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女川さいがいFMを聴きに行く【前編】(2016年3月29日)

2011年3月11日の東日本震災に伴って各被災地には臨時災害放送局が立ち上がった。
ウィキペディアによると、臨時災害放送局とは、「放送法第8条に規定する「臨時かつ一時の目的(総務省令で定めるものに限る。)のための放送」(臨時目的放送)のうち、放送法施行規則第7条第2項第2号に規定する「暴風、豪雨、洪水、地震、大規模な火事その他による災害が発生した場合に、その被害を軽減するために役立つこと」を目的とする放送を行う放送局」と説明されている。
東日本大震災関連では総務省の資料によると28市町で30局(中継局を除く)開設されていた。
宮城県女川町で2011年4月21日に開局した臨時災害放送局「女川さいがいFM」は、この数ある東日本大震災臨時災害放送局の中でも特にメディアに注目されたステーション。
NHKが2013年3月に製作したドラマ『ラジオ』のモデル局ともなり、文化庁芸術祭大賞も獲っている。
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その「女川さいがいFM」がこの3月29日で閉局するというニュースを知る。
詳しい経緯は公式サイトに記されている。
震災から5年を経過し、災害放送局としての役割を終え、コミュニティーFMに移行したり運営資金難などによって閉局するケースも多いと聞く。

さて、2016年3月現在まで東日本大震災に伴う臨時災害FM局はこれまで1件も受信経験した経験がない。
その理由としては、

①まず直接波を受信出来る距離にないこと。
②またEs伝播にしても東北地方はスキップしてしまうので極めて困難なロケーション。
③ダクト伝播ではFM仙台やFM岩手の釜石中継局を受信した経験があるが、出力20w未満でERPも低い福島、宮城、岩手の災害臨時放送局FM波を周波数が逼迫する東京で受信することはまず不可能。
④それでは、こちらから受信可能エリアまで聴きに行くしかないが、臨時災害放送という性格上、受信を目的とするだけの現地訪問は遠慮せざるを得ない。
また遠征費用も大きい。

ただ、この「女川さいがいFM」は公式サイトでもリスナーからの受信報告を受け付けており、ベリカード発行も告知している。
東日本大震災に伴う臨時災害FM局の中では比較的BCLへの理解度が高いようだ。
震災から5年が経過し、被災地も落ち着いてきたようにも感じ、この局もその役目を終えようとしている。
そこでこの「女川さいがいFM」の受信遠征(ペディション)を思い立つ。
またこれまで一度も東北に足を運んだ事がなかったので、仙台のCFM受信や7エリアの移動運用も兼ねる初東北旅行の動機付けにもなる。

さて、「女川さいがいFM」は3月末までに閉局が決まっている。
当初は31日までかなと思っていたが、どうやら生放送は27日日曜日まで。
決断が付かぬうちに日程が覚束なくなって、気がつくと27日も別件で遠征は無理。
当日最後の生放送をネットで聴取し、「これは本日中に終わりそうだな」と一時は諦めたのだが、電波は29日まで出すとSNS等で知る。
このときはまだ停波の正確な時間は解らない。ただ午後らしい。
東京から女川までのアクセス時間を調べてみると朝6時台の最初の新幹線に乗れば、女川まで午前10時には着けそうだ。
ただ、途中トラブルで遅れてしまうとアウト。
29日だと着いた時には停波の後ということも十分に考えられる。
これはかなりのリスク。
とはいえ、もうこのチャンスを逃したら、永遠に「女川さいがいFM」を79.3MHzで受信することは出来ない。
いっそ、停波の瞬間を記録に撮っておこうと、最終日の29日に遠征を敢行することにした。
所持する受信機は、ソニーSRFM-100、VX-3、そして録音用にサンヨーのラジオ内臓ICレコーダーICR-RS110M。ワンセグ受信機東芝ギガビートMEV30E。 更に特定小電力トランシーバー。当初FT817も持参しようかと思ったが平日では移動運用は見込めず荷物も増えるのでやめる。
資料として「ラジオ番組表2015年秋版」は必須。
カメラはいつものペンタックスQ10と予備のニコンクールピクス4300。

