« AMステレオ放送、栄光の日々を振り返る | トップページ | SANYO ICR-RS110MFのAM/FM受信性能検証 »

ICレコーダー付きラジオICZ-R50とICR-RS110MF

Iczr50 「ラジオ放送を録音する」。
かつてはエアチェックと呼称され、FM誌に掲載された放送局のタイムテーブルを見ながら番組や音楽を録音していた時代があった。
パソコン、携帯電話、携帯音楽プレーヤー、インターネットの台頭により、いつしか「ラジオ放送を録音する」という行為自体が廃れてしまい、エアチェックも死語に近い。
録音媒体もカセットテープ、DAT、MDと移り変わってきたものの、いまや主流はICレコーダー。パソコンに接続して音声ファイルに録音、再生、データ管理する時代となった。
どうしてかは定かでないが、かつてのラジカセのようにICレコーダーが搭載されたラジオという製品をあまり見ない。
そのせいか自分は1980年代のエアチェック時代よりずっと録音媒体はカセットテープだった。DATやMDに乗り換えることなく、此処まで来てしまった。音声ファイルに保存という手段も取らなかった。
思うにカセットテープの扱いやすさに慣れて、敢えて新しい録音媒体に乗り換える必要性を感じなかったのだろう。それにデジタル記憶媒体は仕様や保存媒体が頻繁に変わるため購買意欲が湧く前に製品が市場から消えていってしまうという理由もあろうか。
あと、何よりもラジカセやカセットデッキのようにラジオを録音する事に特化された製品がないということ。
デジタル媒体が主流になって以降はそれが著しい。結局カセットテープに固執する以外に選択肢がなくなってしまったのである。
パソコンを立ち上げなければラジオを録音出来ない煩わしさを考えたら、よほどカセットテレコのほうが使い勝手がよい。
だが、此処に来てやっと原点に立ち返ったような「ICレコーダー付きラジオ」がソニーから発売されることを知る。
それがICZ-R50
これまでにも「ラジオサーバー」のような「ラジオ付きICレコーダー」は存在していたようだが、非常に地味でどういう理由かは知らぬが販路が大型書店に限られていたりで、価格も割高。手を出す気力は殆ど湧かなかった。
いわいるラジオがメインのICレコーダー製品はこれが初めてな気がする。
なぜ普通のラジオにICレコーダーを載せるという発想がなかったのか?
レコーダー部から発する各種ノイズがラジオ受信に著しく妨害を与えて、実用に耐えなかったのだろうか?
それとも、もはやかつての「ラジカセユーザー」は切り捨てる対象なのだろうか?
理由ははっきりしないが、ICZ-R50の登場により、やっとカセットテープから卒業出来る選択肢が見えてきた。

