなかったらしく、スタンプで「FM多重放送」と押された既存のカードが返信されて来た。
951008c  
「AMステレオ」と同じく、サービス開始時には受信機販売共々準備不足だった事が伺える。
しかし、以後はベリカード表面にも「見えるラジオ」をアピールするデザインに変更された。
960527c
自分が「見えるラジオ」専用受信機を購入したのは1995年4月13日。機種はカシオのMR-1である。
発売早々、秋葉原の電気店では売切れてしまった。ダメもとで池袋の丸井に行ったら在庫があった。
たしか電通ギャラリーで開かれていたJFN主催「見えるラジオ展」を見学した帰りに購入した記憶がある。
「見えるラジオ展」ポストカードが残っていたので紹介する。
C
1995年当時、電車の中でMR-1を操作していると、隣の乗客が「これが見えるラジオですか?」と声を掛けられた事もある位、話題になっていたものだ。
サービス開始時には興味深いチャンネルが存在した。
ニュース、交通情報、曲名案内という音声放送に連動したものや情報サービスだけではなく、「見えるラジオ」視聴者だけを対象にした手動掲示板みたいなコンテンツもあったのだ。
無論、「見えるラジオ」は放送局からの一方通行。
リスナーがレシーバーを通じてメッセージを送ることは不可能である。
当時は携帯メールなど存在しない。
しかし「見えるラジオ」スタッフはリスナーからのファックスによるレスポンスを呼び込み、間接的な双方向通信が可能な企画を立ち上げた。これはイレギュラーな企画だったが非常に面白くて結構自分も参加したものだ。
自分のファックスメッセージが「見えるラジオ」液晶から文字情報として流れてくる。そしてそのメッセージの反応も返ってくるのだ。
これはなかなかエキサイトした。アスキーアートのはしりみたいなのもあった。
詳細はもう忘れてしまったが、本格的な稼動以前の企画で実験的な遊び感覚要素も大きかったコンテンツだった。
だが、こういった「見えるラジオ」視聴者オンリーを対象とするマニアックな企画はいつしかなくなり、だんだんと保守的な企画へと落ち着いていくに従い、「見えるラジオ」の魅力は減衰していった記憶がある。

それはさておき、JFN系で始まった「見えるラジオ」は程なくNHKやJ-WAVEでも始まった。
J-WAVEでは文字多重放送を「アラジン」と称した。
その試験放送を1995年7月23日に受信。

<J-WAVEアラジンシケンデンパJOAV-FCM>
エフエムジャパン   試験電波
もじたじゅうほうそう 発射中


等と表示されていた記録が残っている。
J-WAVEも試験放送時はベリカードも既存のもので別途「アラジン」のスタンプが押されていた。
Jwave950822c_3
この画期的な文字多重放送も1990年代後半に怒涛のごとく押し寄せたWebモバイル革命によってすっかり影の薄い存在になっていく。
1995年当時、心待ちつつ購入したカシオMR-1も、自分がパソコンを導入した1999年頃からまったく起動させることもなく箪笥の肥やしと化してしまった。
NHKは2007年3月末をもってFM文字多重放送を終了。
J-WAVEは2010年9月26日に「アラジン」を終了。
FM横浜も2012年12月31日にサービス終了。
そして東京FMとJFN系列でも、FM北海道の一部を除き、2014年3月31日をもって「見えるラジオ」のサービスを終了するという。
実はこの事実を知ったのは、3月31日当日。
たまたまネットで放送関係の調べものをしていて偶然見つけたのだ。
慌てて久しぶりにMR-1のスイッチを入れてみたがバックアップ用バッテリーも消耗してしまい、リセットせざるを得ず、記録した文字情報もすべて消えてしまっていた。
当時の受信機にはUSBなどのバックアップ記憶メモリーを接続出来る端子など存在せず、電池が切れた時点でデーターがなくなってしまう訳で、保存は難しいと覚悟していたが、実際消えてしまうと若干惜しい気もする。
リセット後、80.0MHz東京FMに合わせ、「見えるラジオ」を受信する。
Dscn8751a
液晶からは