●初の東北新幹線で仙台へ
遠征当日、朝5時前に家を出る。
前夜は激しい雹に見舞われたがこの日は朝から晴れ。天気予報では穏やかな春日和になりそうだとのこと。夜明け前の空には半月がかかっている。
幸い、電車も問題なく動いているようだ。
JR阿佐ヶ谷駅で仙台までの新幹線自由席券を自販機で購入。
5時12分発、東京行き中央線各駅停車に乗り込む。
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ディズニーランドでイベントでもあるのだろうか?こんな平日早朝からそれ風の少女グループが目立つ。
東京駅から06時04分発盛岡行き「やまびこ41号」に乗り込む。
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なにしろ東北新幹線は生まれて初めて。
車種はE2系。
さすがにこの時間帯は空いている。
東側の席に座った。朝日がまぶしく、車窓から見える建物が朝靄に煙る。
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あっという間にさいたま新都心が見えてきた。
0622JST、87.3MHzにレッズウエーブが入感。
途中のCFM受信もこの遠征の目的でもある。
0628JST 大宮着。
0653JST 宇都宮着
85.7MHzの栃木シティーFMに合わせるが入感なし。それもそのはず。この局は宇都宮市ではなく栃木市のCFM。
宇都宮を過ぎてから座席の位置を失敗したことに気がつく。
西側に那須や塩原高原の山々が綺麗に見えている。
あわてて反対側の座席に移る。まだ空席があったのが幸い。
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平日は通勤に新幹線を使う人が多いらしく、段々と混んで来た。
0723JST 郡山着
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79.1MHzに郡山コミュニティFMが良好に受信出来た。「郡山TODAY」の女子アナトーク。平日はこの時間帯ローカル番組が多いので助かる。
0739JST 福島着
視界がよく、車窓から安達太良山や吾妻山と思われる山々が美しく眺められる。初めての風景なので新鮮。
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76.2MHzに合わせ、福島コミュニティーFMを受信しようとするがなんだかおかしい。FM福島が聞こえる。だがこんな周波数にはないはず。
後で知ったが、これは新幹線内での再送信らしい。
ネットで調べるとこうなっている。


東北新幹線E2系車内FM放送の周波数毎の放送内容
76.0MHz NHK-FM
76.6MHz 民放FM
77.5MHz 未使用
78.8MHz 民放FM
79.6MHz 民放FM

このFM福島は76.6MHzでの再送信らしい。地元局を新幹線で自動受信し、この周波数で再送信しているそうだ。
トンネルに入ると受信出来なくなるから、再送信も止まり、実際の放送波と錯覚してしまう。
どうりでおかしな周波数で地元民放が聴こえると思ったらこれが理由だったのか。
しかし、この再送信周波数に被ってしまう地元CFMもある訳で、ただでさえ新幹線内はシールドされているのに益々FMワッチは困難を極める。
結局、往路でのCFM初受信局は郡山のみ。
0800JST 仙台着
初めての宮城仙台。車内からテレビ鉄塔が三つ並んでいる山が望める。
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新幹線から降りると、空気が冷たい。
やはり東北は寒い。
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まだ構内は静か。都内の平日8時と比べると人が少ない。

