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海外中波DXの記憶

1980年代半ば。
この頃はDXに対するモチベーションも高く、またコンディションにも恵まれていて特に通信型受信機を駆使せずともある程度の中波DXは嗜むことが出来た。
むしろ、安価な一般ラジオやチューナーで中波DXに取り組む事に面白さを見出していた。
普段使っている何気ないラジオから思いもかけない遠方の放送局が聴こえる。
このギャップが妙にわくわくさせたのだ。
当時、自分が主に中波DX用に使っていた受信機はオーレックスSKD-3。
1983年頃購入したこの機は、アナログチューニング方式のAM/FMチューナーが内蔵されていた低価格オーディオコンポ。いわいる大きなエアバリコンで選局する古いタイプのアナログチューナー。
但し周波数表示はデジタルカウンターで直読表示されるから選局は容易だった。
ちょうどシンセサイザーチューナーが普及する前の端境期の製品と記憶する。
一般に中波DXはシンセサイザー方式よりもアナログ方式のほうが有利とされてきた。恐らくデジタルシンセサイザー回路内部から発するノイズが問題だったのだろう。更には真空管ラジオのほうがよりDXに適しているとも言われた。
昔のトリオ9R59Dという真空管ラジオが中波DXにとって「名器」と謳われた頃もあった。
確かに昔の真空管ラジオのほうが妙に受信感度や選択度がいいように感じる事がある。
それはさておき、このオーレックスSKD-3は特に中波DXのために購入した訳ではなかったのだが、たまたまナショナルの中波ループアンテナRD-9170に接続させてみたところ、非常に良好な中波遠距離受信が可能だったので暫く「中波DX機」として重宝した。
最近のラジオ、チューナーは殆ど9KHzステップに固定されているがこれはアナログ選局。微細なチューニングも可能で近隣周波数に出ている混信局を巧みに交わすことが出来た。
当時のNHK第1ラジオは「ラジオ深夜便」もなく午前0時に停波し、今よりもずっと深夜は静かだった。また、各種電子機器から発せられるノイズも少なく都区内においても遠距離受信環境はある程度整っていた。
そんな1980年代にこのラインアップで受信した海外中波局を紹介してみる。
大半が日曜深夜、民放やNHKが休止している時間帯での受信である。
中波DXerからすると「常連局」ばかりだが、それでも受信出来た時の感慨は深いものがあった。

オセアニア編
QN
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オーストラリア・クイーンズランド州
年月日/1985年12月7日
周波数/630KHz
時間/0355~0440JST
SINPO44444
受信機/オーレックスSKD-3
アンテナ/ナショナルRD9170

この局は常連局で時として夕方にも国内局等の混信を押しのけて浮かび上がってくる事があった。クイーンズランドの局は日本との伝播ルートが開けやすいのか比較的受信は容易。
受信報告を出すと2週間ほどで返信があって地元オーケストラのポストカードの裏に確認事項が記載されていた。
多分、オーストラリア中波局からのベリカードはこれが初めてだった記憶がある。

4am860215b 4AM
オーストラリア・クイーンズランド州
年月日/1986年2月16日
周波数/558KHz
時間/0330~0420JST
SINPO22232
受信機/オーレックスSKD-3
アンテナ/ナショナルRD9170

これもクイーンズランド州の局。この時間帯はカントリーミュージックがよく掛かっていた。トークの中に頻繁に時刻アナウンスが入る。ニュースの他、釣り情報とか聞けて地元の雰囲気が伝わって来る。
因みにこの時間帯には1548KHzに同じクイーンズランドの4QDらしき局がSINPO44334位で入感していた。
またこの日を挟んで数日間はグアムやフィリピンの中波局も良好に受信出来たのでコンディションは良かったのだろう。
同じ2月に受信したグアムのKUAMの音声があったのでこれもアップしておく。

中近東編
BBCオマーン中継
Bbcoman881225_3
オマーン
年月日/1988年12月26日
周波数/1413KHz
時間/0257~0330JST
SINPO34233
受信機/ビクターTX-900
アンテナ/ナショナルRD9170