「見えるラジオは2014年3月31日をもってサービスを終了致します」
「長きに渡り、ご利用頂きありがとうございました。」


という表示が出る。
Dscn8744a

Dscn8742a
コンテンツは

「1.番組情報、2.ニュース&天気、3.見えるラジオ終了のお知らせ」

の3つのみ。
今や「見えるラジオ」の何万倍もの情報がネットを通じて流れ込み、また発信も出来る時代となった。
しかしMR-1を久しぶりに起動させて思うのはこの「見えるラジオ」のささやかな情報量こそが、もしかすると人間には「適正」だったかもしれぬのではないかと。

2014年4月1日零時。
「ジェットストリーム」が始まると同時に「見えるラジオ」を更新してみても、そこには虚しく「受信出来ません」と表示されるだけ。
なぜかNHK-FMだけ未だに「FM多重」の表示がされるが、無論何も受信できない。理由は不明。
ここにMR-1はただのFMラジオと原始的電子手帳と化した。

なお、東京FMでは3月31日受信分までの文字多重放送受信報告に対し「見えるラジオ 記念ベリカードの頒布」を実施している。

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「波の数だけ抱きしめて」の記憶

518h1xcxnul__sl500_aa300_ 先日、「波の数だけ抱きしめて」という映画をDVDで観賞する。
この作品は1991年に公開されたミニFM局を題材にした青春グラフィティー作品。舞台設定は1982年の湘南地方。
「ホイチョイムービー3部作」の一つとして知る人ぞ知る映画だから敢えてあらすじや出演俳優などについては語る必要もないが、今尚、放送局や無線を題材とした映画の中ではこれを越える作品は知らない。
もっとも映画の主題が青春グラフィティーであり、セールスポイントもバブル華やかなりし時代の「トレンディー」なアウトドア若者向け作品として宣伝されていたので、公開当時はまったく関心がなかった。
まさかこれほどミニFMを「それらしく」詳細なギミックや小道具で演出していた映画とは思っていなかったので、この作品のBCL、アナログオーディオ、無線趣味的嗜みを知るのは公開から相当経ってからだった。
公開当時のポスターやDVDパッケージに描かれたイラストからはミニFMを起想させるイメージはまったくない。湘南サーフィン族の恋愛三昧浮世話にしか感じられぬのが残念。
但し、この映画を製作したフジテレビでは公開にあわせて1991年8月の真夜中、擬似的に「KIWI-FM」を放送。画面はビーチにラジオが置かれている様子を静止画で映していたと記憶しているが、音声は男性DJがFM風にトーク。合間にアメリカンポップスと映画のCMが入っていた。
当時エアチェックしていた音が残っていたので紹介する。
フジテレビ「波の数だけ抱きしめて」キャンペーン番組
1276037280_4 放送日時/1991年8月31日 内容/KIWI-FM模擬放送、ジングル、CM
「19910831-KIWIa.mp3」をダウンロード

「19910831-KIWIb.mp3」をダウンロード

このキャンペーン番組を録音していたにも拘わらず、映画館まで足を運ぶ気にはなれなかったのはやはり湘南とサーフィンという自分には縁もゆかりもないイメージが嫌だったのだろう。
結局、まともに全編通してじっくり観賞したのは、先日DVDを購入してから。
映画公開から実に22年である。
因みに当時はこんなタバコのCMもあったらしい。

それはさておき、この映画で描かれた架空のミニFM「KIWI」は、ウェキペディアによると1983年に湘南に実在した海岸美化を訴えるためのミニFMラジオ局「FM Banana」だそうである。
この頃はまだFMDXのアクティビティーは低く、「FM BANANA」の存在も知らなかったし、受信した記憶もログも残っていない。
現在は多数のコミュニティーFMが開設されている湘南地方だが、当時は影も形もなかった。
時々イベントでミニFMが併設される程度。当然、その近辺まで出かけなければ受信することも出来ない出力だ。
当時は携帯もネットもない。ミニFMだけが最先端なパーソナル情報発信媒体だった。
たとえ聴けるエリアが狭かったとしても唯一無二な貴重な媒体だったから「若者文化」アイテムとして描かれる対象にされるのは必然だったかもしれない。
そのような限定された媒体だったからこそ、工夫する面白さが残されていた。
それ故に映画の題材として企画にあがったのかも。

