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FTX-1シリーズ雑感

昨年のハムフェアにて発表された八重洲のオールバンドポータブル機FTX-1シリーズが5月に入って公式サイトで正式にラインアップ。
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タイプは3種類。
●FTX-1 Field 
メーカー希望価格:159,500円 (税抜 145,000円)
構成品:フィールドヘッド
    大容量リチウムイオンバッテリー 他
●FTX-1 optima-50 
メーカー希望価格:237,600円 (税抜 216,000円)
構成品:フィールドヘッド
    大容量リチウムイオンバッテリー SBR-52LI
    SPA-1M (50W パワーアンプ)他
●FTX-1 DX
メーカー希望価格:231,000円 (税抜 210,000円)
構成品:フィールドヘッド
    100Wパワーアンプ他
   

 

詳細な性能などは既に公式サイトや他のブログ、動画サイトで紹介されているので割愛。
昨年夏のハムフェアで発表されたFTX-1Fはフィールドヘッドの部分のみ。
Fは FieldのFから取ったと推定される。
このFTX-1フィールドヘッドにそれぞれ50W、100Wのアンプをセパレートで付属させたものがFTX-1シリーズ。
(以下個人的感想)
正直、FT-817/818の後継機を期待したユーザーという立場から評すれば違和感しかない。
FTX-1Field以外の2タイプは既存の50/100w据え置き機で事足りる。
もはやFTX-1 DXはポータブル機ですらない100w固定機だ。
恐らく海外仕様のタイプをそのまま国内販売向けに出しているのだろうが、そもそも日本の法規では移動する局に100W機は認められておらず、フィールドヘッドだけ外しても移動運用で使用する事が免許上出来ない。
これでは何のためにセパレートにしているのか意味不明。
またFTX-1 optima-50もパワーアンプ込みでの徒歩運用では明らかにオーバーウエイト。更に50W用電源を別途確保せねばならず、非現実的。
モービル運用なら既存の50W固定機で充分代替出来る。
これまたセパレートにする意味もなく、敢えてこの機種を選ぶ理由もない。
3アマ以上であれば屋外ではフィールドヘッドだけで5W運用し、常置場所ではアンプに繋いで50W仕様で運用するという使い方もある。
かつてFT690Mk2のような電池ボックスを切り離して10Wリニアを接続するタイプのポータブル機があった。
しかし常置場所が都心の住宅密集地だとパワーを出しても弊害の方が大きい。
「5wで繋がる局は0.5wでも繋がるが、5wで繋がらない局は10w出しても繋がらない」という経験則がある。
恐らく5wで繋がらない局は50w出しても繋がらないだろう。
要は電波を飛ばすにはパワーよりもロケーションやアンテナ利得が重要なのであり、自分の常置場所環境に限って言えば50w機は持ち腐れにしかならない。
移動運用では尚のこと。
車がないのでFTX-1 optima-50を徒歩でアンプごと持ち運ぶなんて論外だ。
標高で稼げば5wでも余りある。
更にフィールドヘッドのみのFTX-1 Fieldも機能的にIC-705と殆ど変らず、既にIC-705を使っているユーザーからすれば無理してFTX-1 Fieldに乗り換える動機付けに乏しい。
2波同時受信機能もハンディー機を別途持っていれば事足りてしまう。

 

FTX-1 Fieldの需要としてはIC-705をまだ未導入の移動運用POTA/SOTAメインの無線家位だろうか。
一方、FTX-1 optima-50やFTX-1 DXが既に50/100Wの固定機を所有している移動しない無線家にとって敢えて買い替えるほど魅力があるかどうかは未知数。

 

結局のところ、FTX-1シリーズは何らFT-817/818後継機としての役割を果たせておらず、最もその登場を期待していた肝心の徒歩QRP移動運用ユーザーに肩透かしを食らわし、待たせた挙げ句の落胆しか与えなかったという印象。

 

八重洲が目指すべきはイラストのようなよりFT-817/818シリーズの血統を継承しIC-705と差別化を図り、QRPポータブルなコンセプトに寄せるべきだった。

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にも拘らず、ベクトルが逆方向の据え置き固定機と兼用させた時点で何かが間違っていたのだ。
恐らくQRP移動運用ユーザーに絞った製品では採算が取れないと判断したのかもしれない。
残念な事である。
別メーカーでのチャレンジを期待する。
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