移動運用その143/山梨県富士吉田市富士山移動その1(2015年8月21日)
8月21日から22日にかけて山梨県富士吉田市の富士山に移動運用兼FMDXペディションを敢行したので2回に分けてご報告。
昔、電波新聞社が発行していた「ラジオの製作別冊BCLマニュアル」という雑誌があった。
ぼろぼろだが今もまだ手元にある。
ぼろぼろだが今もまだ手元にある。
その巻頭グラビアに富士山ペディションの記事が載っている。
100Kgもの機材を担ぎ上げて 山頂に八木アンテナを建てVHFDXにチャレンジするという内容だった。テレビ25局とFM28局を受信したという。
100Kgもの機材を担ぎ上げて 山頂に八木アンテナを建てVHFDXにチャレンジするという内容だった。テレビ25局とFM28局を受信したという。
記事は1975年の頃だから、まだFMは民放4局時代。テレビはアナログ。FM28局といっても大半はNHKで民放遠距離受信はFM愛知だけだったようだ。隔世の感あり。
自分もいつしか日本最高峰の富士山に移動運用及びBCL目的で登ってみたい希望はあったのだが、インドア派の自分にとっては敷居が高すぎるロケーション。
自分もいつしか日本最高峰の富士山に移動運用及びBCL目的で登ってみたい希望はあったのだが、インドア派の自分にとっては敷居が高すぎるロケーション。
しかし、この夏、何となく行けるんじゃないかと思い立った。
その理由のひとつとして火山噴火に敏感な時勢、登山客が減って混雑を回避出来るのではないかとの期待もあったのだ。
準備編
行動に移したのは6月中旬。
取りあえず、参考ガイドブック、雑誌を購入して富士登山情報を入手する。
単独登山なので慣れた人に連れて行ってもらう訳にもいかない。
それに移動運用やラジオ聴取は自分のペースで自分の時間を確保しないと難しい。
まず、ルートは初心者が多く利用する富士吉田口とする。標高2305mの富士スバルライン5合目までのアクセスもよく、登りやすい。
登山時期は混雑するお盆、週末を避けて8月下旬の平日とした。
富士登山のモデルプランは一泊二日。途中7合目辺りの山小屋に一泊して山頂を目指す。
これがもっとも一般的。日帰りの「弾丸登山」は初心者には危険すぎるので論外。
6月下旬に山小屋に予約を入れる。
シーズン前に予約しないと満員になるかもしれないとガイドブックには記されていたが、何とか8月21日は開いていた。
装備の準備も必要。
移動運用はもう150回以上行なってはいるが、標高は殆ど1000m以下のハイキングレベル。高尾山程度のトレッキングしかしたことがないので3000m級登山に耐えうる装備は皆無。1から揃えなければならず、難儀。
アウトドア専門店に行ってみたが、どれも高価。ブランド品並だ。
とても手は出せない。
仕方なくDIYや衣料量販店を回って代用出来そうな必要最小限の備品を集める。
一応、履き慣れたトレッキングシューズはあるので購入リストから除外。
リュックは小さいものしかなく、30リットル必要な新品を購入しなければならなかったが・・。実は通販で4000円程度のものを取り寄せたのだが、サイズが大きすぎ、重く、使い物にならず、やむなく従来のリュックに無理やり詰め込むことに。
雨具は上下セパレートの丈夫なものが必須らしい。これも通販で3000円程度のものを購入。
ゴアテックスのような防水性と透過性に優れた雨具はとても高くて買えないのでせいぜい自転車用。これでもなんとかなろう。
ウエアーは吸汗速乾性がベスト。取りあえずユニクロでヒートテックTシャツを数枚購入。
ストックはあったほうがよい。専門店で扱っている商品は高すぎるのでDIY店で1000円のものを購入。これで十分だ。
ヘッドランプも必須らしいので家電量販店で600円程度の安価な製品で済ませる。
富士山登山は重ね着が基本だそうなのでジャケットやパーカーも既存のものを用意。
砂が靴に入るのを防止するスパッツだけは登山専門店で買った。妙に安いのがひとつだけあったのだ。
更にデジカメ2台(ペンタックスQ10とクールピクス4300)と魚眼コンバーターレンズ。
これだけでも嵩張るのに、肝心のアマ無線機やアンテナ、ラジオも含めなければいけない。
アマ無線機材はFT817とハンディーVX-3。さらに特定小電力トランシーバーユニデンSLT001。
FMDX用としてSONYSRF-M100にラジオ付きICレコーダー。さらにワンセグ受信機ギガビート。
アンテナはミズホのポケットDPと短縮ホイップアンテナ。
更に予備の単3アルカリ電池12本。
最近、移動運用に使っているアンテナポールと三脚はどう考えても無理。
リストから除外した。
資料として「月刊ラジオライフ別冊ラジオ番組表2015年春号」も必須。
結構な重さだ。
いずれにせよ、門外漢のアウトドア。殆どがぶっつけ本番となった。
さて、出発前々日にたまたま430FMで富士登山8合目から移動運用している人と交信した。
夕方18時頃だったか。標高3200m付近は季節外れに寒く、風も強いとのこと。
