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2012年3月

東京スカイツリー展望台からの移動運用を考察する

さて、5月22日に開業予定の東京スカイツリー
3月22日からは個人向けチケット予約受付も始まった。
今更説明するまでもないが、高さ634mという自立鉄塔としては世界一の高さを誇る電波塔だ。
展望台も350mと450mに設置してあり、日本では未知の高さからの眺望が期待できる。
当然、アマチュア無線や特定小電力無線の移動運用候補地としても興味深い。
自分はこのような象徴的な高層建築物が完成する度にQRP移動運用にチャレンジしてきた。
その時の経験も踏まえ、東京スカイツリー展望台からの移動運用の実践の是非を解り得る範囲で考察してみようと思う。
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イベント施設としての移動運用環境
世間も注目する東京スカイツリー開業直後の展望台見学は、一種の大規模イベントでもある。
だから開業から7月10日までは入場チケットが完全予約制になった。
こうなると、オープンから暫くは飛行場や各種イベント会場と同じく、高いレベルのセキュリティーが求められ、手荷物検査や様々な物品持込禁止が実施される可能性もある。
1日の発行チケット数は個人が8000枚。+団体、ツアー客を含めれば1万数千人のオーダーだ。
入場に支障を来たす手荷物検査は現実的ではないが、果たしてどうなるか。

このような大規模イベント施設では様々な物品持ち込み禁止の場所も少なくない。
東京ディズニーリゾートの公式サイトにはペット、お弁当、アルコール、三脚などが持ち込み禁止と明記してある。
愛知万博ではお弁当やペットボトルに加え、無線機持ち込みが制限された。
恐らく様々な機器に影響を与えかねないという理由なのだろう(なぜか携帯電話だけはスルー。これに関しては後述する)。
他、野球、サッカー等のスポーツイベント、基地解放日等では必ず手荷物検査が実施される。
2011年の航空自衛隊入間基地祭や在日米軍横田基地祭でも実施された。
但し、これらのイベントでは無線機の持込は特に規制対象にはなっていない。
自分もハンディー機を持参したが特に何も言われず、基地内での交信等も問題なかった。
以前から特定小電力無線で連絡を取り合う光景は普通に見られたため、無線機使用はフリーというスタンスなのだろう。
果たして東京スカイツリー展望台の場合はどうなるのか?
特に電波塔という性格上、アマ無線機持ち込みに対してナーバスになる可能性は否定できない。

東京スカイツリー展望台移動運用の可能性
2012年3月末現在、東京スカイツリー展望台への持ち込み制限はアナウンスされていないようだが、開業近くになれば何らかの発表があるかもしれない。
まず、結論から言ってしまえば、管理者たる東京スカイツリーが展望台への持ち込み禁止項目の中にアマチュア無線機等が含まれてしまえば、事実上、移動運用は不可能となる。

一方、無線機持ち込みが規制されないと仮定した場合、従来の高層建築物に設置された有料、無料の展望台や展望ロビーにおける移動運用状況と比較し、どのように対処すべきか、自らの経験もふくめて考察してみた。

1.電波塔の場合
まず、スカイツリーと条件が似ている東京タワーを例にしてみる。
東京タワーの公式ホームページには、特に規制条件や手荷物検査などの項目はない。
今のところ、展望台でのアマチュア無線等を禁止する明確な制限明示はないと思われる。
ただ、現実問題として放送波送信を主に扱っている電波塔内で個人のアマチュアが任意に電波を出す事は歓迎されないだろうし、たとえ禁止になっていなくとも派手に無線機を扱うのは憚れる行為と思われる。
電波塔そのものではないが以前、お台場フジテレビの球形展望台で特定小電力トランシーバーを使用した際、係員に注意された経験があった。