この映画で描かれるアナログ的無線オーディオギミック描写はそれを趣味とする者にとっては琴線に触れるシーンが多々ある。
オーディオ的にはアナログレコードプレーヤーのカートリッジに1円玉を置いたり、カセットテープの頭出しのために鉛筆で巻き戻したりと枚挙に暇がない。
小道具も当時のオーディオコンポを踏襲しており、時代考証にブレがない。
オープンリールは当時、オーディアマニアだった友人がエアチェックに使っていたのを思い出す。
無線的にも興味深いシーンがたくさんある。
ソニースカイセンサー5900で受信エリアをモニターするシーンはもとより、VWカブリオレ搭載のケンウッドチューナーがFM帯をオートスキャンし、徐に76.3MHzでスキャンが止まる状況もいい。秋葉原で中継器の部品を買い集めるシーンや中継器を設置する場所で電源を確保するため、自販機のコンセントを「拝借」したり、魚屋の電源を借りる際の交渉などなかなかリアルだ。
電波が通じると一挙に振れる中継器のVUメーターのシーンなどやはり「わかっている」人が作っているなと感心する。
また、時々、中継器の調子が悪くなって調整しに行く様子や、半田鏝で中継器を自作するのが完成品より一桁安いとか、その世界の趣味人でないと解らないシーンや語りが多々ある。
といってもちゃんとストーリーに自然に馴染んでいて殊更理工系的な横道に流れすぎていない演出もいい。
BGMに使われていた1980年代前半に流行ったユーミンやAORのミュージックシーンがシンクロし、当時、青春時代を過ごした同世代にとっては何とも言えぬアナログティックな懐かしさに浸れるのだ。

無線やラジオ局を舞台とした映画やテレビ番組は他にもいくつか観たことがあるが、自分が知る限り、この作品を越えるものはない。
どこか荒唐無稽だったり、必然性がなく無理やり取ってつけた話だったり、小道具や演出が不自然だったりと残念な作品が多い中で、これほどストーリーに自然に馴染んだ「ラジオ映画」は稀有だ。

「波の数だけ抱きしめて」製作前年の1990年、湘南地方で「相模湾アーバンリゾート・フェスティバル1990」(通称「サーフ’90」)イベントが開かれ、イベントFM「サーフ90FM」が開設された。
周波数もKIWI-FMと同じ76.3MHz。この周波数はしばしば当時のイベントFMで使用されており、1989年の横浜博覧会イベントFM局も76.3MHzだった。
「サーフ90FM」通称ジョーズFMは出力300w。江ノ島灯台から電波を出していた。自宅のある杉並区でも八木5エレアンテナで良好に受信できた。
当時の放送開始アナウンスがテープに残っていたので紹介する。
サーフ90FMベリカード
1990joozfmb_2