●仙石東北ラインで石巻へ
仙台駅から8時19分発、仙石東北ライン快速に乗り込む。ディーゼルカーだ。
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暫くは東北新幹線と併走。車窓から見える住宅街は東京とあまり変わらない。
0833JST、塩釜駅付近でラジオから78.1MHzで男女トークが聴こえる。
恐らくFMベイエリアと思われるが、局名告知の確認が取れないうちに聴こえなくなってしまった。
塩釜を出ると沿岸部を沿うように走る。
所々、新しい防潮堤が目立つようになる。また復興のための造成地や広い嵩上げされた更地が広がり、この辺りが5年前の被災地であった事を物語る。
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しかし瓦礫などは、もはやどこを見てもない。
以前、被災直後に支援に入った知り合いから津波に襲われた野蒜駅の写真をもらった事がある。下の3枚が当時の様子。
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今回、その野蒜駅を通ったが、イメージと違う。
後で知ったがここは新しく高台移転後に作られた駅だった。下が今日の野蒜駅ホームの写真。
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航空自衛隊松島基地の最寄り駅も通る。海岸からかなり離れたこの辺りまで津波が押し寄せたとは、なかなか理解し難い。
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0920JST。石巻着。
石巻線と仙石線が合流して駅構内には貨物列車が多数並んでいる。
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またホーム向かいにはサイボーグ009のラッピング列車が。
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ここでやっと石ノ森萬画館が石巻にあったことを思い出す。
駅は石森キャラで埋め尽くされていた。
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ラジオからは76、4MHzラジオ石巻が入感。0930JSTから「ラジイシワイド」が始まり、地元の話題をトーク。DJはマツウラカナ。
さて、いよいよ石巻線に乗り換え、女川へと向かう。

●石巻線で女川へ
0933JST発石巻線女川行きに乗り換える。
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平日にも拘らず、結構観光目的らしき乗客も目立つ。
0946JST、万石浦駅辺りから79.3MHzに何か入り始める。恐らく「女川さいがいFM」の電波だ。
FM波では初受信。
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0948JST、澤田駅ではS1~2.
0955JST、浦宿駅周辺でS4
0959JST、トンネルを抜けていよいよ女川駅へ。
丁度、27日に生放送された番組の再放送ラスト部分を流している。
定刻どおり、女川駅到着。
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雲ひとつない絶好の好天。
乗り換え3回、乗車時間3時間53分。
想像したよりあっという間だった。
駅舎は完成したばかりで綺麗。「ゆぽっぽ」という温泉施設が併設されている。
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駅の交流ルームにはラジオが置かれていて、各種パンフレットも。
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地図を調べ、局舎のある女川町仮役場に向かう。
駅からは徒歩でも10分位で辿り着ける距離だ。道路を走る車はどれも復興工事のトラックや関係車両。
「共同墓地」「献花台」の文字に緊張が走る。
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仮役場駐車場の一角にトレーラーハウスのような局舎を見つける。
1035JST、遂に「女川さいがいFM」に到着した。
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局関係者だろうか、それともリスナーか。数人が局舎の前でスタジオを見つめる。テレビ局クルーもいるようだ。
局舎入り口には献花台のような棚が設けられ、そこに今日の放送予定が記されている。
11時半から生放送があり、停波は正午らしい。
自由ノートがあったので一筆記すが、緊張してまとまりのない文章になってしまった。
ここで番組が始まるまで暫く待つしかないか。
出入りする人たちは殆どが局関係者か、そのお知り合いばかりで自分のような部外者は見当たらない。
停波の瞬間を聞くために遠路遥遥遣ってくる奇特な人間は、どうやら自分ひとりのようだ。
仕方なく駐車場横に目立たぬよう座ってみるが、逆に落ち着かず、居場所がない。
これなら駅前で聞いていたほうがよかったかなとも思うが、まあここまで来たのだ。
最後の瞬間までスタジオ前で粘るとする。
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「女川さいがいFM」は27日にネットで聴取したのが初めてだった。
すべての番組を聴いた訳ではないから一概には判断できないけれど「おながわ☆なう」のような生放送を聴いた限りにおいては、スタッフに若い人が多く、意外に洗練されていて、リスナースタッフ間の距離感も近い印象。
自分がリスナーとして関わった入間やかつてのかつしかFMの雰囲気と似ている。
高校生が積極的に番組作りに加わっているのも親近感がある。
一方で女川の地方色は意外と薄く感じた。会話も標準語で、被災情報がなければ「おながわ☆なう」が首都圏CFMから流れていても何の違和感もない。
1130JST、いよいよ最後の生放送が始まる。
(後編に続く)

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