もっとも、無線許可されているか否かに拘わらず、直上から強力な放送波が出ている電波塔での移動運用は条件が悪すぎる。
東京タワー直近の六本木ヒルズ屋上で移動運用にチャレンジしたことがあるがVHF,UHFの無線機は抑圧されて著しく送受信に苦労した経験があった。
また、同じく直近の浜松町貿易センタービル展望ロビーで特定小電力無線交信した際も、送受信が正常に行なわれなかったケースがあった。
そんな悪条件を裏付けるように、これまで東京タワーからの移動運用局と交信した記憶がないし、自分も東京タワーを移動運用地の候補として考えた事はなかった。
これがそのまま東京スカイツリーに当てはまるとは思わないが、憂慮される条件のひとつだ。

そこで5月末の時点でスカイツリーからの放送波送信はどうなっているか調べてみた。
スケジュールによると

東京スカイツリーから本放送予定の放送事業者
○FM放送
NHK東京FMとJ-WAVE→2012年4月下旬本放送開始予定

○携帯端末向けマルチメディア放送(VHF-HIGH帯)

「NOTTV」→2012年4月1日より本放送開始予定
○タクシー業務無線→2012年3月より運用を順次開始し5月からの本運用開始予定

○在京テレビ局→2013年1月本放送開始予定

つまり、展望台開業時にはすでにFM放送波とモバキャス、タクシー無線波は常時出ている状況だが、テレビは電波をだしていないと。
少なくともスカイツリーからの移動運用が可能ならばテレビ本放送が始まる前に実施したほうが有利かもしれない。

2.一般の高層ビル施設の場合
電波送信施設以外の高層建築展望ロビーでの移動運用環境を考えてみる。
著明な首都圏展望ロビーとして

新宿区都庁舎(高さ243m、第一本庁舎45階南北に展望ロビー、料金無料)
サンシャイン60(高さ251m60階に展望ロビー、256mにスカイデッキ、料金620円)
六本木ヒルズ(高さ238m、52階に展望室、屋上にスカイデッキ、料金1500円)
横浜ランドマークタワー(高さ273m、69階にスカイガーデン、料金1000円)


等が上げられる。
それぞれの公式サイトを観る限りにおいてはアマチュア無線移動運用自体に絞って禁止を掲げるような記載は存在しない。
但し、実際に移動運用を行なった際の経験として、新宿都庁舎の展望フロアでは長時間の無線は遠慮してほしい旨の注意書きは存在するし、実際に係員から注意された経験もある。更に2012年現在は手荷物検査も実施しているという。
一方、サンシャイン60、六本木ヒルズ、横浜ランドマークタワーにおいて移動運用を行なった経験では特に問題は発生しなかった。
詳細はサンシャイン60移動運用記(2008年)六本木ヒルズ移動運用記(2008年)を参照のこと。
基本的に危険物持込や場所を占有したり他の人への迷惑行為に抵触しない限り、展望ロビーでの移動運用は可能と考えてよいだろう。
特にフリーエリアのある無料展望ロビーは立ち入り自由なので、建物の入場に制限がない限り、問題はない。
恵比寿ガーデンプレイス移動運用記(2012年)参照。
但し、特に明記されていなくとも警備の人から「無線はNG」と注意されることも少なくない。
特に2001年のニューヨーク国際貿易センタービルテロ事件直後はどの展望ロビーも気軽に無線運用が出来る雰囲気ではなかった。
ただ近年は注意されるケースはかなり減ったのも事実。
新宿NSビルや新宿野村ビル等の西新宿各無料展望フロアは2005年頃(移動運用記参照)は警備員に注意されたが、現在はまったく問題なく移動運用出来る。
詳細は新宿住友ビル移動運用記(2008年) 、新宿センタービル移動運用記(2009年) 、 新宿野村ビル移動運用記(2011年)参照のこと。
但し、スタンスは、時勢や管理担当者によって常に変化するので直近の情報収集が不可欠だ。
2006年頃、埼玉県大宮のソニックシティービルの展望ロビーに移動運用した時は、無線のみならずアベック同士のお喋りにまで規制をかけていたガードマンがいた。
これは極端な例だが、その日の担当者や状況によって対応がまったく異なる場合もあるから、タイミングが左右する事も想定しておこう。
展望台で規制されている物品として典型的なのは、カメラの三脚やペットであろう。
メジャーな展望ロビーでは必ず明記されていた。
かつて六本木ヒルズではエレベーターに乗る前に三脚はロッカーに保管を指示されていた。
しかし、2012年現在は屋上以外では使用可能になったようだし、サンシャイン60やランドマークタワーの展望ロビーでの三脚使用もOKらしい。
東京スカイツリーオープンを控え、展望台集客の競争が激しくなり、各ビルも規制緩和の方向に流れているようだ。
とはいえ他の客の眺望を妨げる占有にあたるケースに抵触する事に変わりはない。
当然、大きな無線アンテナも占有にあたるので気をつけるべきだ。