受信日/1990年4月4日
受信時間/1425JST
SINPO45554
サーフ90FMオープニングアナウンス
「19900404-JOOZFM.mp3」をダウンロード
後に藤沢市のCFMレディオ湘南の前身になったFMが「サーフ90」という。
いずれにしろ、この映画公開以降にコミュニティーFMという制度が正式に動き出していく。
1992年に全国初のコミュニティーFMが函館に開設。
更に湘南地区にもこの映画に触発されたという元NHKキャスター木村太郎が1993年12月に関東初のCFM「葉山FM」(現湘南ビーチFM)を開局させた。
当時はまだ1w送信だったので自宅の杉並区阿佐ヶ谷では5エレ八木でも受信できなかった。仕方なく年が明けた1994年の元旦に逗子海岸まで赴いてエアチェックした。
その時のベリカードを紹介する。
葉山FMベリカード
19940101c
受信年月日/1994年1月1日
受信時間/1500~1720JST
SINPO/34353
夕闇迫る葉山マリーナまで行き、サテライトスタジオを覘いてみるとDJがこちらに手を振ったりしていた。
富士山と江ノ島をシルエットに聴く葉山FMはなかなか趣があった。
19940101bb 19940101aa
湘南にFMというのは、当時の最先端トレンドであって「波の数だけ抱きしめて」の体現化でもあったのだろう。
あの頃、新たなFMを目指す人々の合言葉は「More Music Less Talk」だった。
劇中でも暗に既存FM局に飽き飽きする女性の姿や、音楽中心のFMこそ新たな開拓の場と訴える広告代理店営業マンのシーンが描かれていたのは興味深い。
今や携帯、スマホ、ネットが拡充し、ミニFMなどは古のレトロ趣味と化してしまったが、逆に言えばネット、携帯等のデジタルギアがなくてもこれだけ楽しめた時代があったというのも記憶に留めておく必要があるかもしれない。

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東京スカイツリー展望台からの移動運用を考察する

さて、5月22日に開業予定の東京スカイツリー
3月22日からは個人向けチケット予約受付も始まった。
今更説明するまでもないが、高さ634mという自立鉄塔としては世界一の高さを誇る電波塔だ。
展望台も350mと450mに設置してあり、日本では未知の高さからの眺望が期待できる。
当然、アマチュア無線や特定小電力無線の移動運用候補地としても興味深い。
自分はこのような象徴的な高層建築物が完成する度にQRP移動運用にチャレンジしてきた。
その時の経験も踏まえ、東京スカイツリー展望台からの移動運用の実践の是非を解り得る範囲で考察してみようと思う。
Dscn0990b
イベント施設としての移動運用環境
世間も注目する東京スカイツリー開業直後の展望台見学は、一種の大規模イベントでもある。
だから開業から7月10日までは入場チケットが完全予約制になった。
こうなると、オープンから暫くは飛行場や各種イベント会場と同じく、高いレベルのセキュリティーが求められ、手荷物検査や様々な物品持込禁止が実施される可能性もある。
1日の発行チケット数は個人が8000枚。+団体、ツアー客を含めれば1万数千人のオーダーだ。
入場に支障を来たす手荷物検査は現実的ではないが、果たしてどうなるか。

このような大規模イベント施設では様々な物品持ち込み禁止の場所も少なくない。
東京ディズニーリゾートの公式サイトにはペット、お弁当、アルコール、三脚などが持ち込み禁止と明記してある。
愛知万博ではお弁当やペットボトルに加え、無線機持ち込みが制限された。
恐らく様々な機器に影響を与えかねないという理由なのだろう(なぜか携帯電話だけはスルー。これに関しては後述する)。
他、野球、サッカー等のスポーツイベント、基地解放日等では必ず手荷物検査が実施される。
2011年の航空自衛隊入間基地祭や在日米軍横田基地祭でも実施された。
但し、これらのイベントでは無線機の持込は特に規制対象にはなっていない。
自分もハンディー機を持参したが特に何も言われず、基地内での交信等も問題なかった。
以前から特定小電力無線で連絡を取り合う光景は普通に見られたため、無線機使用はフリーというスタンスなのだろう。
果たして東京スカイツリー展望台の場合はどうなるのか?
特に電波塔という性格上、アマ無線機持ち込みに対してナーバスになる可能性は否定できない。

東京スカイツリー展望台移動運用の可能性
2012年3月末現在、東京スカイツリー展望台への持ち込み制限はアナウンスされていないようだが、開業近くになれば何らかの発表があるかもしれない。
まず、結論から言ってしまえば、管理者たる東京スカイツリーが展望台への持ち込み禁止項目の中にアマチュア無線機等が含まれてしまえば、事実上、移動運用は不可能となる。

