10月初旬の3連休に二泊三日のソロキャンプ移動運用計画を立てた。
概要は以下の通り。
〇上高地徳沢キャンプペディション
日時/2023年10月7日~9日
目的地/松本市安曇(あずみ)上高地~涸沢
●上高地
POTA JA-0017 中部山岳国立公園 JCC0902 長野県松本市安曇 GL:PM86tf
標高:1504.3m
●徳沢
POTA JA-0017 中部山岳国立公園 JCC0902長野県松本市安曇 GL:PM86ug
標高:1560.7m
●涸沢
POTA JA-0017 中部山岳国立公園 JCC0902長野県松本市安曇 GL:PM86th
標高:2280.3m
スケジュール
10月7日土曜日
10:00 新宿駅発 特急あずさ13号(松本行)
12:37 松本駅着
12:50 松本駅発 松本電鉄上高地線(新島々行)
13:20 新島々着
13:30 バス[アルピコ交通[松本地区]]上高地線(上高地行)
14:35 上高地バスターミナル着
14:40 上高地 徒歩
16:50 徳沢キャンプ場
18:00 移動運用(21:00~全市全郡)
22:30 就寝
10月8日日曜日
徳沢キャンプ場
04:30 起床
05:00 出発
06:20 横尾
10:30~12:30 涸沢
16:30 横尾
17:50 徳沢
21:00 就寝
10月9日月曜祭日
徳沢キャンプ場
07:00 起床~移動運用、片付け
10:00 チェックアウト
12:00 上高地(休憩)
14:00 バス帰投
上高地は今から31年前の1992年8月、自分が所属していたBCLサークルKDXC(関東DXerサークル)のペディションで赴いたことがあった。
上高地(かみこうち)は、長野県西部の飛騨山脈南部の梓川上流の景勝地である。中部山岳国立公園の一部ともなっており、国の文化財(特別名勝・特別天然記念物/天然保護区域)に指定されている。標高約1,500m。全域が松本市に属する。(Wikipediaより)
大抵の観光名所は実際に行ってみると期待ほどではない場合が多々あるが、此処は想像以上に風光明媚で雄大な穂高連峰のパノラマに感動した記憶がある。
正にエモーショナルな風景であった。
このペディションでは河童橋近くのケビンで宿泊。
中波、FMの受信記録も残っている。
KDXC機関誌「CALL SIGN」1992年11月号に掲載された自分の投稿記事を転載する。
そんな旅の経験もあっていつかは上高地に再訪したいと考えていた。
また涸沢の紅葉も写真に残したい願望もあって今回のソロキャンプ移動運用に踏み切った。
とはいえ、まともな登山経験も体力もないため、当初はテント泊ではなく余裕を持った二泊三日の日程で横尾~涸沢山荘宿泊の計画を立てた。
しかし、この時期の山荘はすべて満室。
止む無く、上高地から6.4kmの位置にある徳沢キャンプ場にテント泊して涸沢まで日帰りピストンする計画に変更。
リュックも大きめの60リットル、シュラフ等も改めて羽毛入りを購入。
ズボン、ジャケット、肌着も登山用のものを用意した。
上高地~徳沢間は比較的平坦な道で登山経験がなくともテント泊装備で何とか辿り着けそうだったが、徳沢から涸沢まで片道約10km、標高差約800mを4時間10分、往復で8時間以上の行程を日帰りでクリア出来るか?
更にキャンプ場含め、全て谷間のため、V/UHF帯での交信は難しく、HF帯にも出られるWWRアンテナも必須。
テント含め、無線機器もカートなしで全て背負って運ばねばならぬ。
事前に荷物総量を測ってみると約15Kg。
背負えないことはないがかなり重い。
ただ、徳沢までは何とかなろうと楽観視していたが・・。
いつも荷物の多さがネックとなる。
3連休の天候も今一つ。
初日の土曜は晴れそうだったが次第に下り坂。
日曜の午後には雨が降り出す予報。
更に涸沢方面は降雪があって雪が積もっているとか。
つい先日まで暑かったのに、急に冬型の気圧配置になって秋を通り越して冬の様相に。
色々と不安を抱えての移動運用となった。
●10月7日
7日土曜朝10時前、新宿駅到着。
乗る予定の特急「あずさ」13号の指定席は全て満席。仕方なく、座席未指定券で乗り込む。
嵩張るリュックは専用スペースに置く。
定刻通り10:00新宿発車。
幸い八王子まで空いている席があったので座る事が出来た。
八王子から甲府まではデッキ。
特急型電車での立ち乗りはキツイ。
暫く山間の区間なので体が揺られしんどい。
甲府からは再び席が空いたので終点松本まで凌げた。
12時37分、定刻通り松本着。
松本電鉄で新島々へ。
31年ぶりに降り立ったが駅舎も雰囲気も一新していた。
Suicaが使えず、戸惑ったが新島々駅でパス料金共々精算することが出来た。
因みに松本電鉄も萌えキャラを採用。
地方鉄道は萌えキャラなしには成り立たない様だ。
13:30発上高地行きバスに乗り込む。
全て観光バス仕様で綺麗。大きな荷物は車体下に入れる事が可能。座席は満員。半分近くが外国人。