携帯電話は規制されない?
ところで、同じ電波を発する携帯電話の制限を設けている展望施設は殆どない。
展望台に入る前に手荷物検査で携帯電話を取り上げたり、電源を切らせるケースは稀有だ。
六本木ヒルズの屋上解放も携帯だけは持ち込み可能になっている。
携帯電話とQRP無線機との出力の差を比較してみよう。

無線機と携帯電話の送信出力の比較
特定小電力トランシーバー             10mW
QRPアマ無線ハンディー機     概ね100mW~1W
351MHz帯デジタル簡易無線      概ね1W~5W
携帯電話                概ね250mW~1W
PHS                   10mW~100mW

これを見ても解るように実際、特定小電力無線の出力は携帯電話の出力より弱い訳で、携帯を許可する一方で無線機だけをすべて規制対象にするのは管理者の無知が問われる事例である。
東京スカイツリーでも、おそらく携帯持ち込みは規制されることはないだろう。
もし、携帯電話型のQRPアマチュア無線機が存在すればどうなるのか興味深いところだ。
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常識的なマナーを守る
結論として無線禁止が明確に意思表示されていなければ、東京スカイツリー展望台での移動運用は可能と考えてよかろう。
注意すべきは常識的なマナーであって、これはもう無線云々以前の問題。
「その他の迷惑行為」に入る範疇のことはしてはならない。
スペースを占有するアンテナを設置したり、大声で交信したり、他者に不快な印象を与える言動や行動をすれば、自ずと移動運用に対する世間の目はネガティブになってしまう。
その結果、無線が禁止になってしまう事例も少なくない。
基本的に高層ビル等の展望ロビーでの移動運用は極力目立たず、1w程度のQRPハンディーかポータブル機を鞄の中に潜ませ、隅っこのほうでイアフォーンを使用し、大人しく運用するのが最低限の嗜みであろう。
また誰かに話し掛けられたら愛想良く対応し、警備員から注意を受ければ素直に従うのがベターな行動だ。

東京スカイツリー開業まであと2ヶ月。
無線の移動運用が可能である事を祈りたい。

追記
2015年11月現在、展望台への無線機持込は禁止が明記されているようである。

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移動運用その89/東京都町田市小山内裏公園移動(2012年3月25日)