一方、無線機持ち込みが規制されないと仮定した場合、従来の高層建築物に設置された有料、無料の展望台や展望ロビーにおける移動運用状況と比較し、どのように対処すべきか、自らの経験もふくめて考察してみた。

1.電波塔の場合
まず、スカイツリーと条件が似ている東京タワーを例にしてみる。
東京タワーの公式ホームページには、特に規制条件や手荷物検査などの項目はない。
今のところ、展望台でのアマチュア無線等を禁止する明確な制限明示はないと思われる。
ただ、現実問題として放送波送信を主に扱っている電波塔内で個人のアマチュアが任意に電波を出す事は歓迎されないだろうし、たとえ禁止になっていなくとも派手に無線機を扱うのは憚れる行為と思われる。
電波塔そのものではないが以前、お台場フジテレビの球形展望台で特定小電力トランシーバーを使用した際、係員に注意された経験があった。

もっとも、無線許可されているか否かに拘わらず、直上から強力な放送波が出ている電波塔での移動運用は条件が悪すぎる。
東京タワー直近の六本木ヒルズ屋上で移動運用にチャレンジしたことがあるがVHF,UHFの無線機は抑圧されて著しく送受信に苦労した経験があった。
また、同じく直近の浜松町貿易センタービル展望ロビーで特定小電力無線交信した際も、送受信が正常に行なわれなかったケースがあった。
そんな悪条件を裏付けるように、これまで東京タワーからの移動運用局と交信した記憶がないし、自分も東京タワーを移動運用地の候補として考えた事はなかった。
これがそのまま東京スカイツリーに当てはまるとは思わないが、憂慮される条件のひとつだ。

そこで5月末の時点でスカイツリーからの放送波送信はどうなっているか調べてみた。
スケジュールによると

東京スカイツリーから本放送予定の放送事業者
○FM放送
NHK東京FMとJ-WAVE→2012年4月下旬本放送開始予定

○携帯端末向けマルチメディア放送(VHF-HIGH帯)

「NOTTV」→2012年4月1日より本放送開始予定
○タクシー業務無線→2012年3月より運用を順次開始し5月からの本運用開始予定

○在京テレビ局→2013年1月本放送開始予定

つまり、展望台開業時にはすでにFM放送波とモバキャス、タクシー無線波は常時出ている状況だが、テレビは電波をだしていないと。
少なくともスカイツリーからの移動運用が可能ならばテレビ本放送が始まる前に実施したほうが有利かもしれない。

2.一般の高層ビル施設の場合
電波送信施設以外の高層建築展望ロビーでの移動運用環境を考えてみる。
著明な首都圏展望ロビーとして

新宿区都庁舎(高さ243m、第一本庁舎45階南北に展望ロビー、料金無料)
サンシャイン60(高さ251m60階に展望ロビー、256mにスカイデッキ、料金620円)
六本木ヒルズ(高さ238m、52階に展望室、屋上にスカイデッキ、料金1500円)
横浜ランドマークタワー(高さ273m、69階にスカイガーデン、料金1000円)