ということで、「ラジオ付きICレコーダー」をネットでいろいろ調べてみることにした。
するとすでにサンヨーICR-RS110MFというかなり高い評価を得ている製品を見つける。
本体は従来のICレコーダーと変わらない形状なのだがクレードルという外部アンテナ端子が付いた多機能ラックが付いており、ラジオとしての性能を十分に発揮できる構成となっている。
ネット上の評価を見るとソニーの新製品に勝るとも劣らない。
Rs110mf そこで実際、どんなものか、吉祥寺のヨドバシに行ってICR-RS110MFを触ってきた。
この製品が置かれていたのはICレコーダー売り場。あくまで「ラジオ付きICレコーダー」の扱いだ。
本体のサイズは49.5×113.5×18mm。クレードルを含むと193×124.5×100mm。
本体は手のひらに簡単に乗る位小さい。クレードルを含めても小ぶりの置時計クラス。
電源はAC電源と単3電池1本。クレードルに装着していればエネループに充電可能。
持続時間はラジオ受信だとエネループでAM:約20時間45分、FM:約17時間30分。ラジオ録音だとエネループでAM:約16時間15分、FM:約13時間45分。アルカリ電池なら更に持続時間を稼げるようだ。
単3電池1本でこれだけ持てば大したもの。屋外で丸1日受信していても問題ない。
内蔵マイクもあって、そのままICレコーダーとしても使える。
本体に小さな液晶画面があってラジオ選局もここでする。
カタログによると受信周波数帯はFM:76~90MHz AM:522~1629kHz。
選局方法はエリア別プリセット、オートスキャン、マニュアルチューニング(AMの場合は9kHz、FMの場合は0.1MHzステップ)、ダイレクトの4つ。プリセットの場合は日本語で局名も出る。
受信感度のほうだが、店頭ではクレードルに装着されていたものの外部アンテナは接続されておらず。仕方なく本体単独でラジオ局を受信してみる。
FM受信は本体のみの場合、イヤホーンコードがアンテナの代わりをするため手持ちのものを装着してみた。
家電量販店の中という悪条件下だったので真っ当な評価は下せないが、在京の基幹局はなんとか受信出来た。
持参したMX-3と比べても極端に悪いという感じはしない。本体のみでもロケーションのよい場所であれば取りあえず使い物になるだろう。
またマイク音声入力端子もついているため、他の高性能受信機の出力端子から音声を録音する事も可能だ。
実際、クレードルに装着して外部アンテナを接続してみない事には本来の性能を測ることが出来ない。
折角、八木アンテナを接続したのに「消化不良」で混変調だらけという可能性もある訳でこの辺り気になるところ。
ただ、各サイトのレビューを見るとそのような心配はなさそうだ。
録音性能に関しては、ICレコーダーを扱ったことがなく疎いので優劣を付ける術がない。
付属のSDマイクロカード2GBを使いMP3形式で録音すると約32時間だそうだ。
カセットテープC120で16本分。容積を考えると圧倒的に省スペース。もっともカセットと比較する事自体、時代錯誤かも知れないが。
また、時差修正付き時計も内蔵されており、正確なタイマー録音も可能。
つまり、おおよその「ラジカセ」機能は十分搭載されており、過不足もない。
ペディションなどでラジオモニターする際、必要な機能は全部あるといってよい。本体のみならポケットに忍ばせる事も出来て負担にもならない。これまでのウォークマンタイプのラジカセと比べても3分の1位の容積だ。
ICR-RS110MFは2008年11月にはもう発売されていた製品。
アマゾンのレビューでも100を超えるコメントが寄せられて評価も高い。
価格は実勢で1万6千円から2万円5千円前後というところか。吉祥寺ヨドバシでは2万4千円代。発売当初は3万円近かったのでかなり安くなってはいるがICZ-R50と比べると店によっては8千円近く割高だ。