Dscn2766a 久しぶりに好天に恵まれた日曜日。先週に続いて移動運用を実施する。
場所は八王子市南大沢と町田市小山町境の多摩丘陵に位置する小山内裏公園(地図)。
京王相模原線の多摩境駅すぐ北側標高160mほどの場所だ。
稲城市の「みはらし緑地」から南西に続く「多摩よこやまの道」を更に辿った多摩丘陵尾根沿いの公園である。
東京都と神奈川県境にも近い。
ここには南に開けている展望広場があり、丹沢方面への電波の飛びもよさそうだ。
例によって新宿発準特急で調布へ。相模原線に乗り換え、多摩境に向かう。
京王相模原線で多摩センターより先を利用した事は今回が初めて。
車窓には典型的な多摩ニュータウンの風景が続く。
多摩境駅に着いたのは14時半。移動運用にはやや遅い時間帯になってしまった。
東口の駅周辺は商店街もなく殺風景。その一方で高層住宅が林立していて奇妙な感覚に。
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小山内裏公園は線路沿い北側に古墳のように盛り上がって見えるのですぐわかる。その下を相模原線がトンネルで潜っている。
車道を渡ればすぐ公園入り口だ。
坂を10mほど登ると程なく、東展望広場が見えてくる。広場にはランニング中のランナーや家族連れがちらほら。
この日は天気が良く、視界も利いていたので丹沢の山塊が南西の方角に大きく聳えている。
手前には相模原市の市街。高い送電鉄塔もよいインパクトだ。
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Dscn2777a_2 
Dscn2774a_2  展望広場に隣接する雑木林の中にベンチと椅子が設置されていたので、近くの枝にミズホの6m用DPアンテナを引っ掛けて運用を開始する。
日差しは暖かいのだが、風が強く、体感温度は10度以下。
3月下旬というのに今年はいつまでたっても寒い。
15時から17時過ぎまでの約3時間で50MHz2局(SSB1、CW1)、144MHz2局(SSB)、430MHz6局(SSB1,FM5)のトータル10局。全て呼び出しの交信。430FMは全てハンディー機のVX-3でのQSO。
大山山頂からの移動局との交信は強力でお互い59+。見通し距離にあったので当然といえば当然。
しかし、QRV時間帯が遅すぎたので、あまりオンエアしている局が居らず交信局数は伸びなかった。
神奈川県内の局が7局 。あとは町田、府中市などの隣接局。
場所柄、南側にしか開けていないので都心方面はNGだったようだ。
FMDXは概ね、湘南地方のCFMが受信出来たが、期待されたみやがせレイクサイドFMは確認出来ず。同周波数のFM東京青梅にカバーされて解らない。横浜近辺のCFMもロッドアンテナでは受信出来ない。
神奈川県に限らず、後発のCFMは受信エリアが極端に狭い。受信には苦労する。
17時半頃、撤収を開始。陽が翳って寒い。
Dscn2788aDscn2789a 
多摩境駅発1741JSTの新宿行き快速で調布へ。
更に準特急に乗り換えて新宿経由で帰路に。

東京都町田市小山内裏公園東展望広場でのFM局受信リスト
77.7MHz FM大和                    S5
77.7MHz FM入間                    S2
78.3MHz FMナパサ(平塚)         S3        
78.9MHz 湘南ビーチFM(葉山)    S3   
79.1MHz 川崎FM                    S4
82.8MHz 鎌倉FM                    S4
83.1MHz レディオ湘南(藤沢)      S4
83.9MHz FM相模原                 S5
84.2MHz FM不明局                 S2       
<コミュニティーFMのみ>
(スタンダードVX-3/6m用ヘリカルアンテナ)

使用リグ/FT817(50MHz~430MHzSSB/CW、PWR0.5~1w)、VX3(430FM、PWR1w) 

アンテナ/ミズホPAN-62(水平DP)、付属ヘリカル

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移動運用その88/神奈川県横浜市西区野毛山公園移動(2012年3月18日)

Dscn2738a やっと暖かくなりつつある春分間近の日曜日、久しぶりにフィールドへ移動運用を実施。
近場で比較的アクセスもよい未踏地場所を選んだ結果、横浜市西区にある野毛山公園に決める(地図)。
野毛山公園は関東大震災の復興事業として整備され、お花見や動物園で有名な場所。
昨年、リニューアルしたばかりの展望台もある。
標高は57m程度だが、無線の移動運用地としても時々紹介されている。