果たして21日、登山当日は大丈夫だろうか。
実践編
1日目21日金曜日 天気曇り
8月21日の数日前から太平洋高気圧が衰えて、列島に秋雨前線のようなのが出来てしまった。
今年は台風の影響で冷夏の予報が一転して猛暑になったが、その勢いも衰えて悪天が続く予感。このサイトでは登山適応度を3段階で示しているが金曜日の予想は最低ランクの「C」が続く。
しかし、二つの台風が太平洋高気圧にエネルギーを再び与えたのか、週末には天候が回復する可能性が高いとのこと。
何とか土曜日は天気好転を期待したい。
21日朝、午前6時過ぎ、自宅を出発。JR阿佐ヶ谷駅に向かう。
天候は曇天。暑さもなし。今ひとつテンションが上がらない。
リュックが肩に食い込む。明らかなオーバーウエイトだ。何かを削る必要があったかも知れぬがもう遅い。
前日、購入した「世界遺産・富士山フリー乗車券」で改札を通過。
東京都区内からだと4630円。富士登山バスも使えるので往復を考えるとかなりな得となる。
平日ゆえにホームには通勤、通学客が多い。もうお盆も終わっている。
0643JST、JR中央線快速高尾行きに乗る。
途中立川で特別快速に乗り換える。ここで列車トラブル。5分遅れで発車。
高尾駅に着いたのが0737JST。
0753JST発中央本線河口湖行きに乗り換え。
登山客はちらほら。少し日差しも出てきた。
河口湖駅でどっと外国人客が乗り込んでくる。中国、台湾系と欧米系が半々位。中国系の団体客でバスはあっという間に満員に。
バスは渋滞もなく閑散な富士スバルラインを登っていく。途中霧が出たり、日差しが出たりと天候の変化が激しい。
バスは渋滞もなく閑散な富士スバルラインを登っていく。途中霧が出たり、日差しが出たりと天候の変化が激しい。
霧で寒い。だが晴れ渡ると急激に暑くなる。寒暖の差が激しく、その度に衣服を脱ぎ着するのが煩わしい。
時たま霧が晴れて、山頂方面が覗く。
そこでラジオを取り出し、5合目でのFM,AM受信状況をチェックする。
ここは富士山の北麓なので、長野、栃木、静岡の県域局がよく聞こえる。東京タワーやスカイツリーから電波を出している県域局は都内同様、強力に受信出来る。
CFMでは長野県諏訪のLCVFMや山梨県小淵沢の八ヶ岳FM、富士河口湖町のFMフジヤマが比較的良好に受信できた。
また、東京の武蔵野FMや葉山、市原のCFMも入感。
またAMでは在京局の他、静岡、小田原、富士吉田、甲府、小諸、岡谷、諏訪、名古屋のNHKの他、CRT,SBS、SBC、CBCの民放局が確認できた。
五合目出発
五合目出発
1245JST、5合目を出発。馬に乗っていく人も。ツアー団体客も多く、指導員が参加者に「訓示」している様子がいたる所で聞こえた。「山ガール」風の女子も目立つ。
自分の登るペースは極端に遅いのでどんどん抜かれていく。
登山客は中国人に代わって欧米人が断然多くなる。いずれにせよ、人の列が途絶えることはない。
430FMメインをワッチしていたが、ずっと外国人の違法なアンカバー交信ばかり。CQも入ってこない。
1446JST、霧が小雨に変わってきた。衣服が濡れては体温を持っていかれる。早速レインコートを羽織る。ただ安物なので蒸れてくる。幸い、30分位で雨は上がった。
時々、山の上の視界が開け、山小屋群が見えてくる。遥か上に感じ、辿り着ける気がしない。
焼印サービス300円。ドリンクも下界の倍以上。高度が高度なだけに致し方なし。
雄大な景色を見ると気分も向上して、不思議と体の動きが良くなる。いつしかリュックの重みも感じなくなった。高山病の症状もなし。

430FMメインもやっと16時過ぎからまともなCQが入り始める。牛久市と横須賀市湘南国際村移動の局と交信。

430FMメインもやっと16時過ぎからまともなCQが入り始める。牛久市と横須賀市湘南国際村移動の局と交信。
7合目より上は岩場が多くなるが、山小屋が連なり、登山者が渋滞を起こす位に居るので、危険も不安も疲れも感じない。グローブ(手袋、軍手)を持ってきたのは正解だった。この辺りは手も使って登る。



何だかテーマパークのアトラクションのようだ。天候さえ許せば夏の富士山は堂平山や二子山ハイクよりよっぽど快適だ。



何だかテーマパークのアトラクションのようだ。天候さえ許せば夏の富士山は堂平山や二子山ハイクよりよっぽど快適だ。
風景の雄大さがすべてを払拭する。
標高3000m山小屋到着
標高3000m山小屋到着
1736JST、5合目から5時間弱かけてやっと本日泊まる標高3000mちかくにある山小屋に到着。
すぐにチェックイン。従業員の登山者に対するスタンスは「快適なサービスを提供」するのではなく、あくまで「一泊の場を与える」感覚。予めそういうものとガイドブックにも記されていたので予想と違わず、驚きもなし。
すぐに部屋に案内される。部屋といっても雑魚寝の大部屋。寝袋が狭い間隔に並べてある。
すでに隣には男性客が寝ている。荷物置き場は電車の網棚程度。常に暗いので自分のスペースで荷物の出し入れすら、困難。