Dsc00211a 一方、新製品のICZ-R50はどうだろうか?
これも2月10日過ぎに吉祥寺のヨドバシで実機を触ってきた。
ネット上のレビューなどを見てみると期待感は大きいようだ。
天下のソニーがいままでこの手の製品を出さなかったこと自体、不思議でもある。ICZ-R50単独のチラシも用意されていた。
語学講座をイメージさせる内容。これを見るとラジオで語学を学ぶリスナーが主なターゲットのようだ。
さて、とにかくも一見してラジオという趣がある。これまでの既製品はいかにも「ラジオ付きICレコーダー」であるが、こちらはやはりメインがラジオの「ICレコーダー付きラジオ」だ。
ICR-RS110MFは扱われていなかったラジオ売り場にも展示されていたのが何よりの証。
大きさは約195.0 mm×122.5 mm×35.0 mm。
結構嵩張る。幅が20cm近くあるから、自分が屋外で愛用しているSRF-M100の倍近い。これでは手軽に持ち運びという訳にはいかない。ポケットには無理だ。
持った感じは軽くて中空なイメージ。
操作ボタンをとにかく大きくして中高年にも扱いやすく設計したという感じ。
多機能のための大きさ確保ではなく、あくまで操作性重視とみた。
ただし、不用意にボタンに触れて誤操作しやすい。一応ロックスイッチは付いているのだが。
電源はAC電源と単3電池4本。ICR-RS110MFの単3電池1本と比べると省電力とは言いがたい。
録音時間はSTモード(ステレオ標準)44時間40分 STSP(ステレオ長時間)67時間5分 SP(モノラル標準)178時間0分。
ICR-RS110MFのカタログスペックと基準が違うので単純比較は出来ないがこちらのほうが長時間録音出来そう。
受信周波数はFMが76.0 MHz - 90.0 MHz。AMが531 kHz - 1,629 kHz。
選局方法はカタログに明記されていなかったが、レビューなどをみるとICR-RS110MFと差ほど違いはなさそうだ。
実際、マニュアルでAM9KHzステップ、FM0.1MHzステップでの選局は可能だった。プリセット受信も可能。当然局名は日本語で表示される。
受信性能は一般のラジオと差ほど違わない。
店内ではAMだと在京基幹局はすべて受信出来た。FMはロッドアンテナを伸ばしてもまともに受信出来る局はなかったが、これは他のラジオも同じ。
よって、受信感度は従来のラジオ並の性能は維持していると思われる。
ICR-RS110MFと比べても受信出来る局数の差は殆どない。むしろ大したAMアンテナが付いていないのにICZ-R50と遜色ないほうが驚きだ。
無論フェライトバーアンテナと長いロッドアンテナが内蔵してあるICZ-R50のほうが単独では有利であることは間違いない。。
もっとロケーションのよい場所で比較する必要があろう。
ただ、AMの外部アンテナ端子はあるものの、FMには外部端子がない。
単体でのFM遠距離受信やFM難聴地域では苦戦しそうな予感。
もっとも、この機種にも音声入力端子があるので別の受信機から録音することも可能。
そもそもICZ-R50でFMDXを考えること自体、ちょっと無理があるかもしれない。あくまで「普通のラジオ」なのだ。
一方録音、記憶性能はどうか?
内部メモリーが4GBあり、他にもSDカード等が使える。
たしかICR-RS110MFには内部メモリーはなかったはずだからこちらのほうが記憶容量が大きい。
専用のアプリケーションを使ってパソコンから録画予約等が出来るようなので利便性は断然ICZ-R50のほうが勝っている。
ICZ-R50単独では時刻補正が自動で行なえないが、パソコン側のアプリケーションで調整は可能のようだ。。
ICレコーダーはパソコン接続が前提の録音機種であるからラジオ単独の性能を説いてもナンセンスかも。
結局、録音記録されたデータは一旦パソコンで編集保存するわけだからパソコンでの操作性を無視することは出来ない。
吉祥寺ヨドバシでの価格は1万8千円前後。ICR-RS110MFと比べ、こちらのほうが若干お得だ。

もし今ICレコーダー内蔵ラジオを購入するとしたらこの2機種に絞られるだろう。
どちらがよいかは一長一短で一概に判断しがたい。
ただ、屋外でラジオの録音を想定した場合、ソニーのICZ-R50はいささか大きすぎる。これだけ嵩張ると従来使用していたSRF-M100とウォークマンタイプラジカセを合わせた容積よりも大きくなりそう。
ICZ-R50はあくまで据え置きラジオ。
屋外ペディションなどに持参することを考えると圧倒的にICR-RS110MFが有利だ。
またクレードルにFM外部端子が付いているのでDXを試す面白みもある。
一方、ICZ-R50は付属ソフト「Sound Organizer Ver.1.1」を使うとパソコン接続で録音予約や任意のフォルダー名が付けられて、録音ファイルの管理が容易かつ機能的。
録った素材を如何に管理するかがデジタル録音の醍醐味ということを考えるとICZ-R50のほうが勝っているともいえる。
SDカードに撮り溜めたものはいずれ満タンになり、パソコン内に保存したりCDに焼く作業が必要となる。
その時の利便性が最後には決め手になるのだろう。
その辺りが手間取る事になると、結局カセットテープのシンプルさに勝てず、箪笥の肥しとなりかねない。

どちらを購入するにせよ、それなりの満足感は得られよう。
実際手にして初めて解ることもあるし、予期していなかった機能を発見できるかも知れぬ。甲乙付けがたい。
今後、このようなラジオ録音に特化したICレコーダーがどのような展開を見せるのか楽しみだ。
BCLラジオやオーディオチューナーにICレコーダーが付属になるのかどうか?
今後に期待したい。

|

« AMステレオ放送、栄光の日々を振り返る | トップページ | SANYO ICR-RS110MFのAM/FM受信性能検証 »

受信機/アンテナ」カテゴリの記事