当日、曇天の朝10時半頃自宅阿佐ヶ谷を出発、新宿湘南ライン経由で横浜へ。更に根岸線に乗り換え、最寄の桜木町駅に。
凡そ1時間弱の行程。電車賃は片道620円。
桜木町駅の東口を出ればランドマークタワーのある「みなとみらい21」地区に至る。こちらは何回か利用した事があるが野毛山公園へは西口を利用する。こちらは初めて。徒歩約15分で着けるはずだ。
地下通路を抜けると草臥れた商店街が広がる。東口とは雰囲気がまったく違う。
その上、何やら初老の荒んだ男性集団が同じ方向に歩いている。よく見ると競馬新聞を片手に持っている。
どうやらこの先に場外馬券場があるらしい。
不幸な事にそんなギャンブラー集団の流れに突っ込んでしまった。
JRA場外馬券場のある街は荒むというが、何となく解ったような気がする。正直、近寄りがたい雰囲気を醸し出していた。
その上、野毛山公園へのルートがよく解らない。
図書館の裏手に出てしまい、暫く迷った末にやっと公園の入り口を見つける。
つり橋を渡るとすぐ展望台が見つかった。
現地着は13時頃。
この展望台は昨年夏ごろリニューアルした新しい建物。エレベーターもついており、バリアフリーが行き届いている。
この日は天気が悪く、曇り空。家族連れがちらほら登ってくる程度。
眺望は東に開けているが、そんなに高い展望台ではないので精々10階建てのビルから観た風景という感じ。
住宅街が迫っているので圧迫感もある。建物の間を京急線が見え隠れしているのが眺められる。
Dscn2758a Dscn2743a 
目の前にはRFラジオ日本の予備送信所の鉄塔が聳え、その背後にランドマークタワー。
視線を右に移動させると照明が点灯している横浜スタジアム。更に霞んで僅かに窺える横浜ベイブリッジが確認できた。
Dscn2742a
Dscn2753a 
さて、無線運用は13時10分頃から。
ところがFT817用のDPアンテナを敷設したとたんに雨が降り出す最悪のコンディション。
ここの展望台は屋根がなく、雨を凌げない。仕方なく傘を差しながらの運用。
また適当な机もないので無線機を置く場所も間々ならない。
予想された事だが、この標高で500mwでは飛ぶはずもなく、50、144MHzSSB 、CWでのCQは尽く空振り。
またこの天候なので移動局も極端に少なく、なかなか交信相手が見つからない。
50MHzで交信出来たのは横須賀市SSB固定局と都内江東区のCW移動局のみ。
144MHzでは対岸の市原市SSB固定局のみ。
430MHzFMはハンディー1wで5局。横浜市内3局、横須賀市、愛甲郡愛川町山岳移動局合わせて2局。
結局この日の移動での交信局はトータル8局。こちらのCQに応答頂いた局は430FMで3局という結果だった。
FMDXはFM横浜の混変調が強いため、満足な受信結果は出せなかった。
断続的に雨がぱらつくので、15時50分頃撤収を開始する。
帰りはバスを利用することに。あの場末な場外馬券場の近くを再び通る気はしなかった。
野毛山公園には桜木町、横浜駅方面の市営バスが通っている。但し土日は1時間に2本しかない。
16時3分の横浜駅行きを待ったがなかなか来ない。後に家族連れ10人ほどの列が出来る。
約10分遅れでやっとバスが遣ってきた。
15分ほどで横浜駅に到着。
駅周辺は週末ということもあり、多くの人出で賑わっている。相鉄ジョイナスビルで何か身体を温める食事を探すが、適当な店が見つからず。結局ファーストフード店で390円のスープで済ます。
これならドトールでよかったかも。
帰りは往路と同じく湘南新宿ラインの17時50分発高崎行きで帰路に就く。

神奈川県横浜市西区野毛山公園でのFM局受信リスト
78.5MHz ブルー湘南(横須賀)   S5
78.9MHz 湘南ビーチFM(葉山)     S5
79.1MHz 川崎FM           S4
83.1MHz レディオ湘南(藤沢)    S3
83.4MHz 上総FM?         S5
83.7MHz 戸塚FM           S4       
<コミュニティーFMのみ>
(スタンダードVX-3/6m用ヘリカルアンテナ)