要するに寝る以外、何も出来ないのだ。
しばらくして広間での食事に呼ばれる。これも流れ作業だ。とはいえ、そんなに慌しくはない。
泊まっている登山者は若者や家族連れ、女性も多く、意外にも中高年は目立たなかった。夏休みだからか活気があった。
部屋に居ては何も出来ないので、山小屋のテラスに出る。
一般の宿のように屋内にラウンジのような空間はない。ひっきりなしに登山者が出入りするので落ち着く場所もない。常にスタッフに怒られるんじゃないかとビクビクしていた。
だからテラスに出る以外に居場所がない。ただ風は寒く、長居は無理。
トイレは外。水洗式で綺麗。但し有料。
トイレは外。水洗式で綺麗。但し有料。
約1時間で11局と交信頂いた。東京都の局が大半。あと神奈川、埼玉、山梨県。
標高3000m近くまで登ってきたのに何だか新宿の高層ビル展望台からオンエアした時とあまり交信エリアは変わらず。
そういえば、一昨日、富士山富士宮8合目からQRVしていた人も繋がるのは東京方面ばかりと話していた。
やはり無線人口の密集度の差だろうか。
やはり無線人口の密集度の差だろうか。
FMDXも試みたが、イヤフォーンアンテナのような無志向性アンテナではCFMなどの小電力局は混信で確認出来ず、まともに聞こえるのは在京の県域局のみ。ロッドアンテナで再チャレンジも考えたが、時間的、空間的余裕がない。
山小屋前のテラスで無線にしろ、BCLにしろ、スペースを取る作業はやりつらいし、第一そのような用途に使われる場でもない。ましてやアンテナなど建てられるはずもない。
部屋は寝るだけ。屋内には自由空間もなし。結局、ハンディー機でのQRVが精一杯なのだ。
ゆっくりと夜空を見上げる余裕もなかった。何だかもったいない。
20時過ぎ、仕方なく部屋に戻って寝ることにする。
山小屋は出入りが頻繁で物音が常にしているから耳栓は必須。取り合えず雑音はこれで防げた。
ところが、運悪く、左隣の登山者が巨漢男性で寝返りを打つ度にぶつかってくる。右側は運良く誰もおらず、少しずれることが出来たものの、いつ客が入ってくるか解らない。
その上、いままで問題なかった高山病の症状が出始めた。
頭痛と動悸である。
頭痛と動悸である。
頭痛などめったにないから、これが酸素不足で起こっているのは明らかだ。
「高山病は就寝中に発症する」と聞いたことがあったが、正にそのとおりだ。
さまざまな高山病体験記も似たような記述を読んだことがある。
眠ると呼吸が浅くなって酸素不足が促進されるのかもしれない。
とにかく二日酔いのような頭痛。それに風邪の症状に似た倦怠感。これでは眠れない。
しかし時計はまだ23時代。時たまウトウトするが熟睡は無理だ。
これでは明日、登頂などとても無理だし下山すら危ぶまれるという気分になってくる。
まだFT817でオンエアすらしていないのに何のために担ぎ上げたのだとイライラもしてくる。
とにかく朝を待つしかない。
(後半に続く)
| 周波数(MHz) | 局名 | 信号強度(5段階) |
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| 76.1 | インターFM(東京) |
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| 76.4 | レディオベリー(宇都宮) |
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ラジオショッパー |
| 76.7 | 市原FM(市原) |
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| 76.9 | LCVFM769(諏訪) |
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ID、振り込め詐欺防止キャンペーン告知 |
| 77.1 | 放送大学 |
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| 77.6 | FMフジヤマ(富士河口湖) |
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| 78.0 | BAY-FM(千葉) |
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| 78.2 | 武蔵野FM(武蔵野市) |
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武蔵野高齢者総合センターからのお知らせ |
| 78.6 | FM富士(三つ峠) |
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| 78.9 | 湘南ビーチFM(葉山) |