露岩の釜トンネルの姿はなく、31年前と比べ、道路は整備された印象。
渋滞もなく、14時半過ぎに上高地着。
バスターミナルは乗降客でごった返し。
インフォメーションセンター、トイレに立ち寄った後、徒歩5分程で河童橋へ。
例によって外国人だらけ。最近は中国語に変って韓国や東南アジア方面の言語が耳に入るようになった。
欧米系も少なくない。
休憩する間もなく、15時に河童橋から徳沢へ歩き出す。
懸念された荷物の重さが圧し掛かる。リュックの他に機材を入れた長いショルダーとマット。更には首からカメラを提げているので肩に負担が集中。
バランスも悪く、痛くて5分も歩けない。
頻繁に立ち止まって荷物の下げ位置を変えるが一向に改善しない。
この状況で6.4キロを踏破するのは苦行そのもの。
全くペースも上がらず青息吐息でノロノロ歩く。
キャンプ移動運用の度に荷物の多さに閉口するが、今回も同じ。
登山者の中には15Kgどころか更に重い荷物を背負っている人も居るが、経験値が違う。
更にはリュック一つにまとめてあり、こんな荷物を複数抱えているケースは稀。
標高差が殆どない行程にも拘らず想定よりも厳しい状況に後悔しても後の祭り。
中間点の明神館に着いたのは16時7分。
通常タイムより遅れが10分以内だったのは幸い。
しかし徳沢までまだ3.4Kmある。
ただただしんどい。
暫く休んでまた歩き出すが最初は多かった登山者の数がどんどん減っていく。
いつの間にか誰も居なくなってきた。
クマが恐ろしい。
僅かに日差しの出る時間もあったが日没も近く、暗闇の中を歩く訳にもいかず、肩の痛みに耐えながらひたすら歩く。
17時09分、やっとのことで徳沢到着。
上高地から通常2時間のルートをこの荷物で10分程度の遅れで踏破できたのは上出来のほう。
キャンプ場は足の踏み場もない程の混雑。
車は立ち入れないためオートキャンプ場と異なり、タープはなく、焚火も禁止なので皆こじんまりとした野営。
徳澤園で受付を済まし、テント設営へ。
芝部分は粗方スペースが埋まっていたので、雑草生い茂るキャンプ場の端っこにテント設営する。
もう辺りは真っ暗でヘッドランプに頼りながらの作業。
それに気温も低く、汗でびっしょりの肌着が冷えて不快の上に寒い。
慌てて予備の肌着に着替え、セーターも着こむ。
何とかテントとWWRアンテナを立て終わったのが19時15分。
先ずはPOTAアクティベートを早めに片付けるべく、7MHzCWモードにてQRV.
この日は21時から全市全郡コンテストがあって呼び回りも可能であったが、その前にこちらからのCQで交信したかった。
スポットやツイッターで告知したため、五月雨的にハンター局から応答いただく。
しかしこちらの信号はRST319~519レベルでかなり厳しいとのレポートが返ってくる。
20時過ぎまでに9局と交信。
もうこの時間帯になると周りは就寝するキャンパーも多い。
(因みに敢えて言うまでもないが運用中はイヤフォーン使用で音が外に漏れる事はなく、更に全て電信でのQRVなので声も出さない)。
無線はここで一旦切り上げ、チャージに。
すでにキャンプ場の食堂や売店は閉まっており、持参したレトルトで賄うしかない。
自販機でミネラルウォーターを買い、バーナーを用意した時点で鍋を忘れてきたことに気が付く。
これではお湯が沸かせられないではないか!
調理機器はレンタルされておらず、もとより時間外だ。
食事は出発前の朝7時台に採って以来、お菓子とお茶のみ。
丸一日まともな食事をとる時間もなかった。
気温も10度を切っており、温かい食事で疲れた体を癒すことも出来ない。
途方に暮れる。
仕方なくバーナーを仕舞って残り少ないポットに入れたお茶と菓子で空腹を凌ぐ。
がっくりだ。
見上げると晴れ渡った漆黒の夜空。星も出ている。
今回はスマホを三脚に固定できる機材を持ってきたので、星空撮影にチャレンジ。
登山者の灯りもアクセントになる。
東の空に明るく輝いているのは木星だろうか?
秋の星座は余り目立つものがなく、よく解らない。
POTAアクティベートにはあと1局交信が必要なので21時からの全市全郡コンテストに呼び回りで参加。
谷底なのでV/UHF帯はRH-770では殆ど無感。
WWRアンテナでの3.5~7MHzCWモードでは多くの局が受信出来るがなかなか拾ってもらえず。
21時36分にやっと8エリア局とレポート交換成功でアクティベート完了。
22時前に無線機を片付けて就寝に。
しかし案の定、寒くて眠れない。
申込時に毛布レンタルを申し込んだが既に品切れ。これが痛かった。
新しい羽毛シェラフも効果なし。元々3シーズン用のテントなので氷点下に近い気温になるとどうしようもない。
これまで真夏のキャンプでも夜の寒さに眠れなかった時があったのに、10月の徳沢では尚更だ。
ホッカイロが三つあったのでそれで凌ごうとするが絶対的な数が少ない。これも購入漏れ。
空腹の上に寒さで眠れず散々な夜に。
(後半に続く)
最近のコメント