 
1番目の音声ファイルは1986年2月24日0300JSTに受信したもの。2番目は1988年12月26日0300JSTに受信した音声。
「This is London 」で始まるステーションアナウンスと勇壮なジングルに古の大英帝国を感じさせた印象深い局。ワールドサービスの英語放送を中東オマーンから西アジア向けに大出力で中継している。
短波帯ではなく中波からBBCが聴こえてくるところに趣があった。
この日はクリスマス当日でもあったので英国女王のスペシャルメッセージに関するレポートも聞けた。
直接この中継局にレポートを出したら2年後位にベリレターの返信を得た。右上のロゴは中東産油国を連想させて面白い。

RMCラジオ・モンテカルロ
Rmc890924
キプロス(CYPRUS)
年月日/1989年9月25日
周波数/1233KHz
時間/0145~0207JST
SINPO23332
受信機/オーレックスSKD-3
アンテナ/ナショナルRD9170

地中海に浮かぶ島キプロスからの中波放送。良好な時は国内局並に聞こえていた。印象に残るステーションジングルが頻繁に出るので確認は容易だった。著名な企業のCMも流れるので親しみやすい。この日はタバコのラッキーストライクのCMが聞けた。前週の17日にも良好に受信出来たので音声はそちらのほうをアップ。
ベリカードも1ヶ月ほどで返信があった。豪華な造りで二つ折りのフォルダー形式。紙質も良い。広告収入で潤っていたのだろうか?

ラジオ・サウジアラビア
R89924
サウジアラビア
年月日/1989年9月25日
周波数/1440KHz
時間/0210~0222JST
SINPO23332
受信機/オーレックスSKD-3
アンテナ/ナショナルRD9170

韓国のAFKNの混信を伴いながらも良好に入感。アラビア語なので内容はさっぱりだったがIDは聞き取る事が出来た。
半月ほどでベリカードの返信が得られた。
因みに湾岸戦争時にはイラクからのジャミングを避けてQSYしていた記憶がある。

ヨーロッパ編
ラジオ・スウェーデン(RSI)
Rsi891015
スウェーデン
年月日/1989年10月16日
周波数/1179KHz
時間/0300~0330JST
SINPO23332
受信機/ビクターTX-900
アンテナ/ナショナルRD9170

 
日曜深夜、普通のラジカセで大阪のMBS毎日放送を聞いていた時のこと。MBSが放送終了してキャリアだけになってもそのままにしていたらいきなりラジオ・スウェーデンのISが聞こえて吃驚した思い出がある。
この特徴あるISで確認は容易。英語のアナウンスもある。同周波数にはルーマニア局らしき混信もあり、東欧民謡が聞こえる。
2番目の音声ファイルは1987年1月11日0400JSTに受信したもの。
1989年の受信レポートには10日弱で返信あり。絵葉書を利用した確認証。

ザールランド放送(SR)
870111
西ドイツ
年月日/1987年1月12日
周波数/1422KHz
時間/0250~0310JST
SINPO22222
受信機/ビクターTX-900
アンテナ/ナショナルRD9170


  西ドイツザールランドの中波局。ドイツとフランスの国境にある中波ラジオ局が日本でも聞こえてしまうことに驚くが、出力は1600Kw位あるらしい。
放送内容はヨーロッパのポップス曲が中心。1989年10月に受信した時(2番目のファイル)は延々とジャーマンテクノみたいな曲が聞こえていた。正時からはドイツ語ニュースが始まる。レポートには1ヵ月半ほどで返信があり、ベリカードやステッカーが同封されていた。

この他フィリピンやグアムなどの中波局を受信した記録はあるが、それはまた折を見て掲載したい。
ロケーション的にさほど中波DXに適さない土地の上、オーディオチューナーを使っての結果なので北米中波局などは受信に恵まれなかった。
これらは全て1980年代の受信記録。
90年代に入ると受信環境の悪化で自宅での中波DXのモチベーションは低下し、今日に至る。
しかし、ICR-RS110MFの導入で中波DXに復活の兆しあり。
チャンスがあれば房総半島あたりでペディションでも実施してみたい。

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