使用リグ/FT817(PWR0.5w)、VX3(430FM) アンテナ/水平ダイポール、付属ヘリカル

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横浜FM『ライドオンオートバックス』の記憶

1203a_2 1985年12月20日、首都圏2局目の民放FM、FM横浜が開局した。
久しくFM東京1局独占状態が続いていたところに待望の新局が出現したのだ。
周波数は84.7MHz、出力5Kw。
東京でも屋内アンテナで十分受信可能であった。
当時、FMはまだまだ「ニューメディア」といわれる分野に属し、音楽媒体としては重要な存在を占めていた。
エアチェックという言葉が生きており、FM誌も健在。カセットテープデッキでFMから好みの楽曲を録音する事が当時の若者の普遍的通過儀礼であった時代。
この年までNHKとFM東京だけの選択肢しか得られなかった首都圏に待望のあらたな放送局が誕生する訳だから、その期待感は当時のFMファンにとって絶大であった。
そのFM横浜はFM東京とサービスエリアが重複するので番組は必然的にすべて自主制作番組。
開局当時、盛んに謳われた「右へ数センチで、夏です」というキャッチフレーズはアナログFMチューナーの目盛りを右にチューニングせよということ。
80.0MHzのFM東京、82.5MHzのNHK東京よりも高い周波数に「夏」が存在している事を暗に伝えたかったのだろう。
「モア ミュージック レスト トーク」という主張も新鮮だった。
もっとも開局してみればトーク番組も多く存在していて音楽一辺倒という訳ではなかったが、新たな首都圏民放FMの新鮮さは十分に保っていた。
自分も試験放送当時からFM横浜エアチェックに執心し、カセットテープでジングル集や番組のオープニングタイトル集等を作ったりしたものだった。
勿論、受信報告書を発送してベリカードを貰い、ステッカー、タイムテーブルなどを入手した。
Fm860817Yfm01  
また、開局当初はSONYからFM横浜専用ラジオICF-E5という製品も発売され、3種類全て購入し、今でも所有している。
Dscn9350a Dscn9353a Dscn9354a Dscn9355a   
Dscn9356a FM多局化黎明期であった1985年。
やがて、1988年のJ-WAVE等、首都圏民放FM開局ラッシュに繋がって行くのである。

それはさておき、開局当時のFM横浜にちょっと気になった小番組があった。
毎週土曜午前11時30分から25分間流されていたドライバー向け番組『ライドオンオートバックス』である。
放送期間は1986年4月から1990年3月まで4年間。
つまり、開局から最初の改編期に始まったプログラムだ。
トークは山田栄子。
高畑勲演出アニメ『赤毛のアン』のアン役でお馴染みの声優さんだ。
オープニング、CM、エンディング含め全て彼女がボイスを担当。
番組全体が山田演ずる横浜在住20代前半女性のドライビングトーク風で構成されていた。運転席から見た横浜旅情という雰囲気だ。
語りの間にアメリカンポップスが3~4曲流される。
山田栄子がこの番組に採用されたのはたぶん出身地が横浜市だったからであろう。
スポンサーはカー用品店オートバックス神奈川グループ。
オーソドックスなドライバー向け番組ではあったが山田栄子の『赤毛のアン』エッセンスがいっぱいで聴いているとグリーンゲイブルズが脳裏に浮かんで来て心地よかった。
アンがそのまま横浜に移住して馬車の代りに自動車で街を廻っているイメージ。
この番組を構成した人(エンディングアナによるとフジワラコウキ)ももしかしてそんなイメージを抱いていたのかもしれない。
自分の手元には約4年間の放送期間のうち僅かではあるが何回分のエアチェック録音が残っている。
このまま死蔵させておくのも忍びないので、この機会にテープからパソコンへデータ化した一部の音声の内、オープニングトークとCMを紹介してみたい。
なお、アップした音声はアナログカセットテープが音源なので音質も悪く、音割れしている箇所もあるので注意。
あくまでサンプル程度のものとして聴取していただきたい。
また、音が大きいので音量に注意のこと。