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(推定) |
| 79.2 | K・MIX(静岡) |
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(推定) |
| 79.5 | ナック5(さいたま) |
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| 79.7 | FM長野(長野) |
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ウェルカム |
| 80.0 | 東京FM(東京タワー) |
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| 80.3 | NHK宇都宮 |
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| 80.5 | FM富士(身延) |
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グッドデー |
| 80.7 | NHK千葉 |
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| 81.3 | JWAVE(スカイツリー) |
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| 81.9 | NHK横浜 |
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| 82.2 | FM八ヶ岳(北杜) |
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| 82.5 | NHK東京 |
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|
| 83.0 | K・MIX(熱海) |
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| 83.8 | NHK御殿場 |
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| 84.0 | NHK長野 |
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| 84.7 | NHK身延 |
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| 85.1 | NHKさいたま |
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| 85.6 | NHK甲府 |
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| 86.0 | NHK三つ峠 |
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| 89.7 | インターFM(スカイツリー) |
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| 周波数(KHz) | 局名 | 信号強度(5段階) | |
| 594 | NHK東京第1 | ||
| 639 | NHK静岡第2 | ||
| 693 | NHK東京第2 | ||
| 729 | NHK名古屋第1 | ||
| 765 | YBS(甲府) | ||
| 810 | AFN | ||
| 828 | NHK大阪第2 | ||
| 882 | NHK静岡第1 | ||
| 927 | NHK甲府第1 | ||
| 954 | TBS | ||
| 1026 | NHK御殿場第1 | (推定)小諸の可能性もあり | |
| 1053 | CBC名古屋 | ||
| 1098 | SBC長野 | ||
| 1134 | 文化放送 | ||
| 1197 | SBC(諏訪) | ||
| 1242 | ニッポン放送 | ||
| 1332 | 東海ラジオ | ||
| 1359 | NHK岡谷、那須第二 | ||
| 1404 | SBS静岡 | ||
| 1422 | ラジオ日本 | ||
| 1458 | SBC佐久 | (推定) | |
| 1485 | ラジオ日本(小田原) | ||
| 1512 | NHK松本第2 | ||
| 1530 | CRT宇都宮 | ||
| 1557 | SBS熱海 | ||
| 1584 | NHK富士吉田第1 | ||
| 1602 | NHK甲府第2 |
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