等が上げられる。
それぞれの公式サイトを観る限りにおいてはアマチュア無線移動運用自体に絞って禁止を掲げるような記載は存在しない。
但し、実際に移動運用を行なった際の経験として、新宿都庁舎の展望フロアでは長時間の無線は遠慮してほしい旨の注意書きは存在するし、実際に係員から注意された経験もある。更に2012年現在は手荷物検査も実施しているという。
一方、サンシャイン60、六本木ヒルズ、横浜ランドマークタワーにおいて移動運用を行なった経験では特に問題は発生しなかった。
詳細はサンシャイン60移動運用記(2008年)六本木ヒルズ移動運用記(2008年)を参照のこと。
基本的に危険物持込や場所を占有したり他の人への迷惑行為に抵触しない限り、展望ロビーでの移動運用は可能と考えてよいだろう。
特にフリーエリアのある無料展望ロビーは立ち入り自由なので、建物の入場に制限がない限り、問題はない。
恵比寿ガーデンプレイス移動運用記(2012年)参照。
但し、特に明記されていなくとも警備の人から「無線はNG」と注意されることも少なくない。
特に2001年のニューヨーク国際貿易センタービルテロ事件直後はどの展望ロビーも気軽に無線運用が出来る雰囲気ではなかった。
ただ近年は注意されるケースはかなり減ったのも事実。
新宿NSビルや新宿野村ビル等の西新宿各無料展望フロアは2005年頃(移動運用記参照)は警備員に注意されたが、現在はまったく問題なく移動運用出来る。
詳細は新宿住友ビル移動運用記(2008年) 、新宿センタービル移動運用記(2009年) 、 新宿野村ビル移動運用記(2011年)参照のこと。
但し、スタンスは、時勢や管理担当者によって常に変化するので直近の情報収集が不可欠だ。
2006年頃、埼玉県大宮のソニックシティービルの展望ロビーに移動運用した時は、無線のみならずアベック同士のお喋りにまで規制をかけていたガードマンがいた。
これは極端な例だが、その日の担当者や状況によって対応がまったく異なる場合もあるから、タイミングが左右する事も想定しておこう。
展望台で規制されている物品として典型的なのは、カメラの三脚やペットであろう。
メジャーな展望ロビーでは必ず明記されていた。
かつて六本木ヒルズではエレベーターに乗る前に三脚はロッカーに保管を指示されていた。
しかし、2012年現在は屋上以外では使用可能になったようだし、サンシャイン60やランドマークタワーの展望ロビーでの三脚使用もOKらしい。
東京スカイツリーオープンを控え、展望台集客の競争が激しくなり、各ビルも規制緩和の方向に流れているようだ。
とはいえ他の客の眺望を妨げる占有にあたるケースに抵触する事に変わりはない。
当然、大きな無線アンテナも占有にあたるので気をつけるべきだ。

携帯電話は規制されない?
ところで、同じ電波を発する携帯電話の制限を設けている展望施設は殆どない。
展望台に入る前に手荷物検査で携帯電話を取り上げたり、電源を切らせるケースは稀有だ。
六本木ヒルズの屋上解放も携帯だけは持ち込み可能になっている。
携帯電話とQRP無線機との出力の差を比較してみよう。

無線機と携帯電話の送信出力の比較
特定小電力トランシーバー             10mW
QRPアマ無線ハンディー機     概ね100mW~1W
351MHz帯デジタル簡易無線      概ね1W~5W
携帯電話                概ね250mW~1W
PHS                   10mW~100mW

これを見ても解るように実際、特定小電力無線の出力は携帯電話の出力より弱い訳で、携帯を許可する一方で無線機だけをすべて規制対象にするのは管理者の無知が問われる事例である。
東京スカイツリーでも、おそらく携帯持ち込みは規制されることはないだろう。
もし、携帯電話型のQRPアマチュア無線機が存在すればどうなるのか興味深いところだ。
Dscn1005b
常識的なマナーを守る
結論として無線禁止が明確に意思表示されていなければ、東京スカイツリー展望台での移動運用は可能と考えてよかろう。
注意すべきは常識的なマナーであって、これはもう無線云々以前の問題。
「その他の迷惑行為」に入る範疇のことはしてはならない。
スペースを占有するアンテナを設置したり、大声で交信したり、他者に不快な印象を与える言動や行動をすれば、自ずと移動運用に対する世間の目はネガティブになってしまう。
その結果、無線が禁止になってしまう事例も少なくない。
基本的に高層ビル等の展望ロビーでの移動運用は極力目立たず、1w程度のQRPハンディーかポータブル機を鞄の中に潜ませ、隅っこのほうでイアフォーンを使用し、大人しく運用するのが最低限の嗜みであろう。
また誰かに話し掛けられたら愛想良く対応し、警備員から注意を受ければ素直に従うのがベターな行動だ。

東京スカイツリー開業まであと2ヶ月。
無線の移動運用が可能である事を祈りたい。

追記
2015年11月現在、展望台への無線機持込は禁止が明記されているようである。

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