「ライドオンオートバックス」オープニング集
手元に残っている録音は4年間の放送の内、断片的に9回分のみしかない。
番組開始時の1986年秋(日時不明)が1回。
1989年2月から7月にかけて計5回。
番組終了間際の1990年2~3月が計3回。
1987年、1988年はまったくエアチェックしておらず音声は残っていないため、当時のオープニングは窺い知れない。
手元に残る録音で確認できるオープニングは3種類。
1、1986年秋バージョン
 
番組初期のオープニング
まず汽笛と車の起動音に続いて山田の語り。
「車は私達のタイムマシーン。
今日はどこ行こうかなあ?海の見える公園?それともタンカーの停泊する港?
どこまでも続く道は夢溢れる二人の舞台。
そして合言葉はライドオンオートバックス。
この番組はオートバックス神奈川グループ8店鋪の提供でお送りします」
2、1989年初夏バージョン

波とベルの音に続いて山田の語り。BGMはレゲエ調。
「時間という世界の中で私は不思議の国のアリスに変わる。
フロントガラスに未来を、ルームミラーには通り過ぎていく思い出を写しながら今日はどんな出会いがあるだろう。
不思議の国へのドライブはいつもの合言葉で始まる。ライドオンオートバックス」
3、1990年春バージョン

車が通り過ぎる走行音に続いて山田の語り。
「過去はバックミラーのずっと彼方に。未来はフロントガラスのずっと先に。
現在、過去、未来。私は時を泳ぐ。
自由に、気侭に、美しく、元気に。
そしていつもの合言葉はライドオンオートバックス。
この番組はオートバックス東戸塚店、246江田店、浜見平店他、オートバックス神奈川グループ12店鋪の提供でお送りします」
オートバックス各店舗紹介は回によって異なっているようだ。

「ライドオンオートバックス」CMシリーズ
番組中のCMも全て山田栄子の独り語りで構成されている。
残っているテープの中では4バージョン確認できる。
1、1986年秋CMバージョン

オートバックスカーオーディオキャンペーンの紹介。
2、1989年5月バージョン

オートバックス神奈川グループモータースポーツクラブの紹介。
3、1989年7月バージョン

山田栄子が一人2役でA子B子を演じ、オートバックス神奈川12店舗を紹介。
4、1990年3月バージョン

ドライブ中の様々なハプニングを盛り込んだ想い出語りでオートバックス神奈川各店舗を紹介。

すべてが「山田栄子ワールド」一色の番組だった。
かといって声優番組のような閉鎖された雰囲気もなくあくまでドライバー向けというスタンスもよかった。
「知る人ぞ知る」アンファンだけが密かに「山田節」を楽しめる、そんな感じも好きだった。
これだけ思い入れのある番組だったのだが、実は殆ど聞き逃しているのも事実。
生活も不規則で必ずしもFM横浜にチューニングしていた訳でもなかったからいつも「気が付いたら終っていた」状態だった。土曜の正午前という時間帯もチェックするには辛い。
だからテープにダビングしてあるといっても、わずか9回分。
4年間に放送された「アンの語り」殆どを知らないのだ。
アニメ作品などであれば後日DVD化され観賞する事も可能だが、ラジオ番組の場合はそうもいかぬ。
ネットで検索してみても殆どヒットしない。
昔のFM雑誌の番組表を引っぱり出してタイトルだけで内容を想像する以外にない。
もっとも、当時リアルタイムで聴いた僅かの放送分しか残っていないからこそ貴重なのであって、仮に今、何らかの方法で全放送分聴けたとしても果して喜びに繋がるのかは解らない。
あくまで空想の中に留めておくのもよいかも。

1990年春、首都圏FM多局化に伴いFM横浜も番組編成大幅変更を実施、この番組も姿を消してしまった。
1980年代後半、横浜のローカルFM局土曜お昼前だけに流された伝説の「赤毛のアン」の語り。
今でも横浜の何処かでその「アン」が車窓の向こうに佇んでいるかもしれない。
そんな妄想もまた楽し。

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